ホテルのラウンジで涙を流した日|夢を否定された26歳の彼女に起きた奇跡
プロローグ|高校時代からの親友との再会
窓の外に広がる夜景が美しいホテルのラウンジ。穏やかなピアノの音色が流れる中、二人の女性が向かい合って座っていた。
26歳の麻衣と、彼女の高校時代からの親友、結衣。
大学は別々、就職先も違う道を歩んできた二人だったが、定期的に連絡を取り合い、こうして会って近況を報告し合うのが習慣になっていた。
いつもは他愛のない話で盛り上がる二人だったが、今日の麻衣はどこか真剣な表情をしていた。
初めて語った夢
「ねえ結衣、実は最近考えていることがあるんだ」
麻衣がカフェラテのカップを置いて、結衣に向き直った。
「何、急に改まって」
結衣は少し驚いた顔で麻衣を見つめる。
「私ね、会社辞めて、自分でビジネスを始めようと思ってるの」
その言葉に、結衣の目が大きく見開かれた。
「女性が本当の意味で自由に生きられる場所を作りたい。まだ具体的にどうするかは見えてないけど、でもこれが私の本当にやりたいことなんだって、最近すごく思うようになって」
麻衣の声には熱がこもっていた。
これを口にするのは初めてだった。誰にも言っていなかった夢。でも結衣になら伝えたい。高校時代からずっと一緒に歩んできた親友になら、きっとわかってもらえる。
そう信じて、麻衣は言葉を紡いだ。
しばらく続いた沈黙
結衣は何も言わなかった。
カップを手に取り、また置いて、視線をどこかに泳がせている。
麻衣の心臓が早鐘を打ち始めた。
何か言ってほしい。何でもいい。
「無理だよ、そんなの」
結衣の口から出てきた言葉は、麻衣が予想していたものとは全く違っていた。
親友からの否定
「麻衣、現実見なよ」
結衣は困ったような、でも確信を持った口調で続けた。
「今の会社、福利厚生もいいし、給料も悪くないでしょう?それを捨てて起業なんて、リスクが大きすぎるよ。失敗したらどうするの?」
「でも、私は」
「それに、女性の起業なんて、成功率低いって知ってる?もっと現実的に考えた方がいいよ。あなたのことを思って言ってるんだから」
あなたのことを思って。
その言葉が、麻衣の胸に深く突き刺さった。
感情が溢れた瞬間
「でも、私は本気なの」
麻衣の声が震えていた。
「本気だからこそ、言ってるの。麻衣のことを思って」
思って。また同じ言葉。
今まで一緒に笑い合い、悩みを打ち明け合ってきた親友。学生時代から、どんなことも話し合ってきた。彼氏のこと、家族のこと、仕事の愚痴。
でも初めて本当の夢を語ったとき、それは全面的に否定されてしまった。
ついに爆発した感情
「結衣には私の気持ちなんてわからないよ」
麻衣の言葉に、結衣の顔が強張った。
「麻衣」
「もういいよ」
気まずい空気がラウンジに漂う。
周りのテーブルの人たちが、チラチラとこちらを見ているのがわかった。
「ごめんね」
結衣が小さな声で言った。
「でも、私は麻衣が傷つくのを見たくなくて」
「もういいって言ってるでしょ」
親友との別れ
結衣は申し訳なさそうな顔で立ち上がった。
バッグを手に取り、一瞬麻衣を見つめる。
「ごめん。また連絡する」
そう言って、結衣はラウンジを後にした。
一人残された麻衣。
窓の外の夜景がぼやけて見える。
気づけば、涙がこぼれていた。
ホテルのラウンジという公共の場所だというのに、涙が止まらなかった。
胸の奥から込み上げてくる悲しみと悔しさ。そして、何とも言えない寂しさ。
なぜ、わかってもらえなかったのだろう。
なぜ、否定されなければならなかったのだろう。
突然の声かけ
「すみません」
涙を拭いていた麻衣の耳に、静かな男性の声が届いた。
顔を上げると、隣の席に座っていた30代くらいの男性が、心配そうな表情で麻衣を見ていた。
スーツ姿で、落ち着いた雰囲気を纏っている。
「大丈夫ですか」
「あ、すみません。お見苦しいところを」
麻衣は慌てて涙を拭いた。
優しい提案
「夢を否定されてしまったのですね」
男性の言葉に、麻衣は驚いて顔を上げた。
「よかったら、お話を聞かせていただけませんか。こちらへどうぞ」
男性は自分の向かいの席を指して、優しい笑顔を見せた。
普通なら断るところだろう。見知らぬ人の誘いに乗るなんて。
でも不思議と、この人は信頼できる気がした。
麻衣は少し迷ったが、席を移動することにした。
会計を済ませる男性
「まず、こちらの席のお会計を」
男性はスマートに手を挙げ、麻衣と結衣が使っていた席の会計を済ませてくれた。
「あ、いえ、そんな」
「いいんです。少しお話を聞かせてください」
男性は名刺を差し出した。
「初めまして。私は脳と心の仕組みを専門に、コーチングという仕事をしています」
名刺には、シンプルな文字で男性の名前と肩書きが記されていた。
脳と心の専門家との出会い
「コーチング、ですか」
麻衣は初めて聞く言葉に首を傾げた。
「はい。人の可能性を引き出すお手伝いをしています。さきほど、あなたが夢を語って、それを否定されているのを、たまたま見てしまいました」
男性は申し訳なさそうに続けた。
「盗み聞きするつもりはなかったのですが、つい耳に入ってしまって。もしよければ、お話を聞かせていただけませんか」
麻衣が語った夢
麻衣は男性に、今の状況を話した。
会社を辞めてビジネスを始めたいこと。女性が本当の意味で自由に生きられる場所を作りたいこと。それを親友に否定されたこと。
男性は静かに、でも真剣に頷きながら聞いていた。
麻衣が話し終えると、男性はゆっくりと口を開いた。
ドリームキラーという存在
「あなたの親友は、ドリームキラーだったのです」
「ドリームキラー、ですか」
麻衣は聞き慣れない言葉に眉をひそめた。
「はい。私たちの夢やゴールを否定したり、妨げたりする人のことを、そう呼びます」
ドリームキラーとは何か
男性は穏やかな口調で説明を続けた。
「ドリームキラーは、決して悪い人ではありません。むしろ多くの場合、本当にあなたのためを思って言っているのです」
「私のため、ですか」
「はい。あなたの親友も、そうでしょう。失敗してほしくない、傷ついてほしくない。そういう思いから、否定的な言葉を口にしたのです」
麻衣は結衣の顔を思い浮かべた。
確かに、結衣は麻衣が傷つくのを見たくないと言っていた。
ドリームキラーの特徴
「ドリームキラーには、いくつかの特徴があります」
男性はコーヒーを一口飲んでから続けた。
「まず、見知らぬ他人よりも、身近な人に多いということです」
「身近な人に、ですか」
「はい。両親、家族、友人、同僚。あなたをよく知っている人ほど、ドリームキラーになりやすいのです」
麻衣は驚いた表情を浮かべた。
「なぜですか」
なぜ身近な人がドリームキラーになるのか
「理由はいくつかあります」
男性は指を折りながら説明した。
「一つ目は、安全を求める心理です。人間の脳は、変化を恐れるようにできています。特に大切な人には、失敗して傷ついてほしくない。だから、リスクのある挑戦を止めようとするのです」
麻衣は深く頷いた。
「二つ目は、常識や経験に縛られているからです」
「常識や経験、ですか」
「はい。親友は、自分の経験や知識の範囲で、あなたの夢を判断しました。でも、あなたの夢は、親友の経験範囲を超えていたのです」
知らないことへの恐れ
「人は、自分が知らないこと、経験したことがないことを、無意識に否定してしまう傾向があります」
男性の言葉が、麻衣の心に響いた。
「それは脳が効率よく判断するための仕組みなのですが、同時に新しい可能性を閉ざしてしまうのです」
「そうだったんですね」
麻衣は息を呑んだ。
結衣は起業の経験がない。だから、想像できなかったのかもしれない。
自分の選択を守りたい心理
「三つ目は、自分の選択を正当化したい心理です」
「自分の選択を正当化、ですか」
「はい。もしあなたが夢を追いかけて成功したら、親友は自分の選択を疑問に思うかもしれません」
男性は静かに続けた。
「なぜ自分はチャレンジしなかったのか、と。だから無意識に、あなたの夢を否定することで、自分の選択を守ろうとするのです」
麻衣は胸が詰まる思いがした。
結衣が麻衣を否定したのは、結衣自身を守るためでもあったのだ。
関係性の変化への恐れ
「そして四つ目は、関係性の変化への恐れです」
「関係性の変化、ですか」
「もしあなたが夢を追いかけて大きく変化したら、今の関係が続けられなくなるかもしれない。そう無意識に感じて、変わってほしくないと思うのです」
麻衣は目を閉じた。
確かに、ビジネスを始めたら、今までのように気軽に会えなくなるかもしれない。
話す内容も変わってくるかもしれない。
愛情の裏返し
「でも」
男性は優しく微笑んだ。
「これらはすべて、愛情の裏返しでもあるのです」
「愛情の、裏返し」
「はい。あなたを大切に思うからこそ、失敗してほしくない。傷ついてほしくない。関係を失いたくない。そういう思いが、否定的な言葉になって出てきただけなのです」
涙が再びこみ上げてきた。
でも今度は、悲しみだけではなく、何か温かいものも感じた。
否定されたときの心の使い方
「では、ドリームキラーに否定されたとき、どうすればいいのでしょうか」
麻衣は男性に尋ねた。
受け止め方を変える
「まず大切なのは、受け止め方を変えることです」
男性はテーブルに手を置いて、麻衣の目を見た。
「親友の言葉は、あなたの夢そのものを否定しているわけではありません。親友の信念の一部として、そう感じただけなのです」
「信念の一部」
「人はそれぞれ、自分なりの世界観を持っています。親友は、親友なりの常識や経験から、あなたの夢を判断しました」
信念と真実は違う
「でもそれは、親友の信念であって、真実ではないのです」
麻衣は深く頷いた。
確かに、結衣の価値観と麻衣の価値観は違う。
「だから、気にしないことです」
「気にしない、ですか」
「はい。親友の言葉は、親友の信念です。あなたの可能性を決めるものではありません」
傷つくのは自然なこと
「でも、どうしても傷ついてしまいます」
麻衣の声が小さくなった。
「傷つくのは自然なことです。特に大切な人からの否定は、心に深く刺さります」
男性は優しい口調で続けた。
「でも、その感情と、あなたの夢は別のものです。感情に流されて、夢を諦める必要はありません」
応援してくれる仲間を持つ
「次に大切なのは、応援してくれる仲間を持つことです」
「応援してくれる仲間、ですか」
「はい。すべての人があなたの夢を否定するわけではありません」
男性は窓の外の夜景を見つめた。
「中には、あなたの可能性を信じて、応援してくれる人もいます。そういう人たちと時間を過ごすことで、あなたのエネルギーは高まります」
距離を置く勇気
「でも、親友を失うのは悲しいです」
麻衣の目に涙が浮かんだ。
「距離を置く勇気も、時には必要です」
男性は静かに言った。
「でもそれは、相手を否定することではありません。お互いの成長のために、一時的に距離を置くだけです」
麻衣は胸の奥が温かくなるのを感じた。
自分の基準を大切にする
「そして、自分の基準を大切にすることです」
「自分の基準、ですか」
「あなたの人生は、あなたのものです」
男性の言葉が、麻衣の心に染み込んでいく。
「他人の常識や価値観ではなく、あなた自身の心が望むことを基準にしてください」
自分の心の声を聞く
「今、あなたの心は何を望んでいますか」
麻衣は目を閉じて、胸に手を当てた。
「女性が本当の意味で自由に生きられる場所を作りたい。そう思っています」
「それが、あなたの本当の望みです」
男性は力強く頷いた。
「他の誰かの価値観ではなく、あなた自身の心の声です」
夢を簡単に話さない
「最後に、自分の夢を簡単に話さないことも大切です」
「簡単に話さない、ですか」
麻衣は少し驚いた表情を浮かべた。
「はい。夢は、まだ形になっていない繊細なものです」
夢を守るために
「誰にでも話してしまうと、否定的な言葉によって傷ついてしまいます」
男性は続けた。
「本当に信頼できる人、応援してくれる人にだけ、話すようにしてください」
麻衣は深く頷いた。
確かに、結衣に話したのは早すぎたのかもしれない。
小さな成功体験を積む
「そして、小さな成功体験を積むことです」
「小さな成功体験、ですか」
「はい。夢に向かって、小さな一歩を踏み出してください」
男性は優しく微笑んだ。
「その一歩一歩が、あなたの自信を育てます。自分にはできるという確信が、ドリームキラーの言葉から自分を守ってくれます」
可能性を信じる
「あなたの夢は、とても素晴らしいものです」
男性の言葉が、麻衣の心に響いた。
「女性が本当の意味で自由に生きられる場所。それを実現できる可能性は、あなたの中にあります」
「本当に、そう思いますか」
「はい。私がそう思うかどうかではなく、あなたがそう思えるかどうかが大切です」
男性は麻衣の目を見つめた。
「でも、私は確信しています。あなたには、その夢を実現する力があります」
涙が溢れた。
でも今度は、悲しみではなく、希望の涙だった。
二週間後の再会
結衣からメッセージが届いたのは、あの日から二週間後のことだった。
「麻衣、この前はごめん。あのあと、ずっと考えてた。私、麻衣の夢を否定してしまって、本当に申し訳なかった。会って話せないかな」
麻衣は少し迷ったが、返信することにした。
「こちらこそ、怒ってしまってごめん。いつ会える?」
同じ場所で
同じホテルのラウンジで会うことにした。
結衣は前よりも落ち着いた表情で現れた。
「麻衣、本当にごめん」
結衣は席に座るなり、深く頭を下げた。
「私、麻衣のこと大切に思ってるからこそ、心配になって、ついあんなこと言っちゃって」
「わかってる」
麻衣は微笑んだ。
「結衣が私のことを思って言ってくれたって、今ならわかるよ」
救われた話
「でも、否定しちゃったのは事実だし」
「実はね」
麻衣は、あの日に男性から聞いた話を、結衣に伝えた。
ドリームキラーのこと。
否定されたときの心の使い方のこと。
身近な人ほどドリームキラーになりやすいこと。
それが愛情の裏返しであること。
結衣は真剣な顔で聞いていた。
結衣の気づき
「そうだったんだ」
結衣は目を潤ませた。
「私、知らないうちに、麻衣の可能性を閉ざそうとしてたんだね」
「そんなつもりじゃなかったって、わかってるよ」
「でもさ、その話、すごく面白い」
結衣の目が輝き始めた。
「脳と心の仕組みって、そんなふうになってるんだ」
一緒に学ぼうという提案
「実はね」
麻衣は結衣に提案した。
「その男性、来月セミナーを開くみたいなの。脳と心の仕組みを学ぶセミナー。一緒に行ってみない?」
「え、いいの?」
「うん。私も、もっと学びたいって思ったから」
麻衣は結衣の手を握った。
「それに、これからは、お互いの夢を応援し合える関係になりたいから」
結衣の目に涙が浮かんだ。
「私も。麻衣の夢、応援したい。いや、応援させて」
二人は笑顔で頷き合った。
セミナー当日
セミナー会場は、明るくて開放的な空間だった。
大きな窓から差し込む陽の光が、会場全体を優しく照らしている。
あの日の男性が、にこやかに二人を迎えてくれた。
「来てくださったんですね。そちらが親友の方ですか」
「はい。結衣です」
結衣が丁寧に挨拶をした。
「よくいらっしゃいました。今日は、脳と心の仕組みについて、基本的なことをお伝えします」
セミナーの内容
セミナーが始まった。
男性は、私たちの脳がどのように働いているのか、心がどのように現実を作り出しているのか、わかりやすく説明してくれた。
無意識の力
「私たちの行動の大部分は、無意識によって決められています」
男性の言葉に、参加者たちが真剣な表情で耳を傾けている。
「無意識の判断が、日々の選択や行動を左右しているのです」
麻衣と結衣は、互いに顔を見合わせた。
自己イメージの重要性
「そして、自分に対するイメージが、現実を創り出します」
男性は続けた。
「自分はこういう人間だという認識が、実際の行動や選択、結果を決めているのです」
「だから、自分に対するイメージを変えることで、人生を変えることができます」
過去の体験の影響
「過去の体験、特に強い感情を伴った体験は、今の選択に大きな影響を与えています」
男性の説明に、麻衣は深く頷いた。
「でも、その影響は変えることができます。新しい体験や学びによって、過去の影響を書き換えることができるのです」
ゴール設定の話
セミナーの後半、男性はゴール設定について話し始めた。
「人は、現状の外側にゴールを設定することで、今の自分を超えることができます」
「現状の外側、ですか」
参加者の一人が質問した。
現状の外側とは
「はい。今の自分の延長線上では達成できない、大きな夢のことです」
男性は丁寧に説明した。
「そのゴールに向かって、脳は自然と必要な情報を集め、行動を促してくれます」
麻衣は自分の夢を思い浮かべた。
女性が本当の意味で自由に生きられる場所を作る。
それは確かに、今の自分の延長線上では達成できない大きな夢だった。
ドリームサポーターの大切さ
「そして、お互いの夢を応援し合える仲間がいることが、大切です」
男性は温かい表情で参加者たちを見渡した。
「ドリームキラーではなく、ドリームサポーターと呼べる関係を築いてください」
ドリームサポーター。
麻衣と結衣は、同時に互いを見つめ合った。
そして、静かに微笑み合った。
セミナー後のカフェで
セミナーが終わった後、麻衣と結衣は近くのカフェに移動した。
「すごかったね」
結衣が興奮気味に話す。
「脳と心の仕組みって、こんなにも深いんだ」
「うん」
麻衣も頷いた。
「私も、自分の可能性をもっと信じていいんだって思えた」
結衣の告白
「麻衣の夢、私も本気で応援したい」
結衣が真剣な表情で言った。
「ありがとう、結衣」
「それにね」
結衣は少し恥ずかしそうに続けた。
「私も、本当は挑戦したいことがあったんだ」
「え?」
麻衣は驚いた顔で結衣を見た。
諦めていた夢
「でも、安定を求めて、諦めてた」
結衣の目が真剣になった。
「麻衣が夢を語ったとき、私が否定したのは、本当は自分が諦めた夢を思い出して、怖くなったからかもしれない」
「結衣」
「でも、もう一度挑戦してみようって思った」
結衣は麻衣の手を握った。
「麻衣が勇気を出して夢を語ってくれたおかげで」
お互いのドリームサポーターに
「じゃあ、お互いのドリームサポーターになろう」
麻衣が提案した。
「うん」
結衣が力強く頷いた。
「お互いの夢を、全力で応援し合おう」
二人は笑顔で手を取り合った。
ホテルのラウンジで涙を流したあの日から、二人の関係は新しいものに変わっていた。
ただの友人から、お互いの成長を支え合えるパートナーへ。
エピローグ|新しい未来へ
それから数ヶ月が経った。
麻衣は少しずつ、夢に向かって歩み始めていた。
結衣も、自分の夢に向かって動き出していた。
時には不安になることもある。
でも、そんなときは結衣に相談する。
結衣も、困ったときは麻衣に相談してくれる。
定期的な学びの場
二人は月に一度、脳と心の仕組みを学ぶセミナーに通うようになった。
そこで出会う仲間たちも、互いの夢を応援し合える関係を築いている。
ドリームサポーターの輪が、少しずつ広がっていた。
変化した日常
麻衣の日常は、以前とは明らかに違っていた。
同じ会社で働きながらも、空いた時間で少しずつ準備を進めている。
女性が本当の意味で自由に生きられる場所を作るために。
結衣も、自分の夢に向かって着実に歩んでいる。
あの男性の言葉
あのホテルのラウンジで出会った男性の言葉を、麻衣は今でも覚えている。
「ドリームキラーは、あなたの夢を止めることはできません。あなた自身が諦めない限り」
そして、麻衣は諦めない。
結衣も諦めない。
二人の物語
二人のドリームサポーターとしての物語は、まだ始まったばかり。
でも、その一歩一歩が、確実に未来を創っている。
ホテルのラウンジで涙を流したあの日。
それは、二人にとって、新しい人生が始まる日だった。
夢を否定されて、傷ついて、涙を流して。
でもその先に、もっと大きな可能性が待っていた。
お互いを応援し合える関係。
お互いの成長を喜び合える絆。
そして、それぞれの夢に向かって歩む勇気。
二人は今日も、前を向いて歩いている。
ドリームサポーターとして。
