心と感情

「今日は最悪の日」と思った瞬間、本当に最悪の日になる理由

蓮彩聖基

朝起きた瞬間から、なんとなく憂鬱な気持ちになること、ありませんか?

「今日はなんだかダメな気がする」「また嫌なことが起きそう」。そんなふうに感じてしまう日もありますよね。

でも実は、その「なんとなく」の感覚が、あなたの1日を本当に左右しているのです。

「運が悪い」と思った瞬間、私たちの心と体はその方向に向かって動き始めます。逆に「今日はいい日になる」と感じられれば、その通りの現実が目の前に広がっていくのです。

この記事では、朝の思考があなたの1日をどう変えるのか、そしてどうすれば毎日を幸せな気持ちで満たしていけるのかをお伝えします。

「運が悪い」という思い込みが現実をつくる仕組み

自己充足的予言とは何か

「今日は運が悪い日だな」と心の中で思ったとき、実際にその通りの現実が引き寄せられてしまう。これは偶然ではありません。

私たちのマインドには「自己充足的予言」という働きがあります。

自分自身が「こうなるだろう」と思っている未来を、本当に現実として引き寄せてしまう。自分が信じていることを真実として証明するように、無意識が行動や判断を選んでいくのです。

つまり、「今日は最悪の日になる」と思えば、マインドはその「最悪の日」を証明するような出来事に目を向け始めます。

なぜ悪いことばかり目につくのか

人間のマインドには「ネガティビティ・バイアス」という性質があります。

これは、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注目しやすい傾向のこと。私たちの祖先が危険を察知して生き延びるために発達した、生物としての本能なのです。

だからこそ、私たちは意識しないでいると、自然と悪いことにフォーカスしてしまいます。

朝の電車で少し押されただけで「今日はついてない」と感じ、そこからどんどんネガティブな出来事ばかりが目に入ってくる。良いことがあっても気づかず、嫌なことだけが記憶に残る。

これがネガティビティ・バイアスの働きです。

心理的盲点「スコトーマ」があなたの世界を決めている

見えているのに見えない情報がある

私たちの目には、毎秒膨大な量の情報が映っています。

でも、そのすべてを意識できているわけではありません。マインドは「自分にとって重要」と判断した情報だけを意識に上げ、重要でないと判断したものは最初から存在しないかのように扱います。

この心理的な盲点のことを「スコトーマ」と呼びます。

「運が悪い」と思うとスコトーマができる

「今日は運が悪い日だ」と思った瞬間、あなたのマインドは「悪いこと」にフォーカスを合わせます。

すると、良いことに対してスコトーマ(盲点)ができてしまうのです。

目の前に素敵な出来事があっても、それが見えなくなる。道端に咲いている可愛い花も、すれ違った人の優しい笑顔も、まるで存在しないかのように通り過ぎてしまう。

一方で、ちょっとした嫌なことにはすぐに気づく。電車の遅延、コーヒーをこぼしたこと、上司のちょっとした一言。そういったネガティブな出来事ばかりが意識に上がってきます。

良いことにスコトーマができる悪循環

こうして「悪いこと」ばかりにフォーカスが当たると、ますます「今日は最悪の日だ」という認識が強まっていきます。

その結果、さらに良いことが見えなくなる。悪いことだけが目につくようになる。

まさに悪循環です。

そして1日が終わる頃には「やっぱり今日は最悪の日だった」と確信してしまう。でもそれは、あなたの朝の思い込みが、そういう現実を「選んで見せた」結果なのです。

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朝一番の思考があなたの1日を決める

起きた瞬間、何を考えていますか?

まず見直してほしいのは、朝起きた瞬間にあなたが何を考えているか、ということです。

目覚まし時計が鳴って、まだ眠い頭で最初に浮かぶ言葉は何でしょうか?

「あー、また仕事か」「今日も疲れそう」「なんだか面倒くさいな」。そんなネガティブな思考が最初に浮かんでいませんか?

朝一番の思考は、その日1日のセルフトーク(心の中での自分への語りかけ)の土台になります。

セルフトークが現実をつくる

セルフトークとは、私たちが1日に何万回も心の中で繰り返している、自分自身への語りかけのこと。

「私って本当にダメだな」「どうせうまくいかない」「きっと失敗する」。

こういったネガティブなセルフトークを繰り返していると、それがセルフイメージ(自分自身に対する認識)として定着していきます。

セルフイメージが「運が悪い私」「うまくいかない私」になってしまうと、マインドはその通りの現実を見せ続けます。

逆に、朝一番に「今日もいい日になる」「私はついている」「素敵なことが起きる」とセルフトークを変えれば、良いことにフォーカスが当たるようになるのです。

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ポジティブな1日をつくる朝の習慣

「今日は最高の日になる」と確信する

朝起きたら、まず「今日は最高の日になる」と心の中で宣言してみてください。

ただし、ポイントがあります。

口先だけで言っても効果はありません。大切なのは、心から「そうなる」と確信すること。本気でその未来を信じること。

なぜなら、マインドは「臨場感の高い方」を現実として採用するからです。

「今日は最高の日になる」という未来に強い臨場感を持てれば、マインドはその未来を実現するために必要な情報を集め始めます。

感情を先に味わう

もう一つ大切なのは、感情を先に味わうことです。

「今日最高の日だったら、どんな気持ちになるだろう?」と想像してみてください。

清々しい気持ち、嬉しい気持ち、誇らしい気持ち。そういったポジティブな感情を、朝の時点で先に体験してしまうのです。

感情を伴った体験は「情動記憶」として心に刻まれます。情動記憶は、私たちの無意識の判断や行動に強い影響を与えます。

だから、朝一番にポジティブな感情を味わうことで、その日1日をポジティブな方向に導くことができるのです。

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嫌なことが起きても引きずらないコツ

日常の小さな出来事に揺さぶられない

とはいえ、毎日生きていれば嫌なこともあります。

電車で足を踏まれた。仕事でミスをした。友達との約束がキャンセルになった。そういう小さな「嫌だな」という出来事は、日常の中で当然のように起こります。

ここで大切なのは、その小さな出来事に揺さぶられすぎないこと。

多くの人は、ちょっと嫌なことがあっただけで「今日は最悪だ」と1日全体を否定してしまいます。

でも冷静に考えてみてください。本当にあなたの人生そのものが揺らぐような出来事だったでしょうか?

コンフォートゾーンの範疇の出来事

ほとんどの場合、日常で起きる小さな嫌なことは、あなたのコンフォートゾーン(心地よく過ごせる領域)の範疇で起きています。

人生が根底から覆されるような大きな出来事ではなく、日常の想定の範囲内のこと。

そう捉えられると、ちょっとした嫌なことに心を乱されにくくなります。

「まあ、こういうこともあるよね」「人生にはこういう日もある」。そのくらいの軽やかさで受け流せるようになると、ネガティブな出来事に振り回されなくなります。

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ネガティビティ・バイアスを逆手に取る

悪いことには意識が向きやすい

先ほどお伝えしたように、私たちのマインドはネガティビティ・バイアスの影響で、悪いことに意識が向きやすい傾向があります。

これは生物としての本能なので、完全になくすことはできないかもしれません。

でも、この傾向があることを知っているだけで、対策を取ることができます。

意識的にポジティブな情報を選ぶ

ネガティビティ・バイアスがあるからこそ、意識的にポジティブな情報を選ぶ必要があるのです。

放っておくと悪いことばかり見えてしまうから、意識して良いことを探す。これが大切です。

「今日、何か良いことあったかな?」「嬉しかったことは?」「感謝できることは?」

毎日、こういった質問を自分に投げかけてみてください。すると、見落としていた小さな幸せに気づけるようになります。

小さな幸せを大きく感じる技術

嫌なことは時間を拡張して感じてしまう

私たちは嫌なことが起きると、その影響を時間的に拡張してしまう傾向があります。

朝のたった1つの嫌な出来事が、「今日1日最悪だ」に変わる。さらに「今週はついてない」「今月はダメだ」「今年は運が悪い」と、どんどん時間軸を広げてしまう。

たった1回の出来事なのに、その影響を何倍にも膨らませてしまうのです。

良いことにも同じ技術を使う

ここで提案したいのは、この「時間を拡張する」という技術を、逆向きに使うということ。

嫌なことを拡張するのではなく、良いことを拡張するのです。

朝、コーヒーが美味しかった。この小さな幸せを「今日1日がいい日になる予感がする」と拡張してみる。

電車で席を譲ってもらえた。この出来事を「今週は素敵なことがたくさんありそう」と感じてみる。

たった1つの小さな良いことを、1日全体、1週間全体、1ヶ月全体に広げて感じてみる。すると、その幸せ感が何倍にも膨らんでいきます。

自然からエネルギーをもらう

日常の中に幸せの種はたくさんある

良いことを見つけるのは、難しいことではありません。

空が青くて気持ちいい。風が心地よい。木々の緑が美しい。自然の中には、私たちに幸せを感じさせてくれる要素がたくさんあります。

こういった小さなことに気づけるようになると、日常が豊かになっていきます。

体感を伴って感じる

大切なのは、頭で「良いことだ」と思うだけでなく、体感を伴って感じることです。

空を見上げて「気持ちいいな」と感じる。深呼吸をして「爽やかだな」と味わう。

こういった体験は情動記憶として刻まれ、あなたのセルフイメージやコンフォートゾーンに影響を与えます。

「私は幸せを感じられる人だ」というセルフイメージが育っていくと、どんどん幸せな出来事が目に入るようになるのです。

現実は自分がつくっている

どんな現実を選ぶかはあなた次第

ここまでお読みいただいて、気づかれたかもしれません。

現実は、あなた自身がつくっているのです。

同じ出来事が起きても、「最悪だ」と捉えることもできれば、「まあそういうこともある」と受け流すこともできる。同じ1日でも、「最悪の日だった」と振り返ることもできれば、「良いこともあった日だった」と感じることもできる。

どちらを選ぶかは、あなた次第なのです。

マインドの使い方で人生が変わる

マインドをどう使うかで、見える世界が変わります。

ネガティブなセルフトークを繰り返せば、ネガティブな現実が目の前に広がる。ポジティブなセルフトークを選べば、ポジティブな現実が見えてくる。

これは「ポジティブ思考をしましょう」という薄っぺらな話ではありません。

私たちのマインドには、自分が信じていることを現実として見せるという働きがあります。だからこそ、何を信じるか、何にフォーカスするかを意識的に選ぶことが大切なのです。

毎日続けることでセルフイメージが変わる

習慣の力を味方につける

今日お伝えしたことを、1日だけやっても効果は限定的です。

大切なのは、毎日続けること。

朝起きたら「今日は最高の日になる」と確信する。日中は小さな幸せを見つける。嫌なことがあっても引きずらない。夜は良かったことを振り返る。

こういった習慣を続けていくと、少しずつセルフイメージが変わっていきます。

コンフォートゾーンが移動する

「幸せを感じられる私」というセルフイメージが育つと、コンフォートゾーンも変化します。

「幸せでいることが自然な状態」になるのです。

すると、わざわざ努力しなくても、自然と良いことに目が向くようになる。ネガティブな出来事があっても、引きずらなくなる。

これがマインドの使い方を変えることの力です。

あなたの1日は、朝の思考で決まる

いかがでしたか?

「運が悪い」と思った瞬間、本当に運が悪くなる。これは迷信ではなく、私たちのマインドの働きによるものです。

逆に言えば、朝の思考を変えるだけで、1日の質を大きく変えることができます。

明日の朝、目覚めたら試してみてください。

「今日は最高の日になる」と心から確信する。その時の嬉しい気持ち、清々しい気持ちを先に味わう。そして1日を通して、小さな幸せに目を向ける。

きっと、あなたの見える世界が変わり始めます。

日々の小さな積み重ねが、あなたのセルフイメージを変え、コンフォートゾーンを移動させ、人生そのものを変えていきます。

今日から、あなたらしい幸せな毎日を始めてみませんか?

ABOUT ME
蓮彩 聖基 <br>(はすたみ こうき)
蓮彩 聖基
(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ
苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了
ドクター苫米地ワークス修了
田島大輔グランドマスターコーチに師事
認知科学者 苫米地英人博士より、
無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得
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