女性の生き方

言い訳が止まらない理由|創造的逃避を味方にする方法

蓮彩聖基

言い訳を思いつくのは脳の正常な働き

誰かに何かを頼まれたとき、つい言い訳をしてしまった経験はありませんか?

「今は忙しいから」「もう少し準備ができてから」「体調がよくないから」

やりたくないことに直面したとき、私たちは驚くほど上手に「やらなくてすむ理由」を見つけ出します。そして無意識のうちに、本当にやらない方向へと行動が導かれていくのです。

実はこれは、あなたの脳が正常に働いている証拠です。

私たちには、やりたくないことに対してクリエイティブに回避する理由を思いつく機能が備わっています。この機能を創造的逃避(クリエイティブ・アボイダンス)と呼びます。

この記事では、創造的逃避がなぜ起こるのか、そしてどうすればこの機能を味方につけられるのかをお伝えします。

「やりたくないこともやるべき」という思い込み

子どもの頃から刷り込まれた価値観

私たちは子どもの頃から、「やりたくないこともやるのが当たり前」と教えられてきました。

  • 言い訳を言うのは子どもだ
  • 大人はやりたくないことでもやるべきだ
  • 我慢することが美徳だ

学校でも、家庭でも、社会に出てからも、こうした価値観が繰り返し伝えられます。「やりたくないことでもやるのが大人・社会人だ」という言葉を、何度聞いてきたことでしょうか。

女性が特に陥りやすいパターン

特に女性は、「周りに合わせるべき」「自分の気持ちより相手を優先すべき」という信念を持ちやすい傾向があります。

その結果、やりたくないことを我慢して引き受け、疲弊してしまう方が少なくありません。本当は断りたいのに断れない。本当は休みたいのに休めない。そんな状態が続くと、心も体も消耗していきます。

この「やりたくないこともやるべき」という信念こそ、あなたの可能性を狭めている原因かもしれません。

行動の2つの源泉を理解する

want-toとhave-toの違い

私たちの行動には、2つの源泉があります。

want-toとは、「〜したい」という自分の願望や希望から生まれる行動です。誰かに言われなくても自然とやりたくなること、時間を忘れて没頭できること、それがwant-toです。

have-toとは、「〜しなければならない」という義務感から生まれる行動です。本当はやりたくないけれど、やらないといけないからやっていること、それがhave-toです。

have-toが当たり前になる過程

私たちは大人になるにつれて、have-toが当たり前という信念を深く刻み込まれていきます。

  • 「やりたいことより、やるべきことを優先しなさい」
  • 「好きなことばかりやっていては生きていけない」
  • 「責任ある大人はやりたくないこともやるものだ」

こうした言葉を繰り返し聞くうちに、「have-toで生きるのが正しい」というブリーフシステム(信念体系)が形成されていきます。

しかし、私たちの脳には「have-toをやろうとすると、それを回避するための行動を取る機能」が備わっています。それが創造的逃避なのです。

創造的逃避とは何か

脳があなたを守ろうとしている

創造的逃避とは、ストレスや不安を軽くするために、想像力を使ってゴールや目的から離れようとする行動や態度のことです。

一見すると前向きに工夫しているように見えますが、実際には「本当に大切なこと」から目をそらす働きをしています。単なる怠けではなく、生産的で前向きな活動をしているように見えるのが特徴です。

やりたくないことに出くわしたとき、私たちの脳は以下のような反応を示します。

  • つい言い訳を言ってしまう
  • 急に憂鬱な気分になる
  • 行動がスローダウンする
  • 別のことに逃げ込む
  • 体調を崩す

これらはすべて、創造的逃避という機能が働いているからなのです。

コンフォートゾーンとの関係

創造的逃避は、コンフォートゾーンと深く関係しています。

コンフォートゾーンとは、人がストレスを感じずに安心して過ごせる、慣れ親しんだ領域のことです。私たちの脳は、このコンフォートゾーンの外側に出ることを「危険」と判断し、元の安全な場所に戻そうとします。

やりたくないことは、たいていコンフォートゾーンの外側にあります。だから脳は、あなたを守るために創造的に「やらなくていい理由」を見つけ出すのです。

創造的逃避は、単なる意志の弱さではありません。脳があなたを「危険」から守ろうとする、正常な防衛反応なのです。

創造的逃避の具体例

創造的逃避には、さまざまなパターンがあります。

掃除や片付けに逃げる

やりたくない仕事があると、急に部屋の掃除を始めてしまう。「環境を整えてから」という一見合理的な理由で、本当にやるべきことから逃げているパターンです。

準備ばかりして行動しない

「もっと勉強してから」「もっと資格を取ってから」「もっと情報を集めてから」と言い続けて、いつまでも本番に踏み出さないパターンです。

別の趣味や活動に没頭する

本当にやるべきことがあるのに、別の活動に時間とエネルギーを注いでしまうパターンです。その活動自体は悪いことではないのに、本来の目的から遠ざかっていきます。

完璧を求めすぎる

「完璧にできないならやらない」と自分に言い聞かせ、行動しないことを正当化するパターンです。完璧主義は、創造的逃避の隠れ蓑になることがあります。

これらに共通するのは、一見前向きで生産的に見えるため、本人も周囲も気づきにくいということです。「頑張っているのに結果が出ない」状態になりやすいのが、創造的逃避の厄介なところです。

やりたくないことを続ける弊害

創造性と生産性が落ちる

「やりたくないことでもやるのが当たり前」という社会になっていますが、本来はやりたくないことはやらない方が自然なのです。

義務感で動いているとき、脳は最小限のエネルギーで済ませようとします。新しいアイデアや工夫は生まれにくくなり、創造性が発揮されません。

また、やりたくないことに取り組むとき、集中力も持続力も低下します。同じ時間でも成果が出にくくなり、生産性が落ちていくのです。

セルフエスティームが下がる

やりたくないことをやっている状態は、「自分の気持ちより他のことを優先している」状態です。

これを続けると、「私の気持ちは大切にされるべきではない」という信念が無意識に刻まれていきます。結果として、セルフエスティーム(自己肯定感)が下がっていくのです。

やりたくないことをやり続けることは、自分を大切にできていない状態なのです。

本当にやりたいことが見えなくなる

have-toで埋め尽くされた日々を送っていると、「私は何がしたいんだろう?」という感覚すら分からなくなってしまいます。

自分の本当の願望や希望に気づく余裕がなくなり、ただ目の前のことをこなすだけの日々になってしまうのです。

ゴール設定が創造的逃避を消す

ゴールがあると景色が変わる

ゴールとは、自分の意思で心から達成したいと思うことを定めたものです。単なる願望や「できたらいいな」ではなく、「私はこうなる」という強い意志とコミットメントを伴います。

そして重要なのは、ゴールは現状の外側に設定するということです。今の自分の延長線上では達成できない、自己イメージの大きな変化を必要とする領域に置くのです。

ゴールを設定すると、これまでhave-toに感じていたことが「ゴールに向かうための必要性」として認識されるようになります。

ゴールがあると変わること

明確なゴールを持つと、以下のような変化が起こります。

  • 険しい道のりでも自然に取り組める
  • 「必要だからやる」と責任を持って受け入れられる
  • want-toに近い感覚で進められる
  • 創造的逃避が働かなくなる

同じ行動でも、「やらされている」と感じるか「自分で選んでやっている」と感じるかで、まったく違う体験になるのです。

具体的な例で考える

たとえば、英語の勉強が苦手で続かない女性がいるとします。

「英語を勉強しなきゃ」と思っているだけでは、have-toです。脳は創造的に「今日は疲れているから」「もう少し時間ができてから」という理由を見つけ、勉強から遠ざかっていきます。

しかし、「海外で自分のビジネスを展開している」というゴールを設定したらどうでしょうか?

英語は「やらなければならないこと」から「ゴールに向かうための必要性」に変わります。現地のパートナーと笑顔で会話している自分、海外のクライアントに喜ばれている自分を鮮明にイメージすると、英語の勉強は自然と「やりたいこと」に近づいていくのです。

「やりたくないことはやらない」は理想論ではない

ポイントは「捉え方」の変化

「やりたくないことはやらない」と聞くと、現実離れした理想論だと感じるかもしれません。確かに、私たちの日常には一見「やりたくないこと」が溢れています。

たとえば、生活のために慣れない仕事をしている女性がいるとします。仕事内容自体はwant-toではないかもしれません。疲れる日もあるし、辞めたいと思うこともあるでしょう。

しかし、その仕事が明確なゴールに向かうための手段として位置づけられていたらどうでしょうか?

  • 「3年後に自分のお店を開くための資金づくり」
  • 「子どもの教育環境を整えるための投資」
  • 「将来の夢を叶えるための土台づくり」

こうしたゴールがあると、同じ仕事でも「やらされている」から「自分で選んでやっている」に変わります。コンフォートゾーンの外側にある仕事でも、ゴールへの必要性として認識できれば、創造的逃避は働きにくくなるのです。

「何をするか」より「なぜするか」

大切なのは「何をするか」ではなく「なぜするか」です。

ゴールが明確であれば、同じ行動でも意味づけが変わります。have-toがwant-toに近い感覚に変わっていくのです。

自分で選んでやっていると認識できれば、創造的逃避は働かなくなります。

やりたくないことをやっているサイン

もし今、あなたが慢性的にやる気が出なかったり、言い訳ばかり思いついてしまうなら、以下の可能性を考えてみてください。

誰かに強制されている

本当は自分で選んでいないことを、仕方なくやっている状態です。

親の期待、上司の命令、パートナーの要望など、外からの圧力によって行動している場合、脳は自然と逃げ道を探し始めます。

誰かの価値観に支配されている

「〜すべき」「〜しなければ」という言葉が頭に浮かぶときは要注意です。

親の期待、社会の常識、周りの目を基準に行動している状態かもしれません。自分の本当の願望ではなく、他人の価値観で生きていると、創造的逃避が頻繁に起こります。

ゴールがうまく設定できていない

心から達成したいゴールがないと、すべてがhave-toになってしまいます。

あるいは、ゴールはあっても現状の延長線上にあり、ワクワクしないものになっている可能性があります。

「やりたくないことばかり」と感じるときこそ、ゴールを見直すタイミングです。

自由と責任のある生き方へ

自分らしく生きるために

私たちはどんなときでも、やりたいことをやっているべきなのです。それでこそ、自由に責任を持って生きることができます。

自分らしく生きるために、以下のことを意識してみてください。

心からのゴールを設定する

「できたらいいな」ではなく「私は〇〇をする」と宣言できるゴールを持ちましょう。そのゴールを思い描いたとき、胸が高鳴る感覚があるかどうかが大切です。

現状の外側にゴールを置く

今の自分の延長線上にはない、自己イメージの変化を必要とする領域にゴールを設定します。達成方法がわからないくらいのゴールが、本物のゴールです。

have-toをゴールへの必要性に変換する

やりたくないと感じることも、ゴールに向かう過程として意味づけることで、want-toに近い感覚で取り組めるようになります。

自分の選択に責任を持つ

「やらされている」ではなく「自分で選んでやっている」という意識を持つことで、創造的逃避は働かなくなります。

他人がやりたがらないことも自然にできる

他人がやりたがらないことでも、自分にとっては当たり前にできる。それは、あなたの中に明確なゴールがあるからです。

ゴールに向かって進んでいるとき、困難な道のりも「必要な過程」として受け入れられます。創造的逃避が働く隙がなくなるのです。

これこそが、自分らしく責任ある大人の生き方なのです。

まずは「私は何のためにこれをしているのか?」と自分に問いかけてみてください。その答えがあなたの行動を変えていくはずです。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了。ドクター苫米地ワークス修了。田島大輔グランドマスターコーチに師事。認知科学者 苫米地英人博士より、無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得。
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