コラム

Self と Ego——未来側の臨場感が、いつもの自分を書き換えていく

蓮彩聖基

夢を叶える人は、並外れた意志の力で、自分を律し続けているのだ——世間では、そう語られることが多いのかもしれません。だからこそ、続かないのは自分が弱いからだと、自分を採点してしまうことが多いのです。

ですが、目標の達成は、たった一人で意志を振りしぼる、孤独な戦いではないのです。そもそも私たちの認知は、そのようなつくりにはなっていないのです。歯を食いしばって前へ進もうとするほど、ホメオスタシス——いつもの自分へ戻ろうとする力——は、今の場所の方を「自分の居場所」と判定し直し、強く引き戻していきます。「頑張る」という回路だけに頼るほど、未来はかえって遠ざかっていくことが多いのです。

あなたの中では、すでに二つの働きが動いています。

苫米地式コーチングでは、この自己の働きを Self と Ego という二つの位相として説明します。Self は、無数にある未来の可能性の中から「どの未来が自分にとって最高か」を選び、順序をつける役割を担います。一方の Ego は、行き先さえ決まれば、私たちが意識しないうちに「内的な緊張——不快さ——をいちばん小さくするルート」を計算し、そこへ運び始める働きなのです。

言い換えるなら、Self は行き先を選ぶ自分、Ego はそこへ運ぶ自動操縦です。どこへ向かうかが決まってはじめて、最短の道が引かれていく——本来、目標の達成は、この二つの連携の上に立ち上がっていくものなのです。

旅に出るときの感覚に近いですね。行き先さえ決まっていれば、私たちは食事も移動も持ち物も、気づかないうちに揃えていきます。逆に、行き先が曖昧なまま気合いだけで走り出しても、足は重く、道に迷い、結局はいつもの場所へ戻ってきてしまうことが多いのです。

ですから、無理に頑張る必要はないのです。本当に必要な仕事はただ一つ——Self を使って、心から望む未来の行き先を、今この瞬間よりもありありと感じることだけなのです。そこへ辿り着いたときの景色、隣にいる人、自分の声の調子、身体の感触を、五感の手触りで思い描いていきます。心から望む未来だからこそ、その光景はありありと立ち上がってくるものです。Ego は、その手応えさえ感じられれば、こちらが意識しなくても動き始めます。

頑張って自分を変える必要はないのです。あなたの中の Self に、行き先をしっかりと手渡していく——それが、Ego を未来へと走らせる、いちばんの仕事となるのです。

ABOUT ME
蓮彩聖基(はすたみ こうき)
蓮彩聖基(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ(2016年認定)、苫米地テオレム認定シニアエバンジェリスト(Senior-TTCE、2026年認定)。苫米地理論の解説と、苫米地式コーチングに基づく一対一のパーソナルコーチングを行っています。
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