人間関係

夢を語れない理由と、あなたを守る境界線の引き方

kokihasutami

あなたは、誰かに夢やゴールを話したときに、否定的な反応を受けた経験はありませんか?「それって現実的じゃないよ」「そんなので食べていけるの?」「あなたには無理じゃない?」

このような言葉によって、せっかく描いていた未来像が揺らいでしまった——そんな経験がある方は、決して少なくないはずです。

この記事では、なぜ夢を語ると否定されてしまうのか、そしてどうすれば自分の可能性を守りながら前に進めるのかについて、認知科学とコーチング理論の視点からお伝えします。

否定してくる人は「悪意」ではなく「信念」で動いている

夢を否定する人の心理構造

まず理解しておいていただきたいのは、あなたの可能性を否定してくる人たちは、決して悪意を持っているわけではないということです。

彼らもまた、自分が育ってきた環境の中で形成されたブリーフシステム(信念体系)に基づいて反応しているだけなのです。

たとえば、こんな信念を持っているかもしれません。

  • 「安定した職業に就くことが幸せへの道だ」
  • 「夢を追うのはリスクが高すぎる」
  • 「現実的に考えることが大人の責任だ」

これらの信念は、彼らが生きてきた時代背景や、彼ら自身が受けてきた教育によって形成されたものです。

否定は「愛」の形かもしれない

特に親や身近な人ほど、あなたが傷つくことを避けたいという想いから、「現実的」な道を勧めることがあります。それは彼らなりの愛情表現であり、あなたを守ろうとする心の現れでもあるのです。

ですから、否定してくる人を「悪い人」として切り捨てる必要はありません。ただし、だからといって、その信念に自分を合わせる必要もないのです。

なぜ夢を語るとエフィカシーが下がるのか

エフィカシーへの影響

コーチング理論において、エフィカシーとは「ゴールを達成する自己能力の自己評価」を意味します。つまり、「私ならできる」という感覚のことです。

夢や目標を語ったときに否定的な反応を受けると、このエフィカシーが下がってしまう可能性があります。なぜなら、人間の脳は周囲からの評価や反応を無意識のうちに取り込み、セルフトーク(自分自身への言葉がけ)に影響を与えるからです。

「やっぱり私には無理なのかな…」「現実を見なきゃいけないのかも…」こうしたセルフトークが繰り返されると、次第に自分の可能性を信じる力が弱まってしまいます。

周囲の反応に左右されるリスク

もしも、自分のエフィカシーを他者の評価に依存させてしまうと、あなたの人生の方向性は周りの人々の信念によって決まってしまうことになります。

本来、あなたの可能性を決めるのは、あなた自身の評価です。

周囲が「できる」と言っても「できない」と言っても、最終的に重要なのは、あなた自身が自分をどう評価しているかなのです。

夢を守るための境界線の引き方

では、どうすれば自分の可能性を守りながら、前に進んでいけるのでしょうか。

戦略1:むやみに語らない勇気を持つ

最も効果的な方法は、誰にでも夢を語らないということです。これは消極的な姿勢ではなく、自分の可能性を守るための積極的な戦略です。どれほど信頼している相手であっても、その人がどのようなブリーフシステムを持っているかは分かりません。

  • 親しい友人
  • 恋人やパートナー
  • 尊敬する先輩や上司
  • 家族

こうした身近な人々であっても、彼らの信念とあなたのビジョンが一致するとは限らないのです。

戦略2:語る相手を選ぶ

もし誰かに話す必要がある場合は、あなたのエフィカシーを高めてくれる人を選びましょう。たとえば、コーチはクライアントのエフィカシーを上げることを専門としています。

コーチング理論を理解している人や、あなたの可能性を心から信じてくれる人に対してであれば、安心して語ることができます。

戦略3:セルフトークを管理する

もし何かの拍子に否定的な言葉を受け取ってしまったとしても、あなたのセルフトークは自分でコントロールできます。「やっぱりダメかも…」という思考が浮かんだら、すぐにこう書き換えてください。

「私はできる」「これは相手の信念であって、私の可能性とは関係ない」

感情や体感として落ち込みを感じたとしても、それを言語化して修正することで、エフィカシーを保つことができます。

あなた自身が「可能性を信じる側」になる

ドリームサポーターとしての生き方

ここまで、自分の可能性を守る方法についてお伝えしてきました。そして最後に、もうひとつ大切なことをお伝えしたいのです。

それは、あなた自身が、他者の可能性を信じる存在になるということです。誰かがあなたに夢やゴールを語ったとき、どうか「できるよ」と心から伝えてあげてください。

特別なコーチングスキルは必要ありません。ただ、心から共感し、肯定し、「あなたならできる」と信じてあげるだけでいいのです。

与えることで受け取る循環

興味深いことに、他者のエフィカシーを高める言葉を発することは、あなた自身のエフィカシーも高めます。なぜなら、脳は「自分が発した言葉」を自分自身も聞いているからです。

「あなたならできる」と誰かに言うとき、あなたの脳もまた、その言葉を受け取っています。これによって、あなた自身のセルフトークも肯定的なものになり、セルフイメージも向上していきます。

新しい文化を創る

あなたが誰かの可能性を信じることで、その人もまた、別の誰かの可能性を信じるようになるかもしれません。

そうして、少しずつ「お互いの夢を応援し合える関係性」が広がっていきます。

これは、あなたを取り巻く環境全体を変えていく力になるのです。

否定を「信念の違い」として見る抽象度

最後に、もうひとつ重要な視点をお伝えします。それは、否定してくる人を「悪い人」として見ないということです。彼らは、彼らなりの信念体系の中で生きています。

その信念が、たまたまあなたのビジョンと一致しないだけなのです。このように、より高い視点から物事を見ることを、「抽象度を上げる」と言います。

抽象度を上げて相手を理解することができれば、否定されたとしても、それに振り回されることは少なくなります。ですから、これまであなたの夢を否定してきた人たちと、無理に縁を切る必要はありません。

ただ、その人たちに対して夢やゴールを語らない——それだけで十分なのです。そして、あなた自身は、自分の可能性を信じ続け、前に進んでいけばいいのです。

まとめ:あなたの可能性は、あなたが決める

この記事でお伝えしたことを、もう一度整理しましょう。

  • 否定してくる人は悪意ではなく、異なる信念を持っているだけである
  • エフィカシーを守るために、むやみに夢を語らないのが有効である
  • セルフトークを自分で管理し、可能性を信じ続けることが重要である
  • あなた自身が他者の可能性を信じる存在になることで、循環が生まれる
  • 抽象度を上げて相手を理解することで、否定に振り回されなくなる

あなたの可能性を決めるのは、周囲の評価でも、誰かの信念でもありません。あなた自身が、自分をどう評価し、どう信じるか——それがすべてです。

どうか、あなたの大切なビジョンを守りながら、一歩ずつ前に進んでいってください。そして、あなた自身が誰かの可能性を照らす光になっていけますように。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 <br>(はすたみ こうき)
蓮彩 聖基
(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ
苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了
ドクター苫米地ワークス修了
田島大輔グランドマスターコーチに師事
認知科学者 苫米地英人博士より、
無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得
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