抽象度とは?視点を変えて人生の可能性を広げる思考法
なぜ悩みから抜け出せないのか
「毎日忙しいのに、何のためにやっているのかわからない」
「細かいことが気になって、大切なことを見失ってしまう」
こんな経験はありませんか?
実は、これは抽象度(視点の高さ)が固化されていることが原因かもしれません。
この記事では、抽象度という概念を使いこなして人生をより自由に生きる方法を解説します。
抽象度とは何か
抽象度の定義
抽象度とは、概念を階層的に捉えるときの「情報量の大小」や「視点の高さ」を示す考え方です。
具体的な事実や細かな情報から離れて、より大きな枠組みや共通点に目を向けることで、物事を整理しやすくなります。
抽象度の高低
- 抽象度が高い:情報量が少なく、視点が広い(全体像、本質、目的)
- 抽象度が低い:情報量が多く、視点が狭い(具体的、詳細、行動)
どちらが良い・悪いということではなく、状況に応じて使い分けることが大切です。
抽象度を理解するためのイメージ
カメラのズームに例えると
抽象度は、カメラのズーム機能に例えるとわかりやすいです。
ズームイン(抽象度が低い)
細部や具体的な対象にフォーカス
- 一本一本の木の葉が見える
- 具体的な行動が見える
- 細かい違いがわかる
ズームアウト(抽象度が高い)
全体像や背景を広く見渡す
- 森全体が見える
- 大きな目的や方向性がわかる
- 共通点が見える
どちらの視点も大切
どちらの視点も大切であり、状況に応じて切り替えることで、より柔軟な思考が可能になります。
ズームインしたままでは全体が見えず、ズームアウトしたままでは具体的な行動が見えません。
両方を自在に使えることが、豊かな思考につながります。
身近な例で理解する
例1:ペットの「ココ」
抽象度の階層を、具体例で見てみましょう。
抽象度:低い(具体的)
「茶色のトイプードルのココ」
- 最も具体的で、情報量が多い
- 一匹の個体を指している
抽象度:少し高い
「犬」
- トイプードル、柴犬、ゴールデンレトリバーなど、すべてを含む
- 種としての共通点に注目
抽象度:さらに高い
「哺乳類」や「動物」
- 犬だけでなく、猫、馬、人間なども含む
- より大きなカテゴリー
抽象度:もっと高い
「生物」「存在」
- 動物だけでなく、植物なども含む
- 最も抽象的で、情報量が少ない
例2:仕事の「プレゼン資料作り」
抽象度:低い(具体的)
「今日の午後3時までにパワーポイントで10枚のスライドを作る」
- 最も具体的で、すぐに行動できる
抽象度:少し高い
「プレゼン資料を作る」
- パワーポイントかキーノートか、何枚か、などの詳細は含まない
抽象度:さらに高い
「プロジェクトを成功させる」
- プレゼン資料作りは、その一部の手段
抽象度:もっと高い
「仕事で成果を出す」
- プロジェクトも、その一部
抽象度:最も高い
「自分らしく豊かに生きる」
- 仕事も、人生全体の一部
抽象度の階層性
このように、抽象度を上げるとシンプルな概念へとまとまり、下げると具体性が増していきます。
抽象度が役立つ場面
場面1:問題解決のとき
抽象度を下げる
今日やるべき具体的な行動を見つけやすい
「ダイエットしたい」という抽象的な目標から、「今日は野菜を一品多く食べる」という具体的な行動に落とし込めます。
抽象度を上げる
「なぜそれをやるのか」という目的や価値観を確認できる
「野菜を食べる」→「健康になる」→「自分らしく生きる」という本質に気づけます。
場面2:人間関係や自己理解のとき
抽象度が低いままだと
「細かな違い」にこだわってしまう
- 「あの人はこう言った」「私はこう思った」という具体的な出来事に囚われる
- 小さな違いが気になって、関係がギクシャクする
抽象度を高めると
「共通の想いや目的」が見え、関係がスムーズになりやすい
- 「お互いに大切にしていることは何か」という本質に目を向けられる
- 細かい違いよりも、共通点が見えてくる
場面3:目標設定のとき
抽象度が低いままだと
「今やっていること」だけに囚われる
- 現状の延長線上の目標しか見えない
- 「もっと大きな可能性」に気づけない
抽象度を高めると
現状を超えたゴールが見える
- 「本当はどうなりたいのか」という本質的な問いに答えられる
- 現状の制約を超えた可能性が見えてくる
場面4:悩んでいるとき
抽象度が低いままだと
目の前の問題に囚われる
- 「この問題をどう解決するか」だけを考える
- 視野が狭くなり、解決策が見つからない
抽象度を高めると
違う角度から見られる
- 「そもそもこの問題は重要なのか」と問える
- 「もっと大きな視点で見たら、どうか」と考えられる
抽象度を高める方法
方法1:「なぜ?」を問い続ける
「なぜその行動をするのか?」と自分に問いかけると、より上位の目的にたどりつけます。
例:英語を勉強する理由
- 具体的な行動:「英語を勉強する」
- なぜ?:「海外で働きたいから」
- なぜ?:「自分の可能性を広げたいから」
- なぜ?:「自分らしい人生を生きたいから」
このように、「なぜ?」を繰り返すことで、抽象度が上がり、本質的な目的が見えてきます。
方法2:「より大きな括り」を意識する
個別の事象を、より大きなカテゴリーでまとめることで、抽象度が上がります。
例:学びの階層
- 具体的:英語の単語を覚える
- 少し抽象的:英語を勉強する
- さらに抽象的:語学を学ぶ
- もっと抽象的:学ぶこと全般
- 最も抽象的:自己成長
- 究極的:人生の豊かさ
方法3:時間軸を広げる
短期から長期へと時間軸を広げることで、自然に抽象度が上がります。
例:時間軸の階層
- 今日:今日やるべきこと
- 今週:今週の目標
- 今月:今月の目標
- 今年:今年の目標
- 3年後:3年後のビジョン
- 10年後:10年後のビジョン
- 人生全体:人生全体の方向性
長いスパンで考えると、自然に抽象度が上がります。
方法4:「もし〇〇だったら?」と問う
制約を外して考えることで、抽象度が上がります。
- 「もしお金が無限にあったら、何がしたいか?」
- 「もし時間が無限にあったら、何がしたいか?」
- 「もし失敗しないとわかっていたら、何がしたいか?」
こうした問いは、現状の制約から離れ、本質的な望みに気づかせてくれます。
抽象度を下げる方法
抽象度を上げるだけでなく、下げることも重要です。
方法1:「具体的には?」と問う
「具体的には何をするのか?」と自分に問いかけることで、抽象度が下がります。
例:幸せになりたい
- 抽象的:「幸せになりたい」
- 具体的には?:「家族と良い関係を築きたい」
- 具体的には?:「週に一度、家族と食事をする」
- 具体的には?:「今週の日曜日、18時に予約する」
方法2:5W1Hで考える
Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)を明確にすることで、抽象度が下がります。
方法3:数字で表す
曖昧な表現を数字で表すことで、具体性が増します。
- 「痩せたい」→「3ヶ月で5kg痩せる」
- 「お金を貯めたい」→「1年で100万円貯める」
抽象度のバランス
どちらも必要
抽象度は「高ければいい」「低ければいい」というものではありません。
高い抽象度の役割
目的や意義を見失わない
- なぜそれをやるのかが明確
- 大きな方向性がわかる
- 本質を見失わない
低い抽象度の役割
行動に具体性を持たせる
- 今日何をするかが明確
- すぐに行動できる
- 成果が測定できる
両者を行き来する柔軟さ
両者を行き来できる柔軟さこそが、ゴール達成や日常の充実に役立ちます。
抽象度を上げて目的を確認し、抽象度を下げて具体的な行動を決める。この往復をできることが大切です。
まとめ
- 抽象度=概念をどの階層で捉えるかという視点の高低さ
- 高い抽象度は目的や価値観にアクセスする助けに、低い抽象度は行動を明確にする助けになる
- 「なぜ?」を問い続ける・大きな括りを意識する・時間軸を広げることで高められる
抽象度の切り替えは、人生をより自由に、柔軟にデザインするための大切な思考法です。今、目の前のことに囚われて、大切なことを見失っていませんか?
抽象度を上げて、「本当はどうなりたいのか」を確認してみてください。そして、抽象度を下げて、「今日できる一歩は何か」を決めてください。
この往復ができるようになると、あなたの人生は、より自由で豊かなものになります。