自信がない人ほど陥る思考の罠
自信がついたら、動き出そう。——そう考えている限り、その日は永遠に来ません。
多くの人が、行動の前に自信をつくろうとします。資格を取ってから、実績を積んでから、誰かに認められてから。準備が整えば、きっと自然に足が前に出ると信じています。しかし準備はいつまでも終わらず、気づけば同じ場所に立ち続けているのです。
これは意志の弱さではありません。順番を取り違えているだけなのです。
私たちは無意識に、自信を「行動の前提条件」として扱っています。十分な自信という燃料がたまったら、その分だけ動ける、と。けれど現実の私たちは、そのようにはできていません。
苫米地式コーチングでは、ゴールを達成する自己能力の自己評価のことを、エフィカシーと呼びます。平たく言えば、自分ならできるという、自分自身への評価のことです。
ここで多くの人が見落としているのは、エフィカシーが過去の実績の集計ではない、という点です。実績を積めば自動的に上がる数値ではないのです。それは、あなたが今この瞬間に採用している、自分についての認知状態に過ぎません。
つまり、自信とは行動の結果ではなく、行動より先に立つ認知なのです。
たとえば、同じ料理を出しても、自分の腕を信じている人と疑っている人とでは、盛り付けの仕方も、お客さんへの一言も変わります。腕が結果を作るのではありません。腕をどう見ているかが、その日の振る舞いを決めているのです。
自己評価が変わると、世界の見え方が変わります。見え方が変われば、目に入るチャンスも、選ぶ言葉も、踏み出す距離も変わります。行動とは、いつもこの「見え方」のあとからついてくるものなのです。
ですから、順番を入れ替えてみて良いのです。
実績を待つのではなく、現状の外側にゴールを置く。「今の自分には少し大きすぎる」と感じる場所に。そして、そのゴールを達成している自分の側から、今の自分を見てみる。根拠は要りません。エフィカシーは自己評価であって、他人の採点でも過去の成績でもないのですから、あなたが先に決めて良いのです。
もちろん、決めた瞬間に世界が一変するわけではないでしょう。ですが、見え方が一段ずれた分だけ、昨日まで見えなかった一歩が現れてきます。
自信は、十分に溜まるのを待つものではありません。
先に、自分の世界の見え方を選ぶ。行動は、そのあとから、しっかりとついてくるのです。