創造的逃避とは?やる気があるのに進めない本当の理由
忙しいのに進んでいない不思議
「やらなきゃいけないことがあるのに、なぜか部屋の掃除を始めてしまう」
「新しいことに挑戦したいのに、『まだ準備が足りない』と先延ばしにしてしまう」
こんな経験はありませんか。一見すると前向きに何かをしているように見えるのに、本当に大切なことからは遠ざかってしまう。
これは、創造的逃避と呼ばれる心理的なメカニズムです。
この記事では、なぜ私たちは本当に大切なことから逃げてしまうのか、そしてどうすれば乗り越えられるのかを解説します。
創造的逃避とは何か
創造的逃避の定義
創造的逃避とは、ストレスや不安を軽くするために、想像力を使ってゴールや目的から離れようとする行動や態度のことです。
一見すると前向きに工夫しているように見えますが、実際には「本当に大切なこと」から目をそらす働きをしています。
「Creative Avoidance(創造的逃避)」という言葉が示す通り、ただ何もしないのではなく、何か別のことを創造的に見つけて逃げるのが特徴です。
なぜ「創造的」なのか
単なる怠けや先延ばしとは違い、一見すると生産的で前向きな活動をしているように見えるのが、創造的逃避の特徴です。
そのため、本人も周囲も「頑張っている」と感じやすく、逃避していることに気づきにくいのです。
創造的逃避が起こる背景
不安やストレスを避けたい気持ち
ゴールに向かう過程では、不安やプレッシャーがつきものです。
「失敗したらどうしよう」「うまくいかないかもしれない」「批判されたらどうしよう」といった不安が、ゴールに向かうことを躊躇させます。
その感情を和らげるために、無意識は別のことへ意識を向けようとします。
想像力が働く方向
本来はゴールを描く力になるはずの想像力が、逆に「現実逃避」に使われてしまうことがあります。
想像力は、未来をイメージする力でもあり、同時に「今やらなくていい理由」を見つける力でもあるのです。
結果として、大切な目標から少しずつ遠ざかってしまいます。
コンフォートゾーンの外側にいる不安
新しい挑戦や大きなゴールは、あなたのコンフォートゾーン(居心地の良い領域)の外側にあります。
脳は、コンフォートゾーンの外側に出ることを「危険かもしれない」と判断し、元の安全な場所に戻そうとします。これが創造的逃避として現れるのです。
創造的逃避の具体例
例1:掃除や片付けに逃げる
勉強や仕事を始めようとすると、急に部屋の掃除をしたくなるというのは、典型的な創造的逃避です。
「環境を整えてから取り組もう」というのは一見合理的ですが、実際には本当にやるべきことから逃げているだけかもしれません。
例2:準備ばかりして行動しない
新しい挑戦を前に「今はまだ準備が足りない」と理由をつけて先延ばしするのも創造的逃避です。
「もっと勉強してから」「もっと資格を取ってから」「もっとお金を貯めてから」といった言葉で、いつまでも行動を先延ばしにしてしまいます。
例3:別の趣味や活動に没頭する
ゴールを考えると不安になるので、別の趣味や気晴らしに没頭してしまうことがあります。
「息抜きも大切」というのは事実ですが、それが本当にやるべきことから逃げるための言い訳になっていないか、見極める必要があります。
例4:完璧を求めすぎる
「完璧にできないならやらない方がいい」と、完璧主義を理由に行動しないのも創造的逃避の一つです。
完璧な状態など永遠に来ないため、結果的に何も始められなくなります。
例5:情報収集ばかりする
「もっと情報を集めてから」と、いつまでも調べ物ばかりして行動しないことがあります。
情報収集は必要ですが、それが行動を先延ばしにする言い訳になっていないか注意が必要です。
共通点:一見前向きに見える
これらすべての例に共通するのは、一見すると「前向きな行動」にも見えるということです。
だからこそ、自分でも周囲も気づきにくく、「頑張っているのに結果が出ない」という状態になりやすいのです。
創造的逃避に気づくヒント
サイン1:別の作業に逃げ込む
やるべきことを前にすると、別の小さな作業や習慣に逃げ込んでいませんか?
本当に今やる必要がないことを、「これも大切だから」と理由をつけてやっていないか振り返ってみましょう。
サイン2:「もう少し〇〇してから」が口癖
「もっと準備してから」「もう少し時間ができたら」「もっと勉強してから」と繰り返していませんか?
この言葉が何度も出てくるなら、創造的逃避の可能性があります。
サイン3:不安や恐れを感じている
心のどこかで「本当はゴールに向き合うのが怖い」と感じていませんか?
不安や恐れを感じることは自然ですが、それを認めずに別のことで誤魔化していないか確認しましょう。
サイン4:忙しいのに進んでいない
毎日忙しく何かをしているのに、本当に大切なゴールには近づいていないと感じるなら、気づかない間に創造的逃避が働いているかもしれません。
サイン5:「やらない理由」を探している
行動しない理由を、創造的に見つけていませんか?
「今は時期じゃない」「もっと良いタイミングがある」といった理由を次々と見つけているなら、要注意です。
創造的逃避を乗り越える方法
方法1:ゴールの臨場感を強める
ゴールを達成した自分を鮮明にイメージすると、「逃げたい気持ち」よりも「進みたい気持ち」が強くなります。
ビジュアライゼーションを使って、ゴール側の世界を今よりもリアルに感じることで、コンフォートゾーンがゴール側に移動します。
方法2:「今やるべきこと」に集中する
「本当に今やるべきことは何か?」を明確にすることで、創造的逃避に気づきやすくなります。
ゴール実現のためにやった方が良いと思えるのなら、そのために自然に行動を起こしてみましょう。一旦行動に移してみたら、思っていたよりもスムーズに上手くいっていることが多いはずです。
方法3:完璧を手放す
「完璧でなくてもいい」「まずやってみる」という姿勢を持つことが大切です。
完璧主義は、創造的逃避の温床になります。「60点でもいいから、まず形にする」という考え方が、行動を促します。
方法4:自分に正直になる
「これは本当にやるべきことなのか、それとも逃げているのか?」と自分に問いかける習慣をつくりましょう。
自分に正直になることで、創造的逃避に気づきやすくなります。
まとめ
- 創造的逃避=不安やストレスから逃れるために、想像力を使ってゴールから離れてしまうこと
- 一見前向きに見えても、ゴールに近づく行動ではない場合がある
創造的逃避は誰にでも起こりうる自然な反応です。だからこそ、それに気づき、修正していくことがゴール達成への第一歩になります。
もし今、忙しく動いているのに本当に大切なことには手をつけていないと感じるなら、それは創造的逃避かもしれません。気づいたこと自体が、変化の始まりです。
今日から、「本当に今やるべきことは何か?」と自分に問いかけ、小さな一歩を踏み出してみましょう。