恋愛で同じパターンを繰り返す理由|アティテュードを変える方法
繰り返してしまう行動パターンの謎
好きなのに素直になれない
誰かを好きになっても、本当は好きなのに冷たく接してしまう。特に意識はしていないのに、なんとなく避けてしまう。そんな経験はありませんか?
あるいは、恋愛をするたびに同じような行動をとってしまう自分に気づくこともあるでしょう。いつも同じタイプの人を好きになる。いつも同じところでうまくいかなくなる。「またこのパターンだ」と感じながらも、抜け出せない。
一方で、好きな人ができたら積極的にアプローチし、恋愛を楽しめる人もいます。普段は明るく元気なのに、恋愛となると消極的になってしまう。自分でもよくわからない態度をとってしまう。
「こじらせてしまう」のは、なぜなのでしょうか。
恋愛だけではない「繰り返し」
このような繰り返しのパターンは、恋愛だけに限りません。
- 人間関係でいつも同じような問題が起きる
- 仕事で似たような失敗を繰り返す
- チャンスが来ても、なぜか一歩踏み出せない
- 自分を変えたいと思っているのに、気づくと元に戻っている
「なんで私って、いつもこうなるんだろう」
そう感じたことがあるなら、その答えはアティテュードという概念の中にあります。
アティテュードとは何か
無意識の判断・選択・態度
アティテュード(Attitude)とは、無意識の判断・選択・態度のことを指します。
過去の情動記憶(感情を伴う体験の記憶)を基準として形成され、意識が追いつく前に一瞬で処理される無意識の反応パターンです。
つまり、あなたが意識的に考える前に、すでに判断・選択が完了しているのです。
似たような概念に「ハビット(Habit)」がありますが、これは無意識で繰り返される行動や習慣を意味します。アティテュードはそれよりも広く、無意識全般の思考や行動傾向を指すのです。
日常の中のアティテュード
アティテュードは、日常のあらゆる場面で働いています。
- 「コーヒーにしますか?紅茶にしますか?」と聞かれたとき、無意識に「コーヒー」と答える
- 服屋で黒と白の服が並んでいたら、いつもなんとなく黒を選ぶ
- 新しい人と出会ったとき、なぜか警戒心が働く
- 好きな人に対して、なぜか冷たく接してしまう
こうした「なんとなくそうしてしまう」行動の背景には、すべてアティテュードが関係しています。
ゴール達成への影響
アティテュードは、あなたのゴール達成にも大きく影響します。
望ましくないアティテュードは目標達成のブレーキとなります。たとえば「どうせ私には無理」というアティテュードがあれば、チャンスが来ても無意識のうちに避けてしまいます。
一方、望ましいアティテュードは自然な行動促進につながります。「私にはできる」というアティテュードがあれば、意識的に頑張らなくても、自然と行動が生まれるのです。
アティテュードはなぜ変わりにくいのか
無意識だから気づかない
アティテュードは無意識的なものであるため、そもそも自分がどんなアティテュードを持っているのか気づきにくいという特徴があります。
「私は恋愛に対してこういうアティテュードを持っている」と自覚している人はほとんどいません。ただ、結果として「いつも同じパターンになる」という現象だけが起きるのです。
マインドは現状維持を好む
私たちのマインドには、ホメオスタシス(恒常性維持機能)という働きがあります。これは、内部環境を一定に安定させようとするメカニズムのことです。
身体でいえば、体温を36〜37度に維持したり、血糖値を安定させたりする機能です。そして、この機能はマインドの世界にも及んでいます。
つまり、思考や感情における「いつもの状態」を維持しようとするのです。今のアティテュードが「いつもの状態」として認識されている限り、マインドはそれを守ろうとします。
だからこそ、意識的に働きかけない限り、アティテュードは基本的には変わりません。変えるためには、まずその形成メカニズムを理解することが大切です。
アティテュードはどのように形成されるのか
二つの形成ルート
アティテュードは、大きく分けて次の2つの要素から形成されます。
- 情動記憶による形成
- 外部からの情報による形成
それぞれ詳しく見ていきましょう。
情動記憶による形成
情動記憶とは、信念を形成するほど強い情動(感情)をともなった体験記憶のことです。心に強く刻まれた体験は、無意識のレベルで判断や行動に影響を与え続けます。
普通の記憶は時間とともに薄れていきますが、情動記憶は何年経っても鮮明に残り、今も無意識に行動を左右しています。
恋愛における情動記憶の例
好きな人に告白して、振られてしまった。強いショックを受け、一晩中泣いてしまった。
このような体験は、無意識に強い情動記憶として保存されます。その結果、「もう二度と傷つきたくない」という防衛反応が生まれます。
次の恋愛では、意識的には「今度こそ素直になりたい」と思っていても、無意識が先に反応します。
- 告白を避ける
- 好きな人に距離を取る
- 本心を隠して冷たく接する
これらは「意識的に考える前に」起きる反応です。つまり、アティテュードとして定着しているのです。
ポジティブな情動記憶も同じ仕組み
情動記憶はネガティブなものだけではありません。
たとえば、勇気を出して話しかけたら、相手がとても喜んでくれた。その時の嬉しさや達成感が情動記憶として刻まれれば、「積極的に行動する」というアティテュードが形成されます。
ポジティブな体験は接近行動を、ネガティブな体験は回避行動を生む。これが情動記憶とアティテュードの関係です。
外部からの情報による形成
もう一つの形成ルートは、外部からの影響です。
特に幼少期に親や周囲から言われた言葉は、無意識に吸収されやすいものです。幼い頃は善悪の判断も知識も未熟で、周囲の発言を無条件に信じてしまう傾向があります。
言葉が信念になる
- 「女の子なんだから控えめにしなさい」
- 「自分から行くと引かれるよ」
- 「調子に乗らないで」
- 「あなたには無理よ」
こうした言葉が積み重なり、やがて信念(Belief)として固定されていきます。
信念とは、無意識にある「物事はこうあるべき」という思い込みのことです。人が「真実だ」と信じていることで、知識よりも行動に与える影響がはるかに大きいものです。
「私は積極的に動くべきではない」という信念が形成されれば、それがアティテュードとなり、恋愛でも仕事でも消極的な行動パターンを生み出します。
世代を超えた連鎖
親も自分が育った環境の中で信念を受け取り、それを子どもに伝えています。「良かれと思って」言っている言葉の多くは、親自身の信念の表れです。
この連鎖は、意識的に断ち切らない限り続いていきます。
「なんでいつもこうなるの?」の正体
原因探しよりも大切なこと
これらの仕組みが無意識に働くため、私たちはしばしば「なんで私って、いつもこうなるんだろう」と感じます。
しかし重要なのは、原因を特定することではありません。
「あの時の体験がトラウマになっている」「親にこう言われたから」と原因を突き止めても、それだけではアティテュードは変わりません。過去を責めても、自分を責めても、何も変わらないのです。
未来志向で考える
大切なのは、今の自分のアティテュードのうち、ネガティブに働いている部分を見つめ直し、ゴールに合う方向へ変えていくことです。
過去を変えることはできません。でも、これからの自分を変えることはできます。
アティテュードは書き換え可能です。新しいポジティブな情動記憶を刻むことで、無意識の判断基準を更新できるのです。
アティテュードを変える方法
新しい「情動記憶」をつくる
アティテュードを変える鍵は、新しい情動記憶をつくることです。
「無意識を変える」と聞くと難しく思われがちですが、仕組みを理解すれば実はシンプルです。
ポイントは、感情を伴うリアルな体験として、新しいパターンを無意識に刻み込むこと。これはビジュアライゼーション(視覚化)という技術を使って行います。
ステップ1:変えたいアティテュードを書き出す
まず、「今変えたい」と思うアティテュードを紙に書き出しましょう。
- 好きな人に素直に接することができない
- チャンスが来ても尻込みしてしまう
- 新しいことを始めるのが怖い
- 人前で自分の意見を言えない
漠然と「変わりたい」と思っているだけでは、何を変えればいいのかわかりません。具体的に言語化することで、取り組むべきポイントが明確になります。
ステップ2:望むシチュエーションをイメージする
次に、それとは反対の理想的な場面を想像します。
「好きな人に素直に接することができない」というアティテュードを変えたいなら、好きな人に明るく笑顔で話しかけ、自然に会話を楽しんでいる自分を描きましょう。
大切なのは、「こうなりたい」ではなく「こうなっている」という形でイメージすることです。すでにそうなっている自分を、一人称視点で体験するのです。
ステップ3:五感を使って臨場感を高める
ここが最も重要なポイントです。
ただ漠然と想像するだけでは、無意識には届きません。五感を使ってイメージに臨場感を持たせることが大切です。
視覚
- その場面で見える景色は?
- 相手の表情は?
- 周りの様子は?
聴覚
- どんな声が聞こえる?
- 周囲の音は?
- 自分は何と言っている?
触覚・体感
- 温度は?
- 風は感じる?
- 体はどんな感覚?
嗅覚
- どんな香りがする?
- コーヒーの香り?花の香り?
感情
- どんな気持ちがしている?
- 嬉しい?楽しい?安心している?
- 胸がどんなふうに感じる?
これらを総動員して、まるで本当にその場にいるかのようにイメージします。
ステップ4:感情を深く味わう
五感でイメージしながら、その時に感じる感情を深く味わうことが大切です。
情動記憶は、強い感情とセットで刻まれます。喜び、誇らしさ、安心感、充実感。これらの感情を「先取り」して体験することで、無意識はその世界を「自然な未来」として認識し始めます。
新しいアティテュードは、感情をともなうリアルな体験として上書きされるのです。
ステップ5:繰り返す
一度やっただけでは、長年かけて形成されたアティテュードは変わりません。
毎日、できれば朝と夜の2回、このワークを繰り返しましょう。特におすすめのタイミングは以下の通りです。
朝起きてから
意識が覚醒し、無意識に情報が入りやすい状態です。
夜寝る前
副交感神経が優位で、無意識に入りやすい時間です。
この情動記憶が増えるほど、無意識は自然とポジティブな方向へ書き換えられていきます。
変化を実感するまで
最初は違和感がある
このワークを始めると、最初は違和感があるかもしれません。「こんなことで変わるの?」「なんか嘘くさい」と感じることもあるでしょう。
それは自然なことです。今までのアティテュードと、新しくイメージしている自分との間に認知的不協和が起きているのです。
認知的不協和とは、2つの認識が一致していないときに生じる心理的な不快感のことです。この不快感こそが、変化が始まっている証拠です。
小さな変化に気づく
続けていくと、少しずつ変化が現れます。
- 以前なら避けていた場面で、自然と行動できた
- 「いつもの自分」とは違う選択をしていた
- 同じ状況なのに、感じ方が変わっていた
これらは、アティテュードが書き換わり始めているサインです。小さな変化を見逃さず、「変わってきている」と認識することで、変化はさらに加速します。
自分を責めない
途中で「また元に戻ってしまった」と感じることもあるでしょう。
それでも、自分を責めないでください。ホメオスタシスの働きで、一時的に元に戻ることはよくあることです。まだ内面が完全に変わっていないだけで、あなたが悪いわけではありません。
焦らず、根気強く続けていくことが大切です。
新しい自分を選び取る
過去に縛られない
アティテュードとは、無意識の「行動のクセ」です。
過去の情動記憶や外部の影響で形づくられたものですが、新しい情動記憶を重ねることで、いくらでも変えられます。
あなたは過去の体験の被害者ではありません。過去に何があったとしても、これからどんな自分になるかは、あなた自身が選ぶことができるのです。
「これからの私」を再構築する
無意識のパターンを責めるのではなく、「これからの私」を再構築していく。それが、アティテュードを変える第一歩です。
「なんでいつもこうなるの?」と嘆く代わりに、「これからはこうなる」と決める。そして、その未来の自分を五感と感情で体験する。
その積み重ねが、あなたのアティテュードを変え、人生のパターンを変えていきます。
あなたが心から望む自分になるために、今日から新しい情動記憶を刻み始めてみてくださいね。
