「誰かのため」が人生を変える|抽象度を上げて視野を広げる
なぜ「自分のことで精一杯」では変われないのか
「まずは自分をしっかりさせなきゃ」「自分のことで精一杯だから、人のことまで考えられない」
そんなふうに思ったことはありませんか?
私たちは幼い頃から「自分のことは自分でやりなさい」「しっかりしなさい」と言われて育ってきました。だから、まずは自分を整えてから、余裕ができたら誰かの役に立とう――そう考えるのは、ごく自然なことです。
でも実は、その順番が逆なのかもしれません。
時代の変化がもたらした新しい生き方
人類の歴史を振り返ると、争いと飢えの連続でした。生き延びることだけで精一杯だった時代が、何千年も続いていたのです。
「まず自分」「まず家族」「まず村」という考え方が当たり前でした。それは生きるための知恵であり、必要なことだったのです。
しかし現代はどうでしょうか。SNSで世界中の人と瞬時につながれます。食べ物にも困らない環境があります。選択肢も、昔に比べたら圧倒的に増えています。
つまり私たちは今、人類の歴史上で初めてと言っていいほど「生き延びること以外」に意識を向けられる時代を生きているのです。
「自分だけ」を見つめ続けると視野が狭くなる
抽象度という考え方
「自分をもっと成長させたい」「自分らしく生きたい」
その想いはとても大切です。でも、ずっと「自分、自分」と考え続けていると、だんだん息苦しくなってきませんか?
それは、抽象度という視点で説明できます。
抽象度とは、概念を階層的に捉えるときの「視点の高さ」を示す考え方です。自分だけを見つめている状態は、抽象度が低い状態といえます。目の前のことや自分の内側のことばかりに意識が向いている状態です。
もちろんそれも必要な時はありますが、そこに留まり続けると、世界がどんどん小さく見えてきます。選択肢も狭くなります。
- 「私にはこれしかできない」
- 「私はこういう人間だから」
そんなふうに、自分で自分の可能性に蓋をしてしまうのです。
スコトーマが生まれるメカニズム
自分だけに意識を向け続けると、スコトーマ(心理的盲点)が強化されます。
スコトーマとは、脳が「重要ではない」と判断した情報を意識に上げず、存在していても「ないもの」として扱ってしまう状態のことです。脳は毎秒膨大な情報を処理していますが、その中から「自分にとって重要」と判断したものだけを意識に上げています。
自分のことだけに集中していると、「自分」に関係ないと判断された情報はスコトーマの中に隠れてしまいます。結果として、新しい可能性やチャンスが目の前にあっても、見えなくなってしまうのです。
「誰かのため」という視点が視界を開く
抽象度を上げるということ
では、どうすれば狭くなった視野を広げられるのでしょうか。
答えは、抽象度を上げること。つまり「誰かのために」と思うことです。
抽象度が高い状態とは、このような視点を持てることを指します。
- 自分だけでなく、周りの人のことも考えられる
- 今だけでなく、未来のことも見据えられる
- 目先の損得ではなく、本質的な価値を大切にできる
「誰かの役に立ちたい」「社会に貢献したい」と思った瞬間、不思議なことに自分のことも自然と大切にできるようになるのです。
セルフイメージの変化
抽象度が上がると、セルフイメージも変わります。
セルフイメージとは、自分自身に対する無意識の判断や見解が積み重なってできた「無意識の中の自分という認識」のことです。
「誰かの役に立っている自分」というセルフイメージは、「私は価値ある存在だ」「私には人に提供できるものがある」という認識へとつながります。
脳はセルフイメージと現実を一致させようとする性質を持っています。だからこそ、セルフイメージが変われば、行動が変わり、現実が変わっていくのです。
なぜ「人のため」が「自分のため」になるのか
成長への原動力
一見矛盾しているようですが、「人のため」という意識は強力な成長の原動力になります。
誰かの役に立ちたいと思えば、自分も学ぼうとします。もっといい人になろうとします。スキルを磨こうとします。
自分のためだけだと「これくらいでいいか」で止まってしまいがちです。自分一人のためだけだと、どこかで満足してしまうからです。でも、誰かのためだと思えば、もっともっと良くなりたいと自然に思えるのです。
エフィカシーの向上
「人のため」という視点を持つと、エフィカシーも高まります。
エフィカシーとは、自分のゴールを達成する能力に対する自己評価のことです。「自分には誰かの役に立てる力がある」と感じられることは、まさにエフィカシーが高い状態です。
エフィカシーが高いと、挑戦的な行動を取りやすくなります。失敗を「学びの機会」として捉えられるようになります。そして、ゴールに向かう行動が自然に選べるようになるのです。
「自分を大切に」の本当の意味
自己犠牲ではない
ここで誤解してほしくないのは、「自分を犠牲にしなさい」と言っているわけではないということです。
むしろ、誰かのために生きようと思うからこそ、自分も大切にする必要が出てくるのです。
- 自分が健康でないと、誰かを支えられない
- 自分が幸せでないと、誰かを幸せにできない
- 自分が成長していないと、誰かに価値を提供できない
「人のため」という視点があるからこそ、「自分も大事にしよう」と思えるのです。
セルフエスティームとの関係
セルフエスティームとは、自分自身の価値に対する自己評価のことです。「私は価値ある存在だ」と感じられる度合いを指します。
「誰かの役に立っている」という実感は、セルフエスティームを高める最も確実な方法です。他人の評価に依存せずに、自分の存在そのものを尊重できる感覚が育まれていきます。
セルフエスティームが高まると、他人の評価に左右されなくなり、挑戦できるようになり、人間関係が健全になり、幸福感が高まっていきます。
社会貢献を軸にすると起こる変化
コンフォートゾーンの拡大
「誰かのため」という視点を持つと、コンフォートゾーンが広がります。
コンフォートゾーンとは、人がストレスを感じずに安心して過ごせる、慣れ親しんだ物理的・精神的な領域のことです。
自分だけのために生きていると、コンフォートゾーンは「自分の範囲」に限定されます。しかし、誰かのためという視点を持つと、「自分の範囲」が自然と広がっていきます。
コンフォートゾーンが広がると、行動の選択肢が増えます。新しい環境でも本来の力を発揮できるようになります。可能性が大きく広がっていくのです。
人生に意味が生まれる
社会貢献を意識すると、人生に深い意味が生まれます。
「何のために生きているんだろう」という問いに、答えが見つかります。誰かの役に立っている実感は、何よりも深い幸福感を与えてくれます。
他者が幸せになったり成功したりすることで得られる喜びは、利己的な幸福よりも持続的で深いものなのです。
ゴール設定における「誰かのため」の重要性
現状の外側へ
本当に人生を変えたいなら、現状の外側にゴールを設定することが欠かせません。
現状の外側のゴールとは、今の自分の延長線上では達成できない、達成方法が見えない、自己イメージの大きな変化を必要とするゴールのことです。
「誰かのために」という視点を持つと、自然と現状の外側にゴールが設定されます。なぜなら、誰かの役に立とうとすれば、今の自分では足りないことに気づくからです。
その「足りない」という認識が、成長のエネルギーを生み出します。
バランスホイールの視点
バランスホイールという考え方があります。人生のゴールを複数の領域に分けて、全体のバランスを整えるツールです。
典型的な領域としては、仕事・キャリア、健康、家族・パートナーシップ、趣味・自己表現、学び・成長、ファイナンス、人間関係、そして社会貢献があります。
社会貢献という領域を意識することで、他の領域も活性化します。一つの領域だけが満たされている状態では真の豊かさは得られませんが、社会貢献を軸にすると、すべての領域が調和して前に進んでいくのです。
あなたは誰の役に立ちたいですか?
この問いに、答えてみてください。
家族でしょうか。友達でしょうか。同僚でしょうか。地域の人たちでしょうか。同じ悩みを持つ人でしょうか。未来の世代でしょうか。
誰でもいいのです。
大切なのは、「誰か」を思い浮かべること。その人の笑顔を想像すること。
それだけで、あなたのマインドは変わり始めます。スコトーマが外れ、新しい可能性が見えてきます。エフィカシーが高まり、行動が変わり始めます。
「自分のため」から「誰かのため」へ。
その視点のシフトが、あなたの人生を大きく変える第一歩になります。今日から、新しい生き方を始めてみませんか?
