アスリート

セルフトークで本番に強くなる|試合で実力を発揮するための心の整え方

蓮彩聖基

試合前夜、あなたは自分に何を語りかけていますか?

「明日の試合、また緊張して身体が動かなくなったらどうしよう」「練習では出来るのに、本番になると…」――そんな言葉が、試合前のあなたの頭の中を駆け巡っていませんか?私たちは1日に数万回も自分自身に語りかけています。この心の中の声を「セルフトーク」と呼びます。そして驚くべきことに、このセルフトークこそが、あなたがスタートラインに立った時のパフォーマンスを大きく左右しているのです。身体に刻まれた努力を、本番で発揮できるかどうか。その鍵は、あなたが自分に語りかけている言葉の中にあります。

言葉が映像を生み、映像が感情を生み、感情が身体を動かす

私たちの思考は「言葉」「映像」「感情」という三つの軸で成り立っています。頭の中で「また失敗するかも」とつぶやくと、過去に失敗した瞬間の映像が浮かび、胸が締めつけられるような不安が生まれます。その不安は身体を硬直させ、本来の動きを奪ってしまいます。練習では自然に動けていた身体が、本番で思うように動かない。その原因の多くは、あなたの心の中の声にあるのです。人間の脳にはネガティブな情報に注目しやすい性質があります。これは本来、危険から身を守るための本能なのですが、競技の世界では逆に足かせとなってしまうことがあります。だからこそ、意識的に自分に語りかける言葉を選ぶことが、パフォーマンスを高める鍵となるのです。

心の声に気づき、書き換える

まずは、自分がどんな言葉を心の中で使っているか観察してみてください。「どうせ私なんて」「また同じ失敗をしたら」「あの選手に比べて私は」――こうした言葉に気づくことが、変化の第一歩です。気づいたら、その言葉を書き換えてみましょう。「できない」は「まだ身体に馴染んでいないだけ」へ。「失敗したら」は「挑戦できる機会」へ。「私なんて」は「私だからこそできる」へ。そして、言葉を変えるだけでなく、自己ベストを更新した瞬間や、ゾーンに入って身体と心が一致した時の映像を思い浮かべてみてください。その時の喜びや誇らしさを、今この瞬間に味わうのです。言葉と映像と感情がひとつになった時、それは無意識に刻まれ、あなたの身体の一部となっていきます。

日々の練習の中でセルフトークを味方につける

朝、練習に向かう前に「今日も身体が応えてくれる」と自分に語りかけてみてください。ウォーミングアップの時間は、身体だけでなく心も整える時間です。思うような結果が出ない時期には「この経験が私を強くしている」と。怪我からの復帰に不安を感じる時には「私の身体は回復する力を持っている」と。夜、トレーニングを終えた後は「今日も私は前に進んだ」と自分を労ってあげてください。毎日の練習で身体を鍛えるように、心の中の声も日々整えていくことができるのです。あなたが積み重ねてきた時間は、決して嘘をつきません。その努力を本番で発揮するために、心の声を味方につけてください。

あなたの競技人生は、今日の言葉から始まる

セルフトークは、あなたの自己イメージを形づくり、身体の動きに影響を与える大切な要素のひとつです。毎日のトレーニングで筋肉を鍛えるように、心の中の言葉も意識的に選び、育てていくことができるのです。「私にはできる」「私の身体は覚えている」「今日の私は昨日より強い」――そうした言葉を自分に語りかけ続けることで、セルフトークはあなたの無意識に浸透し、本番でも自然と力を発揮できる土台となります。スタートラインに立つ瞬間、あなたの心の中で響いている言葉が、その日のパフォーマンスを左右するのです。今日から、自分に語りかける言葉を変えてみてください。あなたの身体は、その言葉に必ず応えてくれるのですから。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了。ドクター苫米地ワークス修了。田島大輔グランドマスターコーチに師事。認知科学者 苫米地英人博士より、無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得。
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