「女性らしさ」の呪縛から自由になる｜20代から始める自分らしい生き方

あなたを縛る見えない鎖

「女の子なんだから、優しくしなさい」

小さい頃から何度も言われてきた言葉。そのたびに、あなたは自分の怒りや悔しさを飲み込んできたのではないでしょうか?

「そろそろ結婚考えないの?」「仕事も大事だけど、家庭も大切よ」「女性は笑顔でいるのが一番」

こうした言葉は、優しさの形をして私たちに近づいてきます。でも実は、あなたの可能性を小さな箱の中に閉じ込めようとする見えない鎖なのです。

「べき」という言葉の正体

私たちの心の中には、たくさんの「べき」が住み着いています。

女性は優しくあるべき。控えめであるべき。出しゃばらないべき。家事ができるべき。結婚して子どもを産むべき。仕事よりも家庭を優先すべき。

これらは信念と呼ばれるものです。信念とは、無意識にある「感情的に受け入れた教え」や「物事はこうあるべき」という思い込みのこと。知識として理解しているだけのものよりも、はるかに強く行動に影響を与えます。

そして恐ろしいことに、多くの信念は私たちが意識的に選んだものではありません。

幼い頃から親や先生に繰り返し言われた言葉、テレビやSNSで見続けたイメージ、社会で当たり前とされてきた常識。それらが少しずつ心に積み重なり、いつの間にか「私はこうあるべき」という強固な枠組みを作り上げているのです。

その「べき」は本当にあなたのもの?

ここで、自分に問いかけてみてください。

あなたが今持っている「女性はこうあるべき」という考えは、本当にあなた自身が選んだものですか?

それとも、誰かから受け取ったものをそのまま抱えているだけではないでしょうか?

信念のフィルター

信念は、世界の見え方を決めるフィルターとして機能します。

「女性は控えめであるべき」という信念を持っていると、会議で意見を言いたい時も「出しゃばりだと思われたくない」と口を閉ざしてしまいます。チャンスが目の前にあっても、「私には無理」と最初から諦めてしまうのです。

このフィルターはスコトーマ(心理的盲点)を作り出します。あなたの可能性や選択肢は本当はもっとたくさんあるのに、信念に合わない情報は「存在しないもの」として扱われてしまうのです。

呪縛が生まれる3つの場所

1. 家庭からの刷り込み

「お母さんは仕事を辞めて家庭に入ったから、あなたも…」

親の生き方は、無意識のうちに「正しい生き方」の見本として刷り込まれます。親が幸せそうに見えれば「私もそうすべき」と思い、逆に苦しそうに見えても「それでも従うべき」という義務感が生まれることもあります。

特に母親との関係は影響が大きいものです。母親が自分の夢を諦めて家庭に入った姿を見て育つと、「女性はそうするものだ」という信念が形成されやすくなります。

2. メディアが描く「理想の女性像」

雑誌やドラマ、SNSで繰り返し目にする「キラキラした女性」のイメージ。

仕事も完璧、見た目も完璧、料理も上手で、恋愛も充実していて、いつも笑顔。そんな「完璧な女性像」と自分を比べて、「私はダメだ」と落ち込んでいませんか?

メディアが作り上げたイメージは、現実の多様な女性の姿を反映していません。それなのに、私たちはそのイメージを「あるべき姿」として内面化してしまうのです。

3. 社会の無言の圧力

職場での何気ない一言。「女の子は事務の方が向いてるんじゃない?」

こうした言葉の積み重ねが、「女性の役割はこういうもの」という枠組みを作っていきます。

そして最も厄介なのは、この圧力が「あなたのため」という優しさの形で現れることです。心配してくれている、応援してくれていると思っていた人たちが、実はあなたの可能性を制限するドリームキラーになっていることもあるのです。

呪縛がもたらす3つの影響

自分の本当の気持ちがわからなくなる

「私は本当は何がしたいんだろう?」

そう思った経験はありませんか? 長い間「こうあるべき」に従って生きていると、自分の本当の望みが見えなくなってしまいます。

何を選ぶ時も「みんなはどう思うだろう」「これで良いと思われるだろうか」が判断基準になり、自分の心の声が聞こえなくなるのです。

エフィカシーが下がる

エフィカシーとは、自分のゴールを達成する自己能力の自己評価のこと。

「女性だから無理」「私にはできない」という信念を持っていると、挑戦する前から諦めてしまいます。本当は能力があるのに、自分で自分の可能性に蓋をしてしまうのです。

チャンスが目の前に現れても、「私には向いていない」と最初から選択肢から外してしまう。これほどもったいないことはありません。

コンフォートゾーンが狭くなる

コンフォートゾーンとは、ストレスを感じずに安心して過ごせる慣れ親しんだ領域のこと。

「女性らしくあるべき」という枠組みの中だけが安心できる場所になってしまうと、その外に踏み出すことが怖くなります。新しい挑戦をしようとすると、不安や緊張で体が固まってしまうのです。

本来はもっと自由に、もっと広い世界で生きられるはずなのに、狭い檻の中に自ら閉じこもってしまうことになります。

呪縛から自由になる5つのステップ

ステップ1｜自分の中の「べき」に気づく

まず、あなたの中にある「べき」をすべて書き出してみましょう。

ノートを開いて、「女性は〇〇すべき」という文章を思いつく限り書いていきます。優しくあるべき、家事ができるべき、結婚すべき、子どもを産むべき、仕事より家庭を優先すべき…。

恥ずかしい思いも、「こんなこと思ってはいけない」という気持ちも、今は横に置いて。正直に、あなたの心の中にある声を紙の上に出してください。

書き出すことで初めて、「こんなにたくさんの『べき』を抱えていたんだ」と気づくことができます。

ステップ2｜その信念はどこから来たのか探る

次に、それぞれの「べき」について、「これは誰の言葉だろう?」と考えてみましょう。

お母さんがよく言っていた言葉? お父さんの価値観? 学校の先生? 会社の上司? それとも、雑誌やテレビで見たイメージ?

多くの場合、私たちの信念は他人から受け取ったものです。幼い頃に繰り返し聞いた言葉、強い感情を伴った体験が情動記憶として心に刻まれ、信念となっているのです。

出どころがわかると、「これは本当に私が選んだものではないんだ」と客観的に見られるようになります。

ステップ3｜その信念があなたのゴールにふさわしいか評価する

あなたが心から達成したいゴールを思い浮かべてください。

そのゴールに向かう時、今持っている「べき」は力になりますか? それとも邪魔になりますか?

たとえば、「キャリアを築いて自立した女性になりたい」というゴールがあるとします。その時、「女性は控えめであるべき」という信念は、あなたを前に進めてくれるでしょうか?

答えは明らかです。その信念は、あなたのゴールを妨げるブレーキでしかありません。

必要のない信念、あなたの可能性を狭める信念は、手放す勇気を持ちましょう。

ステップ4｜新しい信念を意識的に選ぶ

古い信念を手放したら、新しい信念を自分で選びます。

「女性は優しくあるべき」→「私は、優しさと強さの両方を持っている」

「女性は控えめであるべき」→「私は、自分の意見を堂々と表現している」

「結婚して家庭に入るべき」→「私は、自分が心から望む生き方を選んでいる」

この新しい信念を、アファメーションとして毎日唱えることで、無意識に定着させていきます。朝起きた時、夜寝る前に、自分に語りかけるように言葉にしてみてください。

ステップ5｜小さな行動で証明する

新しい信念を本当に自分のものにするには、実際の行動が必要です。

会議で一度、自分の意見を言ってみる。断りたいことを、勇気を持って断ってみる。やりたかったことに、小さく一歩踏み出してみる。

最初は怖いかもしれません。でも、小さな成功体験を積み重ねることで、「私にもできる」という新しいセルフイメージが育っていきます。

セルフイメージとは、自分自身に対する無意識の認識のこと。「私はこういう人間だ」という自己認識が変われば、自然と行動も変わっていくのです。

あなたの人生の主導権を取り戻す

20代は、自分の人生の基盤を築く大切な時期です。

この時期にどんな信念を持ち、どんなセルフイメージを育てるかで、これからの人生の質が大きく変わります。

「女性らしさ」という呪縛は、あなたを守るために作られたものかもしれません。でも今は、その鎖があなたの翼を縛っているかもしれないのです。

本当に大切なのは、「女性らしく」生きることではなく、「自分らしく」生きることです。

優しくしたいなら優しくする。強くありたいなら強くいる。結婚したいならする。したくないならしない。キャリアを追求したいなら追求する。すべてを、あなた自身が選んでいい。

誰かの期待に応えるために生きるのではなく、あなた自身の心が「これだ」と思える道を選んでください。

新しい信念とともに生きる

「私は、自分の人生を自分で選ぶ」

この信念を胸に、今日から一歩を踏み出してみませんか?

最初は小さな一歩で構いません。自分の本当の気持ちに耳を傾ける。「べき」ではなく「したい」を基準に選ぶ。誰かの評価ではなく、自分の心が喜ぶ方を選ぶ。

そうやって選択を重ねていくうちに、あなたのコンフォートゾーンは少しずつ広がっていきます。自由に生きることが、当たり前になっていくのです。

呪縛から解き放たれた先には、輝くあなたの未来が待っています。

蓮彩 聖基
(はすたみ こうき)

パーソナルコーチ

Contact

1997年 青森県生まれ
苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了
ドクター苫米地ワークス修了
田島大輔グランドマスターコーチに師事
認知科学者 苫米地英人博士より、
無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得