女性の生き方

スコトーマとは?人生を制限する仕組みと活用法

蓮彩聖基

私たちは世界のすべてを見ているわけではない

あなたは今、目の前にあるすべてのものが見えていると思っていますか?

実は、私たちが認識している世界は、現実のほんの一部に過ぎません。脳は毎秒、膨大な量の情報を処理していますが、そのすべてを意識に上げているわけではないのです。

この「見えているのに見えていない」現象を、スコトーマ(心理的盲点) と呼びます。

スコトーマとは何か

スコトーマとは、もともと眼科医療で使われていた用語で「視野欠損」を意味します。心理学やコーチングの分野では、これが拡張され「認知的・心理的な盲点」を指すようになりました。

目には映っているけれど、脳が「重要ではない」と判断した情報は、意識に上がってきません。つまり、存在していても「ないもの」として扱われてしまうのです。

これは、決して異常なことではありません。むしろ、私たちの脳が正常に機能している証拠なのです。

なぜ脳はスコトーマを作るのか

脳は、毎秒膨大な情報を五感を通じて受け取っています。この膨大な情報をすべて処理しようとしたら、脳は瞬く間にオーバーヒートしてしまうでしょう。

だからこそ、脳にはRAS(網様体賦活系:Reticular Activating System) という情報フィルターが備わっています。RASは「自分にとって重要な情報」と「そうでない情報」を振り分け、重要なものだけを意識に上げる働きをしています。

つまり、スコトーマとは脳のエネルギー効率を守るための仕組みなのです。

スコトーマがあるからこそ集中できる

この仕組みのおかげで、私たちは目の前の仕事に集中したり、大切な人との会話に没頭したりすることができます。周囲のすべての音、光、匂い、触感を同時に処理していたら、何ひとつ成し遂げることはできないでしょう。

カフェで仕事をしているとき、周りの会話がほとんど気にならないのは、脳がそれらを「重要ではない」と判断してスコトーマに入れてくれているからです。

スコトーマを決めているもの

では、何が「重要」で何が「重要でない」かを、脳はどうやって判断しているのでしょうか?

ここで登場するのが、セルフイメージコンフォートゾーン、そしてブリーフシステム(信念体系) です。

セルフイメージが見える世界を決める

セルフイメージとは、「私はこういう人間だ」という無意識レベルの自己認識です。

「私は人前で話すのが苦手」というセルフイメージを持っている人は、プレゼンテーションの機会があっても、それを「チャンス」ではなく「脅威」として認識します。そして、自分が活躍できる可能性すらスコトーマに入れてしまうのです。

逆に、「私は人を惹きつける話ができる」というセルフイメージを持っている人は、同じ機会を「自分の力を発揮できる場面」として認識できます。

コンフォートゾーンが可能性を隠す

コンフォートゾーンとは、自分が安心していられる物理的・精神的な領域のことです。

人はコンフォートゾーンの内側にいるとき、自然体で振る舞え、本来の力を発揮できます。しかし同時に、コンフォートゾーンの外側にあるものは、スコトーマに入りやすくなります。

たとえば、年収500万円がコンフォートゾーンの人にとって、年収1億円の働き方や、それを実現するための情報は「見えにくい」状態になっています。情報としては存在していても、脳が「自分には関係ない」と判断してしまうからです。

ブリーフシステムがフィルターを作る

ブリーフシステムとは、個々の信念が集まって形成された心の体系です。「お金を稼ぐことは大変だ」「女性は控えめであるべきだ」「安定が一番大切だ」といった信念が、相互に関連し合いながら一つの世界観を作っています。

このブリーフシステムが、何を重要と見なし、何をスコトーマに入れるかを決定しているのです。

「起業は危険だ」という信念を持っている人は、成功している起業家の話を聞いても「あの人は特別だ」とフィルターをかけてしまいます。自分にも同じ可能性があるという情報は、スコトーマの中に隠れたままです。

スコトーマが人生を制限するとき

スコトーマは脳の正常な機能であり、それ自体は善でも悪でもありません。しかし、この仕組みを理解していないと、知らないうちに人生の可能性を狭めてしまうことがあります。

「チャンスがない」のではなく「見えていない」

「私の周りには良い出会いがない」「この業界には成長のチャンスがない」と感じることはありませんか?

多くの場合、チャンスや可能性は実際に存在しています。ただ、今のセルフイメージやコンフォートゾーン、ブリーフシステムによって、それらがスコトーマに入っているだけなのです。

新しいバッグや車を買った直後に、街中で同じものをよく見かけるようになった経験はないでしょうか。あれは、そのバッグや車が突然増えたわけではありません。それまでスコトーマに入っていたものが、「重要」と認識されたことで見えるようになっただけです。

同じパターンを繰り返してしまう理由

「また同じような人と付き合ってしまった」「また同じような失敗をしてしまった」というパターンの繰り返しも、スコトーマと関係しています。

現状のセルフイメージに合った情報だけを認識し続けると、選択肢が限られてしまいます。違う選択肢は見えているようで、実は見えていないのです。

スコトーマを戦略的に活用する方法

スコトーマがあることは変えられません。しかし、何をスコトーマに入れ、何を意識に上げるかをコントロールすることはできます。

ゴール設定でRASをプログラムし直す

RASは「自分にとって重要なもの」を認識するフィルターです。では、何が「重要」かを決めているのは何でしょうか?

それがゴールです。

現状の外側にゴールを設定することで、RASに新しい「重要なもの」をインストールできます。すると、今まで見えなかった情報や可能性が、意識に上がってくるようになるのです。

たとえば、「3年後に自分のビジネスを持つ」というゴールを心から設定したとき、今まで気にも留めなかった起業に関する情報、人脈、学びの機会が「見える」ようになります。

セルフイメージを更新する

スコトーマの範囲は、セルフイメージによって決まっています。だからこそ、セルフイメージを書き換えることで、見える世界を変えることができます。

アファメーション(ゴールを達成した世界を言葉で表現する技術)やビジュアライゼーション(五感を使ってゴールの世界を体験する技術)は、セルフイメージを更新するための有効な方法です。

「私は人を動かすリーダーシップを持っている」というセルフイメージが無意識に刻まれれば、リーダーとしての機会や必要な学びが自然と目に入ってくるようになります。

コンフォートゾーンをゴール側に移動させる

ゴール側の世界を「居心地の良い場所」として感じられるようになれば、そこに関連する情報はスコトーマから外れます。

そのために大切なのは、ゴール達成後の自分を繰り返しイメージし、その世界への臨場感を高めることです。脳は臨場感が高いほうを「現実」として認識する性質があるため、ゴール側の臨場感が現状を上回れば、自然とゴールに必要な情報が見えるようになります。

新しい環境に身を置く

ブリーフシステムは、過去の経験や環境によって形成されています。だからこそ、新しい環境に身を置くことは、固定化されたブリーフシステムを揺さぶる効果があります。

今まで出会わなかったタイプの人と話す、行ったことのない場所に行く、読んだことのないジャンルの本を読む。こうした体験が、スコトーマを外すきっかけになります。

スコトーマとともに生きる

スコトーマは、私たちの脳に備わった大切な機能です。それがあるからこそ、私たちは目の前のことに集中し、日々を効率的に過ごすことができています。

しかし同時に、スコトーマは私たちの可能性を隠してしまうこともあります。「見えていないものがある」という事実を知っているだけで、私たちは自分の認識に謙虚になれるのです。

あなたが「無理だ」と思っていること、「存在しない」と感じているチャンス、それらは本当に存在しないのでしょうか?それとも、今のあなたのスコトーマの中に隠れているだけでしょうか?

ゴールを設定し、セルフイメージを育て、新しい世界への臨場感を高めていくこと。それが、スコトーマを味方につけ、人生の可能性を広げていく道なのです。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了。ドクター苫米地ワークス修了。田島大輔グランドマスターコーチに師事。認知科学者 苫米地英人博士より、無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得。
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