心と感情

お金の不安が消えない理由|漠然とした恐れの正体と心の整え方

蓮彩聖基

なぜ「漠然とした不安」は正体がつかめないのか

お金のことを考えると、なんとなく胸がざわつく。

具体的に何が問題というわけではないのに、将来のことを思うと不安になる。そんな感覚を抱えている方は少なくありません。

実はこの「漠然とした不安」には、きちんとした理由があるのです。

不安の正体は「過去の記憶」にある

私たちの心には、情動記憶と呼ばれるものが刻まれています。これは、強い感情を伴った体験が無意識のレベルに残り続けるものです。

たとえば幼い頃、親が「お金がない」と困っていた姿を見た記憶。大人になった今でも、その時に感じた不安や恐怖が心の奥底に残っています。

頭では「今は大丈夫」とわかっていても、似たような状況になると無意識がその記憶を呼び起こすのです。これが「漠然とした不安」の正体なのです。

言葉にできないからこそ苦しい

不安が「漠然としている」のは、それが意識ではなく無意識のレベルで起きているからです。

言葉にできない感覚は、自分でもコントロールしにくいもの。だからこそ、余計に苦しく感じてしまうのです。

お金に対する「信念」が不安をつくっている

知らないうちに刷り込まれた考え方

私たちは成長する過程で、お金に対するさまざまな考え方を身につけてきました。

  • 「お金は苦労して稼ぐもの」
  • 「贅沢は良くない」
  • 「お金の話をするのははしたない」
  • 「自分にはお金を稼ぐ才能がない」

こうした考え方は、親や先生、社会から繰り返し聞くうちに、信念として心に根づいていきます。

信念は「当たり前」に見えてしまう

厄介なのは、信念が「当たり前」のように感じられることです。

「お金を稼ぐのは大変なこと」という信念を持っていると、それが真実かどうか疑うことすらしません。まるで空気のように、そこにあることに気づかないのです。

しかし、この信念こそがお金に対する不安を生み出している原因かもしれません。

信念は書き換えることができる

大切なのは、信念は後から変えられるということです。

今あなたが持っているお金への考え方は、生まれつきのものではありません。過去の体験や環境によって形成されたものです。

だからこそ、新しい体験や考え方によって、より自分を豊かにする信念に更新していくことができるのです。

不安を和らげる心の習慣

自分への語りかけを意識する

私たちは1日に何万回も、心の中で自分に語りかけています。このセルフトークが、気づかないうちにお金への不安を強めていることがあります。

  • 「また出費が増えた」
  • 「私には貯金する才能がない」
  • 「将来どうなるんだろう」

こうした言葉を無意識に繰り返していると、不安はどんどん大きくなっていきます。

まずは自分がどんな言葉を使っているか、観察してみてください。そして気づいたら、少しだけ優しい言葉に置き換えてみるのです。

  • 「今月もやりくりできた」
  • 「私は工夫ができる人間だ」
  • 「必要なものは必要な時にやってくる」

言葉が変わると、心の中に浮かぶイメージが変わります。イメージが変わると、感情も少しずつ穏やかになっていきます。

豊かさを「感じる」練習をする

お金の不安が強いとき、私たちは「足りないもの」ばかりに目が向きがちです。

しかし本当は、すでに持っているものもたくさんあるはずです。温かい部屋、食べるもの、大切な人との関係、健康な体。

毎日ほんの少しの時間でいいので、今あるものに感謝する習慣をつけてみてください。

これは気休めではありません。脳は「豊かだ」と感じているときと「足りない」と感じているときで、全く違う働きをするのです。

豊かさを感じているとき、私たちは冷静に判断でき、新しいチャンスにも気づきやすくなります。反対に、不安に囚われているときは視野が狭くなり、目の前にある可能性も見えなくなってしまうのです。

あなたの心は、いつでも書き換えられる

お金の不安は、過去の記憶や刷り込まれた信念から生まれています。

でも、それらは変えることができるのです。

自分への語りかけを優しくすること。今ある豊かさに気づくこと。そして、本当に望む未来を心に描くこと。

焦る必要はありません。少しずつ、自分のペースで進んでいけばいいのです。

あなたの心は、いつからでも新しい方向に歩き始めることができます。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了。ドクター苫米地ワークス修了。田島大輔グランドマスターコーチに師事。認知科学者 苫米地英人博士より、無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得。
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