コラム

セルフトークが、あなたの自己イメージを設計している

蓮彩聖基

あなたの自己イメージを作っているのは、他人の評価や、これまでの実績そのものではありません。同じことを言われ、同じ経験をしても、それを自分の中でどう評価し、自分にどう言い聞かせ、何を受け入れてきたのか。その積み重ねが、自分という見え方を決めているのです。

私たちは、思っている以上に、一日中、自分自身に話しかけ続けています。その言葉には、二つの層があります。一つは、声に出してつぶやく言葉。もう一つは、声にはならないけれど、頭の中だけを流れていく言葉です。

苫米地式コーチングでは、この二つをまとめて、セルフトークとして説明します。口から出た独り言も、心の中の独り言も、同じように自分自身へのメッセージとして働き、自己評価を積み上げていくからです。その多くは、自分でも気づかないうちに、自動的に繰り返されています。意識にのぼらないからこそ、止まることがないのです。

ここで、少し思い返してみてください。その絶え間ないつぶやきには、ネガティブなものが多くありませんか?「また失敗した」「どうせ自分には無理だ」など、なぜ、わざわざ自分を下げる言葉ばかりが浮かんでくるのでしょうか。

理由は、私たちのマインドの仕組みそのものにあります。人の記憶は、うまくいったことよりも、失敗したことを強く残すようにできています。私たちの学習が、失敗し、それを調整することの繰り返しから成り立っているからです。痛みとともに刻まれなければ、人は同じ過ちを避けられません。生き延びるために、ネガティブな出来事ほど鮮明に残るように、私たちはできているのです。

問題は、ここから先です。自分に語りかけるという行為は、その出来事をもう一度体験するのと、ほとんど同じ働きを持っています。たった一度の失敗でも、セルフトークによって頭の中で何度も再生されれば、脳にとっては、何度も失敗したのと変わりません。こうして、たった一つの出来事が、「自分はこの程度の人間だ」という評価へと、繰り返し上書きされていくのです。

その上書きの積み重ねが、自己イメージ——自分で自分をこう見ているという、見え方そのもの——を形づくっています。ですから、セルフトークは、ただの独り言ではありません。それは、あなたの自己イメージそのものを、毎瞬、設計し続けている言語なのです。

そして、自己イメージは、あなたの内側だけの話では終わりません。自分をどう見ているかは、世界をどう見るかと、地続きだからです。自分を「できない人間」と見ている人には、できない理由の方が先に目に入ります。自分を「進んでいける人間」と見ている人には、進むための手がかりの方が見えてきます。同じ景色を前にして、何が見え、何が見えないか。その輪郭を引いているのが、自己イメージなのです。

だからこそ、大切なことは一つです。セルフトークをコントロールするのか、セルフトークにコントロールされるのか。何もしなければ、過去の失敗をなぞる言葉が、そのまま自己イメージをさらに固定化していきます。ですが、設計しているのが自分自身の言葉である以上、その設計図は、自分で引き直すことができます。

では、どうすればセルフトークを、自分の味方にしていけるのでしょうか。ここで手がかりになるのは、言葉が向いている方向の違いです。「無理だ」と諦める言葉、「やるべきなのに」と願うだけの言葉、「もうやめよう」と過去を断つ言葉。ここまではすべて、視点が過去と現状に縛られたままです。過去を否定してみても、その先に立つ自分の姿が描けていなければ、人はまた元の自分へ戻っていきます。

鍵になるのは、もう一段先の言葉です。「次は、こうする」。すでにそうなっている自分を当たり前の前提として、未来の側から、今の自分へ語りかける。この段階のセルフトークだけが、自己イメージを未来へ引き上げていきます。

たとえば、人前で話してうまくいかなかったとき。「自分は話すのが下手だ」とつぶやけば、その一言が、次の機会の自分まで縛ってしまう可能性があります。ですが「次は、最初の一言をこう変える」と言えるなら、視線はもう失敗ではなく、達成した先に向いています。同じ出来事が、過去を固める材料にも、未来をつくる材料にもなるのです。

この、未来の自分が当たり前に使っているはずの言葉を、今の自分にあらかじめ取り入れていく。それがアファメーション、つまり、望む自己イメージを、言葉によって先に書き込んでいく方法です。言葉が変われば、自分の見え方が変わります。見え方が変われば、選ぶ言葉も、踏み出す距離も、目に入るものも変わっていきます。

あなたが自分に向けてつぶやく、その小さな声の一つひとつが、明日のあなたを設計しているのです。

ABOUT ME
蓮彩聖基(はすたみ こうき)
蓮彩聖基(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ(2016年認定)、苫米地テオレム認定シニアエバンジェリスト(Senior-TTCE、2026年認定)。苫米地理論の解説と、苫米地式コーチングに基づく一対一のパーソナルコーチングを行っています。
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