心と感情

心の中の独り言が人生を変える|ネガティブな言葉に気づいた日

kokihasutami

「最悪…」

あなたは、自分がどんな独り言を言っているか、気づいていますか?

「どうせ私なんて」「また失敗した」「やっぱりダメだ」

そんな言葉を、一日に何度口にしているでしょうか。

実は、その何気ない独り言こそが、あなたの人生を静かに、でも確実に形づくっているのです。

この記事では、心の中で繰り返される言葉の力と、それを変えることで人生が変わった一人の女性の物語をお伝えします。

ネガティブな独り言に支配されていた日々

24歳の彩花は、広告代理店で働く普通のOLでした。

仕事も人間関係も、特に大きな問題があるわけではありません。

でも、なぜか毎日が重たい。

朝起きたとき、「あー、また今日も会社か…」

メールをチェックして、「面倒くさい…」

上司に呼ばれて、「また怒られるのかな」

資料作成で小さなミスを見つけて、「私ってほんとダメだな」

ランチの時間、友人が楽しそうに話している横で、「私だけ何も面白いことない…」

帰りの電車で、「今日も何も進まなかった…最悪」

気づけば、彩花の一日は否定的な独り言で埋め尽くされていました。

でも、彼女自身はそのことに全く気づいていなかったのです。

転機となった一冊の本

ある休日、本屋で時間を潰していた彩花は、一冊の本を手に取りました。

タイトルは「心の中の言葉が、あなたの世界をつくる」

パラパラとページをめくると、こんな一文が目に飛び込んできました。

「あなたは一日に何万回も、自分自身に語りかけています。その言葉が一つ一つが、あなたの人生を決めているのです。」

彩花は立ち止まりました。

一日に何万回?

そんなに自分に語りかけているなんて、考えたこともなかった。

本を購入して家に帰った彩花は、その日から自分の独り言を観察し始めました。

衝撃的な発見

翌朝、目覚まし時計が鳴りました。

「うわ、もう朝か…最悪」

彩花は、自分の最初の言葉にハッとしました。

朝一番の言葉が「最悪」?

シャワーを浴びながら、「今日のプレゼン、うまくいくかな…失敗したらどうしよう」

朝食を食べながら、「またこのトーストか。飽きた」

電車の中で、「今日も混んでる。疲れる」

会社に着いて、デスクに座った瞬間、「あー、仕事したくない」

お昼前、時計を見て、「まだこんな時間か…長い」

気づいたとき、彩花は愕然としました。

まだ昼前なのに、すでに10個以上の否定的な独り言を言っていたのです。

そして、これは声に出した言葉だけ。

心の中で思っている言葉を含めたら、一体どれだけのネガティブな言葉を自分に浴びせているのだろう。

そう思うようになりました。

言葉と映像と感情の繋がり

その日の夜、彩花は購入した本を読み進めました。

そこには、「言葉・映像・感情はつながっている」と書かれていました。

本には、こんな実験が紹介されていました。

「レモンを思い浮かべないでください」

彩花は思わず、頭の中にレモンの映像を思い描いてしまいました。

黄色くて、つやつやしていて、切ったら酸っぱい匂いがして…

「あ…」

思い浮かべないでと言われたのに、レモンが浮かんでしまった。

本にはこう続いていました。

「言葉は自動的に映像を生み出します。そして映像は、感情を呼び起こします。あなたが『最悪』と言ったとき、脳は『最悪な状況』の映像を探し、『最悪な気分』という感情を生み出すのです」

彩花の背筋がゾクッとしました。

私は毎日、何十回、何百回と「最悪」「ダメ」「無理」という言葉を使っている。

ということは、その度に脳は「最悪な映像」を探し、「ダメな気分」を作り出している…

だから、毎日がこんなに重たく感じるのか。

セルフトークという言葉

本にはさらに、「セルフトーク」という言葉が出てきました。

セルフトーク。自分自身への語りかけ。

それは声に出した独り言だけでなく、心の中で思っている言葉すべてを含むのだと書かれていました。

そして、人は一日に約5万回も思考している。

5万回。

もしその大半が否定的なら、人生が良くなるはずがない。

本のページをめくる彩花の手が、わずかに震えていました。

私は毎日、5万回も自分を否定していたんだ。

それじゃあ、人生がうまくいかないのは当たり前だ。

同僚・理沙との対比

次の日、会社で同僚の理沙を観察してみました。

理沙は彩花と同い年の24歳。同じ部署で働いています。

でも、理沙はいつも明るくて、周りの人に好かれていて、仕事もスムーズにこなしているように見えました。

朝、理沙が出社してきました。

「おはよう! 今日も一日頑張ろう!」

理沙の第一声は、明るい挨拶でした。

昼休み、ランチの注文を間違えられたとき。

彩花なら「最悪…」と言いそうな場面で、理沙は笑いながら言いました。

「あれ、違うの来ちゃった。まあ、これも美味しそうだからいっか!」

午後、資料作成でミスを見つけたとき。

「あ、間違えてた。直せてよかった!」

理沙の言葉は、いつもポジティブでした。

彩花は気づきました。

理沙と私の違いは、能力じゃない。

セルフトークの違いなんだ。

3秒ルールとの出会い

その夜、彩花は本の続きを読みました。

そこには、「3秒ルール」という方法が紹介されていました。

「否定的な言葉が浮かんだら、3秒以内に肯定的に書き換える」

本には、具体的な例が載っていました。

「どうせ私なんて」→「私らしくない、大丈夫!」

「失敗するかも」→「私なら大丈夫!」

「また間違えた」→「学べる機会だ」

彩花は、明日から試してみようと決めました。

最初の一歩

翌朝、目覚まし時計が鳴りました。

「うわ、もう朝か…最悪」

いつもの言葉が口をついて出ました。

でも、その直後、彩花は意識的に言い直しました。

「…じゃなくて、新しい一日が始まった! 今日もいい日にしよう!」

声に出してみると、不思議なことに、少しだけ気分が明るくなった気がしました。

電車の中で、いつもなら「今日も混んでる。疲れる」と思うところ。

彩花は意識的に言い換えました。

「今日もたくさんの人が頑張って働きに行くんだな。私も頑張ろう」

会社に着いて、デスクに座った瞬間。

「あー、仕事したくない」という言葉が浮かびかけました。

彩花は3秒以内に打ち消しました。

「今日もできることから、一つずつやっていこう」

小さな変化

最初の数日は、正直、疲れました。

否定的な言葉を言い換えるたびに、意識的に頭を使わなければならなかったからです。

でも、一週間が過ぎた頃、彩花は小さな変化に気づきました。

朝起きたとき、以前ほど憂鬱じゃない。

仕事中、イライラすることが減った。

夜、ベッドに入ったとき、「今日も頑張った」と思えるようになった。

そして何より、理沙が声をかけてきました。

「ねえ彩花、最近なんか雰囲気変わったね。明るくなった気がする」

「え、本当?」

「うん。なんかあったの?」

彩花は少し照れくさそうに答えました。

「実はね、独り言を変えてみたの」

「独り言?」

彩花は理沙に、本のことやセルフトークのことを話しました。

理沙は興味深そうに聞いていました。

「それ、いいね。私も無意識にやってたのかも」

「え?」

「私も昔は結構ネガティブだったんだよ。でも、お母さんに『言葉は力を持つから、優しい言葉を使いなさい』って言われて、意識するようになったの」

彩花は驚きました。

理沙も意識的に言葉を選んでいたんだ。

だから、あんなに明るくて、周りから好かれているんだ。

世界の色が変わっていく

一ヶ月が過ぎた頃、彩花の世界は明らかに変わっていました。

朝起きたとき、「今日はどんないいことがあるかな」と思えるようになりました。

電車の中で、本を読んだり、外の景色を楽しんだりする余裕ができました。

仕事でミスをしても、「大丈夫、修正すればいい」と思えるようになりました。

上司に呼ばれても、「また怒られる」ではなく「何か相談されるのかな」と思えるようになりました。

ランチの時間は、友人との会話を心から楽しめるようになりました。

そして、帰りの電車で、彩花は気づきました。

「今日、いい一日だったな」

この一ヶ月で、彩花の生活は何も変わっていません。

同じ会社、同じ仕事、同じ人間関係。

変わったのは、彩花のセルフトークだけ。

でも、世界の見え方が、まるで違うのです。

セルフイメージの変化

二ヶ月が過ぎた頃、彩花はさらなる変化に気づきました。

プレゼンの機会があり、以前なら「失敗するかも」と不安でいっぱいになっていたはずが、「私ならできる」と自然に思えたのです。

そして実際、プレゼンは成功しました。

上司からも褒められ、同僚からも「すごかったね」と声をかけられました。

その夜、彩花は鏡の前に立って、自分に微笑みかけました。

「私、変わったんだな」

以前の彩花は、自分のことを「ダメな人間」だと思っていました。

でも今は違います。

「私は大丈夫。私ならできる」

そう心から思えるようになっていました。

本に書いてあった言葉を思い出しました。

「セルフトークはセルフイメージをつくります。そして、セルフイメージはあなたの世界を決めます」

本当だった。

私のセルフトークが変わって、私のセルフイメージが変わって、私の世界が変わった。

理沙との会話

ある日のランチタイム、理沙が彩花に言いました。

「ねえ、あの本、私も読んでみたよ」

「本当? どうだった?」

「すごくよかった。私、無意識にやってたことが、ちゃんと言語化されてて」

理沙は続けます。

「でもね、改めて自分の言葉に意識を向けたら、意外とネガティブなこと言ってることもあってびっくりした」

「理沙でも?」

「うん。完璧な人なんていないよ。でも、気づいたら変えられるってことだよね」

彩花は頷きました。

「そうだね。3秒ルールって、本当にシンプルだけど、効果あるよね」

「あるある! 最初は意識しないといけないけど、慣れてくると自然にポジティブな言葉が出てくるようになる」

二人は顔を見合わせて笑いました。

後輩へのアドバイス

三ヶ月後、新入社員の女性が彩花に相談に来ました。

「先輩、私、仕事がうまくいかなくて…自分に自信が持てないんです」

彩花は、かつての自分を見ているようでした。

「ねえ、聞いてもいい? あなた、普段どんな独り言を言ってる?」

「独り言ですか?」

「そう。心の中で、自分にどんな言葉をかけてるかな?」

新入社員は少し考えてから答えました。

「…『私ってダメだな』とか、『また失敗した』とか、そういうことが多いかもしれません」

彩花は優しく微笑みました。

「じゃあね、一つだけ試してみてほしいことがあるの」

そして、彩花は3秒ルールのことを教えました。

新入社員は半信半疑な表情でしたが、「やってみます」と言って帰っていきました。

言葉が作る、あなたの世界

その夜、彩花は日記を書きました。

「三ヶ月前の私は、自分がこんなに変われるなんて思ってもいなかった」

「でも、たった一つのこと、セルフトークを変えただけで、世界がこんなに違って見えるなんて」

「否定的な言葉は、否定的な世界を作る」

「肯定的な言葉は、肯定的な世界を作る」

「これからも、自分に優しい言葉をかけ続けよう」

彩花は日記を閉じて、窓の外を見ました。

夜空には、星が輝いていました。

以前なら気づかなかった、この美しさ。

すべては、心の中の言葉を変えたことから始まったのです。

あなたへのメッセージ

この物語を読んでいるあなたに、問いかけたいことがあります。

あなたは今日、自分にどんな言葉をかけましたか?

「どうせ私なんて」

「また失敗した」

「やっぱりダメだ」

もしそんな言葉を使っているなら、今この瞬間から変えることができます。

人は一日に約5万回も思考しています。

その一つひとつが、言葉となり、映像となり、感情となって、あなたの世界を作っています。

否定的な言葉を使えば、脳は否定的な映像を探し、否定的な感情を作り出します。

肯定的な言葉を使えば、脳は肯定的な映像を探し、肯定的な感情を作り出すのです。

だから、3秒ルールを使ってみてください。

否定的な言葉が浮かんだら、3秒以内に肯定的に書き換える。

「どうせ私なんて」→「私らしくない、大丈夫!」

「失敗するかも」→「私なら大丈夫!」

「また間違えた」→「学べる機会だ」

最初は意識的にやらなければならないかもしれません。

疲れるかもしれません。

でも、続けていくうちに、それが自然になっていきます。

そして気づいたとき、あなたの世界は変わっています。

完璧である必要はありません。

たまに否定的な言葉を使ってしまっても、それに気づいたら書き換えればいい。

少しずつ、少しずつ、変えていけばいいのです。

あなたのセルフトークが、あなたのセルフイメージを作ります。

あなたのセルフイメージが、あなたの世界を作ります。

今日から、自分に優しい言葉をかけてあげてください。

あなたは、あなたが思っている以上に素晴らしい人です。

そして、あなたの人生は、あなたの言葉で変えることができます。

心の中の独り言に、意識を向けてみてください。

そして、優しい言葉で、あなた自身を満たしてあげてください。

あなたの世界は、必ず変わります。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 <br>(はすたみ こうき)
蓮彩 聖基
(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ
苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了
ドクター苫米地ワークス修了
田島大輔グランドマスターコーチに師事
認知科学者 苫米地英人博士より、
無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得
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