自分を責めてしまうあなたへ|セルフトークを味方にする方法
セルフトークとは何か
私たちは1日に数万回、自分自身に語りかけていると言われています。そのほとんどは無意識のうちに行われているため、多くの人は気づいていません。この「セルフトーク」こそが、あなたのセルフイメージを形づくり、人生の方向性を決めているのです。セルフトークとは、自分自身に対して心の中で語りかけている言葉のことです。独り言として声に出すこともあれば、頭の中だけで考えていることもあります。何かを考えるとき、私たちは「言葉」を使っています。たとえば「今日のランチは何にしよう」と考えるとき、頭の中ではこの言葉が浮かんでいますよね。このように、思考そのものがセルフトークなのです。
言葉・映像・感情の連動
セルフトークは単独で存在しているわけではありません。言葉・映像・感情という3つの軸が相互に影響し合っています。私たちは言葉を使って考え、その言葉が映像を想起させ、その映像が感情を生み出します。言葉→映像→感情→行動という流れで、私たちの人生に影響を与えているのです。ひとつ実験をしてみましょう。「レモンを思い浮かべないでください」と言われたら、どうでしょうか?きっと、黄色くて酸っぱそうなレモンが頭に浮かんだのではないでしょうか。もしかすると、唾液が出てきた方もいるかもしれません。これが言葉とイメージの連動です。私たちの脳は、言葉を聞いた瞬間にそれに対応する映像を自動的に描いてしまいます。そして、その映像には必ず感情が伴います。つまり、ネガティブな言葉を使うと、ネガティブな映像と感情が自動的に生まれるのです。だからこそ、普段どんな言葉を使っているかがとても大切になります。
無意識のつぶやきに気づく
今日、昨日、どんな独り言を口にしましたか? この質問をすると、多くの方が「あまり覚えていない」と答えます。セルフトークのほとんどは無意識のうちに行われているからです。私たちは日常のさまざまな場面で、何気なく言葉を発しています。店員さんの態度が気になって「なんなの…」、行きたかったお店が休業で「最悪…」、予定が狂って「ついてないな…」、鏡を見て「今日も顔色悪いな…」。これらは一見、些細な言葉に思えますよね。でも実は、たった一言でも、その瞬間の映像と感情がセットで無意識に入っていくのです。人間の脳には「ネガティビティ・バイアス」という性質があります。これは、危険を察知して身を守るために、ネガティブな情報に注目しやすいという脳の仕組みです。つまり、意識しなければ、私たちのセルフトークは自然とネガティブに偏りやすいのです。だからこそ、「私はネガティブ思考だから…」と自分を責める必要はありません。それは脳の自然な働きなのですから。大切なのは、この仕組みを知った上で、意識的にポジティブなセルフトークを選んでいくことです。
セルフトークがセルフイメージをつくる
日常的なセルフトークの積み重ねが、あなたのセルフイメージを形づくっています。セルフイメージとは、心の中で思い描いている「自分らしさ」のこと。大部分は無意識のレベルに存在しています。たとえば「私は人前で話すのが苦手」「私は細かい作業が得意」「私は運が悪い」といった認識は、すべてセルフイメージの一部です。このセルフイメージは、幼少期に親や先生から繰り返し言われた言葉、現在の職場や家庭での評価、そして毎日何万回と繰り返される自分への語りかけによって形成されます。脳にはセルフイメージと現実を一致させようとする性質があります。つまり、セルフイメージ通りの現実が創られていくのです。「どうせ私には無理」というセルフトークを繰り返していれば、失敗している自分の映像が浮かび、不安や諦めの感情が生まれ、「私はできない人間だ」というセルフイメージが強化されます。一方、「私なら大丈夫」というセルフトークを繰り返していれば、うまくいっている自分の映像が浮かび、安心感や自信が生まれ、「私ならできる」というセルフイメージが育っていきます。
他人への言葉も自分へのセルフトークになる
多くの方が見落としがちな大切なことがあります。それは、他人に向けて言った言葉も、自分自身へのセルフトークになるということです。誰かに「ありがとう」と言ったとき、その言葉を最初に聞いているのは誰でしょうか? そう、自分自身です。同じように、誰かの悪口を言ったとき、批判的な言葉を口にしたとき、それを最初に聞いているのも自分自身なのです。悪口ばかり言っていると悪いところが目につきやすくなり、感謝の言葉を使っていると感謝できることが目に入りやすくなります。セルフトークは、あなたの世界をどんな色に染めるかを決めるのです。
セルフトークを整える実践
ネガティブな言葉が浮かんだら、すぐに肯定的な言葉に書き換える。これが最もシンプルで効果的な方法です。放置すれば、ネガティブな記憶としてそのまま無意識に入ってしまいます。でも、すぐに書き換えれば、ポジティブな記憶として上書きされるのです。「どうせ私なんて…」と浮かんだら「私らしくない、大丈夫!」に、「失敗するかも…」と浮かんだら「私ならきっとうまくいく」に。朝起きたとき、鏡を見るとき、うまくいかないとき、夜寝る前。こうしたタイミングで意識的にポジティブなセルフトークを行ってみてください。最初は少しぎこちなく感じるかもしれません。でも、続けていくうちに、自然とできるようになっていきます。今日の積み重ねが、未来のあなたをつくっていきます。大切な人に声をかけるように、自分自身にも優しい言葉をかけてあげてください。その習慣が、あなたの未来を明るく照らしていきます。
