やるべきことから逃げてしまう本当の理由|創造的逃避の罠から抜け出す方法

蓮彩聖基

大切なプレゼンの資料を作る必要があるのに、気づいたら部屋の掃除を始めている。

転職活動をしようと思っているのに、SNSをずっと眺めている。

「あれ、私、何してるんだろう…」

こんな経験、ありませんか?

実は、これは単なる怠けではありません。

創造的逃避という、誰もがはまってしまう心理的な罠なのです。

この記事では、この罠のメカニズムと、そこから抜け出す方法をお伝えします。

創造的逃避とは何か

一見、前向きに見える逃避

創造的逃避とは、本当に大切なことから目をそらすために、別の「前向きに見える活動」に逃げ込んでしまう行動のことです。

ただゴロゴロしているのではなく、掃除をしたり、資格の勉強を始めたり、情報収集をしたり。

一見すると、ちゃんと何かをしているように見えます。

だからこそ、本人も周りも気づきにくいのです。

なぜ「創造的」なのか

この逃避が「創造的」と呼ばれるのは、脳が「やらなくていい理由」を創造的に見つけ出すからです。

「部屋が散らかっていると集中できないから、まず掃除しよう」

「もっと準備してからのほうが効率的だから、先に勉強しよう」

「情報が足りないから、もっと調べてからにしよう」

もっともらしい理由を次々と生み出して、本当にやるべきことを先延ばしにしてしまうのです。

なぜ、私たちは逃避してしまうのか

不安と恐れが背景にある

創造的逃避の背景には、必ず不安や恐れがあります。

「失敗したらどうしよう」

「うまくいかなかったら恥ずかしい」

「批判されたら傷つく」

こうした感情から自分を守るために、脳は「今はやらない」という選択をさせようとします。

コンフォートゾーンを守ろうとする

人間の脳には、ホメオスタシスという、今の状態を維持しようとする働きがあります。

新しいことに挑戦したり、大きな変化を起こそうとしたりすると、脳は「危険かもしれない」と判断します。

そして、コンフォートゾーン、つまり慣れ親しんだ安全な場所に戻そうとするのです。

掃除やSNSチェックは、あなたにとって慣れた行動です。

脳は、そちらのほうが「安全」だと感じるから、そこに逃げ込ませようとします。

創造的逃避の具体例

準備ばかりして行動しない

「もっと勉強してから」

「もっと資格を取ってから」

「もっと準備が整ってから」

そう言って、ずっと準備だけを続けている状態です。

準備は確かに大切ですが、完璧な準備が整うことは永遠に来ません。

環境を整えることに逃げる

「デスクを片付けてから」

「部屋を掃除してから」

「新しいノートを買ってから」

環境を整えることは悪いことではありません。

でも、それが本当にやるべきことの「言い訳」になっていませんか?

別の活動に没頭する

本当は転職活動をしなければいけないのに、趣味に没頭する。

本当はパートナーと向き合わなければいけないのに、仕事ばかりする。

どちらも大切なことですが、「本当に向き合うべきこと」から目をそらす手段になっているなら、それは創造的逃避です。

この罠がもたらす代償

自己否定が強くなる

「また、やれなかった」

「私って、ダメだな」

創造的逃避を繰り返すたびに、こうした否定的なセルフトークが強化されます。

そして、セルフイメージが「私は行動できない人間だ」というものに固まっていきます。

エフィカシーが下がる

エフィカシーとは、ゴールを達成する自己能力に対する自己評価のことです。

創造的逃避を繰り返すと、「私にはできない」という認識が深まり、エフィカシーがどんどん下がっていきます。

エフィカシーが下がると、ますます行動できなくなるという悪循環に陥ります。

本当にやりたいことから遠ざかる

創造的逃避を続けている限り、あなたは本当にやりたいことに近づくことができません。

時間だけが過ぎていき、「もう遅いかもしれない」という焦りや後悔が積み重なっていきます。

創造的逃避から抜け出す方法

まず、気づくこと

最初のステップは、「今、私は逃避しているかもしれない」と気づくことです。

「本当に今やるべきことは何だろう?」

「私は何から逃げているのだろう?」

こう自分に問いかけてみてください。

不安や恐れと向き合う

次に、あなたが何を恐れているのかを明確にしましょう。

「失敗したら恥ずかしい」

「批判されたら傷つく」

「うまくいかなかったら自信がなくなる」

恐れを言葉にすることで、それは少し小さくなります。

そして、「わたしなら大丈夫」「完璧じゃなくてもいい」と自分に許可を出してあげてください。

ゴールの臨場感を高める

ビジュアライゼーションを使って、ゴールを達成している自分をリアルに体験してみてください。

その時の喜び、達成感、安心感を、今この瞬間に味わうのです。

脳は、臨場感の高い方の世界を現実として認識します。

ゴール側の臨場感が高まると、そこに向かう行動が自然になってきます。

60点でいいから、まず形にする

完璧主義は、創造的逃避の大きな原因です。

「完璧にできないなら、やらない」という思考を手放しましょう。

60点でいい、50点でもいい。

まず形にすることが大切です。

完璧でなくても行動することで、「私はできる」という新しい情動記憶が刻まれていきます。

小さく始める

いきなり大きなことをやろうとすると、脳は抵抗します。

だから、小さくでも始めてみましょう。

「10分だけやってみる」

「最初の一行だけ書いてみる」

「とりあえず、必要なものを机に出してみる」

小さな一歩を踏み出すことで、脳は「これは安全だ」と認識し、次の行動につながりやすくなります。

自分に正直になる

本当にやりたいことなのか?

もし、何度も何度も同じことから逃避してしまうなら、一度立ち止まって考えてみてください。

「これは、本当に私がやりたいことなのだろうか?」

もしかしたら、それは他人の期待や社会の常識から来ている「やるべきこと」かもしれません。

自分の内側から湧き上がる「やりたい」という想いではなく、外側から押し付けられた「やるべき」なら、それは本当のゴールではありません。

自分の本当の想いを見つける

あなたが心から「これをやりたい」と思えることは何ですか?

それが見つかったとき、創造的逃避は自然と減っていきます。

なぜなら、本当にやりたいことには、努力ではなく自然とエネルギーが向かうからです。

あなたは変われる

創造的逃避は、誰もが経験する自然な心の働きです。

自分を責める必要はありません。

大切なのは、気づいて、少しずつ変えていくことです。

今日から、小さな一歩を踏み出してみませんか?

あなたが本当にやりたいことに向かって進むとき、人生は大きく動き始めます。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 <br>(はすたみ こうき)
蓮彩 聖基
(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ
苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了
ドクター苫米地ワークス修了
田島大輔グランドマスターコーチに師事
認知科学者 苫米地英人博士より、
無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得
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