苫米地式コーチング

苫米地式コーチングにおけるエフィカシー——自己評価を未来基準へ移す認知構造

蓮彩聖基

自己評価は、過去の実績を集計して確定するものではありません。苫米地式コーチングでいうエフィカシーとは、「自己のゴールに対する達成能力の自己評価」です。評価の基準は、過去に何ができたかではなく、未来にどのゴールを達成するかにあります。

エフィカシーは人格全体の評価ではない

エフィカシーには、必ずゴールがあります。「自分は優れた人間か」という人格全体の採点ではなく、「自分はこのゴールを達成できる」という、ゴールごとの能力評価です。したがって、一つの失敗から「自分は何をしても駄目だ」と結論づけることは、出来事の範囲を越えて自己評価を一般化することになります。

過去の自己評価を維持するセルフトーク

もっとも、現在のエフィカシーには、過去の実績や他人から受けた評価が入り込んでいる場合があります。強い感情を伴う失敗や、繰り返し向けられた否定的な言葉が、「自分にはできない」という自己イメージを形作るためです。

この自己イメージを支えるのが、日常的に自分へ語りかけているセルフトークです。セルフトークは言葉だけでなく、映像と感情を伴います。一度の失敗であっても、「やはり自分には無理だ」と繰り返せば、その失敗は何度も再生され、過去の自己イメージが現在の判断基準として維持されていきます。

問題は、過去の出来事が存在することではありません。過去から作られた自己イメージを、未来の達成能力まで決める基準として使い続けることです。現在のエフィカシーを上限にすれば、ゴールも現在の自己評価で達成できる範囲まで下がり、選ばれる未来は現状の延長へ収まります。

ゴール側から自己評価を更新する

エフィカシーを更新するには、現状の外側にゴールを設定し、そのゴールを達成した未来の自分から現在を評価します。ただし、ゴールを言葉として置くだけで自己評価が変わるわけではありません。ゴール側の自己イメージが、現在の自己イメージより高い臨場感を持つ必要があります。

そのとき、セルフトークも過去を説明する言葉から、未来を形作る構成要素へ変わります。「自分には無理だ」は、過去の自己イメージを結論として反復する言葉です。これに対して「次はこうする」は、修正後の行動を具体的に映像化し、注意を失敗した自分から次の行動を選ぶ自分へ移します。

これは、失敗を無視して自分を万能だと思い込むことではありません。現在の結果は修正に必要な情報として受け取りながら、その結果だけで未来の能力まで決めないということです。

エフィカシーは、他人が決めるものではありません。ゴールを達成した未来の自分を基準として、自分で決める自己評価です。過去を資料として扱いながら、その資料に未来の上限を決めさせないこと。そこから、自己評価は過去によって固定されたものではなく、未来へ向かう現在の選択基準へ変わっていくのです。

ABOUT ME
蓮彩聖基(はすたみ こうき)
蓮彩聖基(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ(2016年認定)、苫米地テオレム認定シニアエバンジェリスト(Senior-TTCE、2026年認定)。苫米地理論の解説と、苫米地式コーチングに基づく一対一のパーソナルコーチングを行っています。
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