音楽家

停滞期は成長の証|音楽家が前に進めないと感じたときに

蓮彩聖基

「前に進めていない」と感じるあなたへ

「なんだか前に進めていない気がする」「以前はもっと自由に音が出せていたのに」――そんなふうに感じている時期はありませんか?曲が降りてこない夜が続いたり、練習しても手応えがなかったり、ステージに立っても以前のような没入感が得られなかったり。そんな停滞期やスランプのような時期は、音楽を真剣に続けている人であれば誰にでも訪れるものです。でも実は、その停滞期こそが、あなたが新しいステージに移行しているサインなのです。

停滞期の正体――コンフォートゾーンの移行期間

停滞期を感じる理由は、あなたの成長が止まったからではありません。それは以前のコンフォートゾーン――つまり慣れ親しんだ心地よい領域――から、新しいコンフォートゾーンへと移行している途中にいるということなのです。楽器を始めたばかりの頃のことを思い出してみてください。最初はドレミを鳴らすだけで精一杯だったのに、いつの間にかそれが当たり前になり、もっと複雑なフレーズを求めるようになった。私たちの脳には、現状を維持しようとする「ホメオスタシス」という恒常性維持機能が備わっています。体温を一定に保つように、マインドもまた「いつもの状態」を保とうとします。けれど、ゴール側の世界に強い臨場感を持つことで、このホメオスタシスはゴール側を維持しようと働き始めます。停滞期とは、まさにこの切り替わりが起こっている時期なのです。古い自分から新しい自分へと、あなたの内側で静かに調律が行われているのだと思ってください。

エフィカシーを決して下げないこと

停滞期に最も大切なのは、ゴールを達成する自己能力への自己評価――エフィカシー――を下げないことです。エフィカシーとは、過去の実績や他人の評価とは関係なく、自分自身が自分の能力をどう評価するかということです。「私はこのゴールを達成できる」という深い内的確信のことを指します。停滞期に入ると、「やっぱり私には才能がないのかもしれない」「このまま続けても意味がないのでは」というセルフトークが生まれやすくなります。しかし、エフィカシーが下がるとゴール達成のための方法が見えなくなり、目の前にあるチャンスさえ認識できなくなってしまうのです。曲が書けない夜が続いても、ステージで思うように表現できなくても、「私はできる」という確信を保ち続けてください。メロディーが途切れたように感じる沈黙は、次のフレーズを生み出すための「休符」なのです。

次のゴールの臨場感を高める

停滞期とは、現状とゴールの差が縮まり、エネルギーや創造性が薄れ始めている状態でもあります。だからこそ、さらに次のステージにいるあなた自身を、五感を総動員してイメージすることが重要なのです。その世界であなたはどんな音を奏でていますか?どんなステージに立ち、どんな表情で演奏していますか?客席から届く拍手や、共演者との息遣い、演奏後の充実感。それらを視覚だけでなく、聴覚や触覚、感情までリアルに感じてみてください。脳は現実の体験と臨場感の高いイメージを区別することが苦手です。ゴール側の世界の臨場感が現状より高くなれば、ホメオスタシスはその新しい世界を「あなたの居場所」として維持しようと働き始めます。これが、停滞期を抜ける鍵なのです。

あなたの音楽は、今も響き続けている

停滞期を感じたら、「私は新しいステージに入ったんだ」と捉えてみてください。それは決してネガティブなものではなく、あなたのコンフォートゾーンが広がった証拠です。そして、日々の中であなたの大きなゴールを忘れないでいてください。ゴールの臨場感を高め、エフィカシーを保ち、さらにその先の未来を鮮やかにイメージする。このサイクルを繰り返すことで、あなたは自然とゴール側の世界へと進んでいきます。音楽には、音と音のあいだに「間」があるからこそ、次の一音が美しく響く瞬間があります。停滞期もまた、あなたの人生におけるそんな「間」なのかもしれません。焦らず、あなたの音を信じて、次のゴールへの臨場感を高めていきましょう。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。「自分を変えたい」と思った瞬間から、あなたの人生は動き出しています。 脳と心の使い方を知れば、なりたい自分になれる。 その第一歩を、一緒に踏み出しませんか?

ABOUT ME
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了。ドクター苫米地ワークス修了。田島大輔グランドマスターコーチに師事。認知科学者 苫米地英人博士より、無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得。

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