自己肯定感を高める方法|過去の言葉に縛られない自分へ
「自己肯定感が低い」と感じていませんか
最近、特に若い女性を中心に「自己肯定感」という言葉が日常的に使われるようになってきました。
「私って自己肯定感が低いんです」「もっと自己肯定感を高めたい」という声をよく耳にします。
多くの場合、その意味は「自分に価値があるか、ないか」「自信があるか、ないか」といったニュアンスで使われています。文字通り、自分を肯定すること。存在意義や存在価値をどれだけ評価できているかということです。
では、自己肯定感とは何なのか。どうすれば高めることができるのか。その本質と具体的な方法をお伝えしていきます。
セルフエスティームという考え方
セルフエスティームとは
コーチングでは「自己肯定感」をセルフエスティームという概念で説明します。
「エスティーム」とは、尊敬する、尊重する、という意味です。つまりセルフエスティームとは、自分をどれだけ大切で価値ある存在と認められるかということを指します。
これは「何かができるから価値がある」という条件付きの評価ではありません。何かを成し遂げたかどうかに関係なく、存在そのものに価値があると感じられる感覚なのです。
エフィカシーとの違い
セルフエスティームと似た概念にエフィカシーがあります。
エフィカシーとは「ゴールを達成する自己能力の自己評価」のこと。つまり、「私はこのゴールを達成できる」という確信の度合いです。
両者の違いを整理すると次のようになります。
- セルフエスティーム:存在そのものの価値に対する評価
- エフィカシー:達成能力への確信
セルフエスティームが土台となり、その上にエフィカシーが育まれていきます。自分の存在を認められなければ、ゴールを達成する自分を信じることも難しくなるのです。
今回のテーマは自己肯定感なので、セルフエスティームに焦点を当ててお話ししていきます。
自己肯定感の評価基準はどこから来るのか
幼少期の言葉が影響する
「自分には価値がない」「自分はダメな人間だ」——そんなふうに感じてしまうのは、いったいなぜでしょうか?
その答えの多くは、幼少期から受けてきた言葉にあります。
私たちは幼いころから、親や周囲の人たちにさまざまな言葉をかけられてきました。それらは必ずしもポジティブなものばかりではなく、中には可能性を狭めるものも多かったはずです。
ネガティブな評価の具体例
たとえば、次のような言葉を聞いたことはありませんか?
- 「あなたには無理よ」
- 「もっとしっかりしなさい」
- 「お姉ちゃんはできるのに」
- 「女の子なんだから」
- 「そんな夢は現実的じゃない」
特に両親や先生は、過去の実績を基準に評価しがちです。その代表例が「偏差値による評価」でしょう。
テストの点数、成績表、偏差値——これらは過去の行動の結果にすぎません。しかし、大人たちはその数字を見て「あなたはこのくらいの人間だ」と評価してしまうのです。
言葉は無意識に刻まれる
子どもの頃に受けた言葉は、本人が覚えていなくても無意識に深く刻まれています。
特に、信頼している人から繰り返し言われた言葉は、そのまま信念として心に根付いてしまいます。
「あなたには無理」と何度も言われた子どもは、やがて自分でも「私には無理なんだ」と思い込むようになります。これが、セルフエスティームを低くしている正体なのです。
未来の可能性を見ない人たち
ドリームキラーとは
夢を否定し、可能性を狭めてしまう存在のことをドリームキラーと呼びます。
ドリームキラーは、あなたの過去から現在までの姿しか見ていません。未来の可能性や、あなたの中にある熱い想いを見ようとしないのです。
典型的なケース
たとえば、こんなケースを想像してみてください。
高校2年生の夏、ある生徒が進路を決意しました。「今まで勉強してこなかったけど、東大に進学して国際情勢を学び、外交官になりたい!」
そう話したとき、多くの先生や親はこう言うでしょう。「今の成績じゃ無理だと思うよ」「もっと現実的な目標にしなさい」
これがドリームキラーの典型的な反応です。
ドリームキラーに悪意はない
ここで大切なのは、ドリームキラーの多くに悪意はないということです。
彼らは「傷ついてほしくない」「失敗してほしくない」という気持ちから、あなたの夢を否定しています。あなたを守ろうとして、結果的にあなたの可能性を狭めてしまっているのです。
だからこそ、身近な人ほどドリームキラーになりやすいのです。両親、先生、友人、恋人——大切な人から言われた言葉だからこそ、深く心に刺さってしまいます。
言葉がセルフイメージを形づくる
ネガティブな言葉は記憶に残りやすい
人間の脳にはネガティビティ・バイアスという性質があります。
これは、ポジティブな言葉よりも、失敗や否定的な言葉を強く記憶する傾向のことです。危険を察知して身を守るための、脳の自然な働きなのです。
しかし、この性質があるために、私たちはネガティブな言葉ばかりを覚えてしまいます。
10回褒められても、1回の否定的な言葉の方が心に残る。そんな経験はありませんか?
セルフイメージへの影響
繰り返し受けたネガティブな言葉は、やがてセルフイメージを形成していきます。
セルフイメージとは、自分自身に対する無意識の認識のこと。「私はこういう人間だ」という、心の中で思い描いている自分らしさです。
「私は頭が悪い」「私には才能がない」「私は愛される価値がない」——こうしたセルフイメージが、無意識のうちに行動を制限し、可能性を狭めてしまうのです。
自分を責めないでほしい
もし今「自己肯定感が低い」と感じているなら、それはあなたのせいではありません。
過去に受けた言葉が影響しているだけで、本来あなたの価値が低いわけではないのです。
あなたの価値は、誰かの言葉で決まるものではありません。テストの点数でも、偏差値でも、年収でも、容姿でもありません。
あなたは、存在しているだけで価値がある。まずはそのことを知ってほしいのです。
自己肯定感を高めるプロセス
では、具体的にどうすればセルフエスティームを高められるのでしょうか?
自分の評価は自分で決める
まず大切なのは、自分の評価基準を自分で握るということです。
他人の言葉に左右されない。過去の結果に縛られない。あなたの価値は、あなた自身が決めるものなのです。
誰かに「あなたには無理」と言われたとしても、それはその人の意見にすぎません。あなたの可能性を決める権利は、その人にはないのです。
ポジティブな記憶を活用する
次に、過去のポジティブな体験を思い出すことが効果的です。
どんな人の過去にも、必ずプラスの経験があるはずです。
- 人に優しくできた瞬間
- 誰かに感謝された経験
- 心から幸せを感じた時間
- 何かを達成できた喜び
- 大切な人と過ごした温かい記憶
こうした体験を思い出し、その時の感情を「今ここ」で味わうことが大切です。
実践ステップ
具体的な実践方法をご紹介します。
- ノートにポジティブな記憶を書き出す:小さなことでも構いません。「友達に優しい言葉をかけられた」「上司に褒められた」「美味しいご飯を作れた」——どんなことでもOKです。
- 書きながらその体感を味わう:単に文字を書くだけでなく、その時の感情を思い出してください。嬉しかった気持ち、温かかった感覚、誇らしかった瞬間。身体で感じるように意識します。
- 日々思い出し、臨場感を育てる:書いた記憶を毎日少しずつ読み返し、その感覚を繰り返し味わいます。臨場感が高まるほど、ポジティブな自己評価が無意識に定着していきます。
これを続けることで、セルフエスティームは自然に高まっていきます。
セルフエスティームが高まると何が変わるか
セルフエスティームが高まると、人生のあらゆる側面に変化が現れます。
自分を大切にできる
まず、自分を大切にできるようになります。
無理をしすぎない。自分の気持ちを尊重する。必要な時には「NO」と言える。自分の身体と心を労わることができるようになります。
人にも優しくできる
自分を大切にできる人は、他人にも自然と優しくなれます。
自分を責めている人は、無意識のうちに他人も責めてしまいがちです。でも、自分を認められるようになると、他人のことも認められるようになるのです。
周囲に良い影響を与えられる
セルフエスティームが高い人は、周囲にポジティブな影響を与えます。
あなたが自分を大切にしている姿を見て、周りの人も「自分を大切にしていいんだ」と感じられるようになります。あなたの変化は、あなただけでなく、あなたの周りの人たちにも広がっていくのです。
自己肯定感は「自分で育てられる」
この記事のポイント
- 自己肯定感=セルフエスティーム(自分の存在価値への評価)
- 幼少期からの言葉がセルフイメージを形成している
- ネガティブな評価は「あなた自身の本質」ではない
- 自分の評価は自分で決めること
- ポジティブな記憶を日々思い出し、臨場感を強める
自己肯定感は生まれつき決まるものではありません。小さな実践で、誰でも育てていける力です。
過去に受けた言葉に縛られる必要はありません。あなたの価値は、あなた自身が決められるのです。
今日から少しずつ、自分を大切にする習慣を始めてみてください。ポジティブな記憶を思い出し、その感覚を味わう。それだけで、セルフエスティームは確実に育っていきます。
あなたは、存在しているだけで価値がある。その事実を、どうか忘れないでください。
