自己実現

逃げたいと感じたら|困難を超えて成長する心の整え方

蓮彩聖基

困難を前にしたとき、心がざわつくのは自然なこと

仕事で大きなプロジェクトを任されたとき、新しい挑戦をしようとしたとき、人間関係で勇気ある一歩を踏み出そうとしたとき。そんな場面で「逃げたい」と感じたことはありませんか?

その気持ちは、決して弱さの証ではないのです。むしろ、あなたの心があなた自身を守ろうとしている証拠なのです。

人の心と体には、今の状態を維持しようとする機能が備わっています。体温を一定に保つように、心も「いつもの自分」を保とうとします。だから、慣れ親しんだ領域の外に出ようとすると、心がブレーキをかけるのです。

なぜ逃げたくなるのか

私たちの心は、未知のものを「危険かもしれない」と判断する傾向があります。それは太古の昔から人類を生き延びさせてきた、とても大切な機能です。

けれど現代を生きる私たちにとって、「危険」の定義は変わりました。新しい仕事に挑戦することも、自分の意見を伝えることも、本当の意味で命を脅かすものではありません。それでも心は、変化を危険だと感じてしまうのです。

逃避には「創造的」なものがある

私たちは困難から逃げるとき、とても巧妙な方法を使います。

たとえば、本当にやるべきことがあるのに、急に部屋の掃除を始めたくなる。「環境を整えてから」という理由は、一見すると合理的に見えます。あるいは、「もっと勉強してから」「もっと準備が整ってから」と、行動を先延ばしにする。これも前向きな姿勢に見えます。

けれど、それらは本当に必要なことでしょうか? それとも、本質的な挑戦から目をそらすための行動でしょうか?

「頑張っているのに進まない」の正体

「毎日忙しいのに、なぜか前に進んでいない気がする」

そう感じたことがあるなら、自分自身に優しく問いかけてみてください。「私は今、本当にやるべきことをしているだろうか?」と。

忙しさは、時として逃避の隠れ蓑になります。情報収集ばかりして行動しない、準備に時間をかけすぎて本番が来ない、完璧を求めるあまり一歩も踏み出せない。これらはすべて、一見すると真面目で勤勉な態度に見えるのです。

「避ける」のではなく「超える」という選択

困難から逃げることは、一時的な安心をもたらします。でも、それは同時に、あなたの可能性を閉ざすことでもあります。

たとえるなら、蝶になる前のさなぎのようなもの。さなぎの殻を破る瞬間は苦しいけれど、その苦しみを避けていたら、蝶は永遠に空を飛ぶことができません。

不快感は成長のサイン

困難に向き合うとき感じる不快感は、実は成長のサインなのです。

今の自分と、なりたい自分との間にギャップがあるとき、心にはある種の緊張が生まれます。この緊張は、私たちを二つの方向に導こうとします。一つは元の場所に戻ろうとする力。もう一つは、新しい自分へと進もうとする力です。

どちらの力を優勢にするかは、あなた自身が選ぶことができます。

困難を超えるために大切なこと

なりたい自分を鮮明に描く

困難を超える力を得るために、まず大切なのは「なりたい自分」を心の中に鮮明に描くことです。

目を閉じて、困難を乗り越えた先にいる自分を想像してみてください。

  • どんな表情をしていますか?
  • どんな感情を感じていますか?
  • 周りにはどんな景色が広がっていますか?

五感を使って、その場面をリアルに感じてみてください。達成感、喜び、誇らしさ。その感情を今この瞬間に味わうことで、心は「そこに向かうことが自然だ」と感じ始めます。

「私にはできる」と信じる

困難を前にしたとき、「私には無理」と思うか「私にはできる」と思うかで、見える世界は大きく変わります。

「私にはできる」という確信があると、失敗は「学びの機会」に変わります。うまくいかないことがあっても、それは能力がない証拠ではなく、成長のための貴重な経験になるのです。

この確信を育てるには、過去にうまくいった経験を思い出すことが助けになります。どんなに小さなことでも構いません。あなたは今まで、たくさんの困難を乗り越えてきたはずです。

完璧を手放す

「完璧にできないならやらない」という考えは、実は逃避の一つの形です。

60点でもいいから、まず形にしてみる。その勇気が、あなたを前に進ませます。完璧を目指すことと、完璧でなければ動けないことは、まったく違うものなのです。

今日からできること

困難から逃げたくなったとき、こんなことを試してみてください。

  • 深呼吸をして、自分の感情を認める 「怖いと感じているんだな」「不安なんだな」と、まず自分の気持ちを受け止めます。
  • なりたい自分を思い描く 困難を乗り越えた先の自分を、五感を使ってイメージします。
  • 「私にはできる」と声に出す 声に出すことで、その言葉は心に響きやすくなります。
  • 今日できる一歩だけを決める 大きなことでなくていいのです。今日、たった一つだけ前に進む行動を選んでみてください。

逃げることは簡単です。でも、超えることを選んだとき、あなたは確実に成長しています。その成長は、必ず人生を豊かにしてくれます。

あなたには、困難を超える力があります。それを、どうか信じてください。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了。ドクター苫米地ワークス修了。田島大輔グランドマスターコーチに師事。認知科学者 苫米地英人博士より、無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得。
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