努力しても元に戻ってしまうのはなぜ?変われない理由と潜在意識を変える方法

蓮彩聖基

あなたは今まで、何度も「変わりたい」と思って努力してきたのではないでしょうか?

早起きしようと決めても三日坊主になってしまったり、ダイエットを始めても結局元の食生活に戻ってしまったり。「今度こそは」と思って挑戦するのに、気づけばいつもの自分に戻っている。

そんな自分に対して、「私は意志が弱いんだ」「やっぱり私には無理なんだ」と落ち込んでしまったことはありませんか?

でも、あなたが変われないのは、意志が弱いからでも、努力が足りないからでもありません。

実は、あなたの脳には「今の状態を保とうとする力」が備わっているのです。

あなたの脳には「元に戻そうとする力」がある

私たちの脳には、ホメオスタシスという機能が備わっています。

これは「恒常性維持機能」と呼ばれ、体温を一定に保ったり、血糖値を調整したりと、身体を安定した状態に保つための大切な仕組みです。

身体だけでなく心も「現状維持」しようとする

このホメオスタシスは、実は身体の機能だけではありません。

人間の脳は進化の過程で高度に発達したため、心の世界、つまり思考や感情、行動パターンにもホメオスタシスが働くようになったのです。

あなたがいつも選んでしまう思考パターン、いつもの行動、いつもの感情の反応。これらすべてが、脳にとっての「いつもの状態」として記憶されています。

そして脳は、この「いつもの状態」を保とうとします。

変化は脳にとって「危険信号」

新しいことに挑戦しようとするとき、あなたの脳は無意識のうちにこう判断します。

「これは今までと違う。もしかしたら危険かもしれない」

そして、あなたを元の安全な場所、つまり「いつもの自分」に戻そうとするのです。

これが、三日坊主になってしまう本当の理由です。あなたの意志が弱いわけでも、努力が足りないわけでもありません。

単純に、脳があなたを守ろうとして、元に戻そうとしているだけなのです。

潜在意識が持つ「現状」のイメージ

私たちが意識できている思考や感情は、実は脳全体のほんの一部に過ぎません。

意識できる部分はわずか数パーセントで、残りの90パーセント以上は潜在意識、つまり無意識の領域だと言われています。

無意識が「これが私」を決めている

この潜在意識の中には、あなたが意識していない間にも、たくさんの情報が蓄積されています。

「私はこういう人間だ」というセルフイメージ、「世の中はこういうものだ」という信念、そして「これが心地よい」と感じる範囲、つまりコンフォートゾーン。

これらはすべて、潜在意識の中に存在しています。

そして、ホメオスタシスは、この潜在意識にある「いつもの自分」を基準にして働きます。

たとえば、潜在意識の中で「私は朝が苦手な人間だ」というセルフイメージが定着していたとします。

すると、どれだけ意識的に「明日から早起きしよう」と決めても、潜在意識は「それは私らしくない」と判断し、元の状態に戻そうとするのです。

意志の力だけでは変われない理由

ここで大切なのは、意識の力と無意識の力の強さの違いです。

どれだけ強い意志を持っていても、それは意識のレベルでの決意に過ぎません。

一方、潜在意識は膨大な情報を処理し、あなたの行動や判断のほとんどを無意識のうちに決めています。

意識vs無意識の力関係

意識的に「変わりたい」と思う力を10だとすると、無意識が「元に戻したい」と思う力は90以上あると言われています。

だからこそ、意志の力だけで変わろうとしても、結局は無意識の力に負けてしまうのです。

これは、あなたが弱いからではありません。むしろ、人間の脳の仕組みとして、当然のことなのです。

潜在意識を書き換えることで自然と変わる

では、どうすれば本当の変化を起こせるのでしょうか。

答えはシンプルです。潜在意識そのものを変えること。つまり、無意識の中にある「いつもの自分」のイメージを書き換えることです。

ゴール側の世界に臨場感を持つ

「ゴール側の世界」に強い臨場感を持つことが鍵になります。

臨場感とは、「リアルに感じられる度合い」のこと。

私たちの脳は、臨場感が高い方の世界を「現実」だと認識します。つまり、「なりたい自分」の世界をよりリアルに感じられるようになれば、脳のホメオスタシスは、その未来の自分を維持しようと働き始めるのです。

ビジュアライゼーションで未来を体験する

具体的な方法の一つが、ビジュアライゼーションです。

これは、ゴールを達成した未来の自分を、五感すべてを使ってリアルにイメージする技術です。

たとえば、あなたが「自信を持って新しい仕事に挑戦する」というものをゴールに設定したとします。

その未来の一日を、できるだけ具体的にイメージしてみましょう。

朝起きて、どんな気持ちで目覚めますか。鏡に映る自分は、どんな表情をしていますか。職場に向かうとき、どんな景色が見えますか。同僚とどんな会話をしていますか。

視覚だけでなく、聴覚、触覚、嗅覚、そして何より、その時に感じる感情まで、すべてをリアルに感じてください。

アファメーションで言葉を刷り込む

もう一つの方法が、アファメーションです。

これは、ゴールを達成した状態を「すでに事実である」かのように、言葉で宣言する技術です。

たとえば、「私は自信を持って新しい挑戦をしている」「私は自分の可能性を信じている」といった言葉を、現在形で、肯定的に、感情を込めて繰り返します。

脳は、現実と想像の区別があいまいです。だからこそ、言葉と感情を使って臨場感を高めることで、無意識のセルフイメージが徐々に書き換えられていくのです。

ホメオスタシスを味方にする

ここまで読んで、あなたはこう思うかもしれません。

「ホメオスタシスって、変化を邪魔するものなんじゃないの?」

確かに、現状に留まろうとする力としてホメオスタシスは働きます。でも、これは敵ではありません。むしろ、味方にすることができるのです。

基準が変われば、維持する先が変わる

ホメオスタシスは、「何を現状とするか」という基準によって働きます。

もし、あなたの潜在意識の中で「これが私の現状だ」と認識されているものが、ゴール側の世界に移ったらどうなるでしょうか。

ホメオスタシスは、その新しい状態を維持しようと働き始めます。

つまり、ゴールを達成した自分の方が「いつもの自分」になれば、脳は自然とその状態を保とうとするのです。

焦らず、少しずつ

ただし、潜在意識を書き換えるには時間がかかります。

一度や二度イメージしただけで、何十年も定着していたセルフイメージが変わるわけではありません。

大切なのは、毎日少しずつ、繰り返し続けること。

朝起きたとき、夜寝る前、そしてふとした瞬間に、ゴール側の世界を思い描き、その感情を味わう。

この積み重ねが、やがて潜在意識そのものを変えていくのです。

あなたはもう、変わり始めている

努力しても変われないのは、あなたのせいではありません。

ただ、変化を起こすための方法を知らなかっただけ。

潜在意識にアプローチする方法を知り、ホメオスタシスを味方につけることができれば、あなたは自然と、なりたい自分へと変わっていけます。

意志の力で無理やり変わろうとするのではなく、内側から、自然と変わっていく。

それが、本当の変化です。

あなたの中には、すでに無限の可能性が眠っています。

その可能性に気づき、潜在意識を書き換えることで、あなたはもっと自由に、もっと豊かに、自分らしく生きることができるのです。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 <br>(はすたみ こうき)
蓮彩 聖基
(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ
苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了
ドクター苫米地ワークス修了
田島大輔グランドマスターコーチに師事
認知科学者 苫米地英人博士より、
無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得
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