エフィカシーを下げる記憶を無力化する「白黒テレビ方式」

蓮彩聖基

ネガティブな記憶が自信を削り続けている

あなたは過去の失敗や嫌な出来事を、今でも鮮明に思い出してしまうことはありませんか?

「あの時、上司に叱られた場面」「友達の前で恥ずかしい思いをした瞬間」「大事なプレゼンで失敗したあの日」

こうした記憶は、何年経っても色あせることなく、まるで昨日のことのように心に残り続けます。

そして、新しいチャレンジをしようとするたびに、無意識のうちに「また失敗するかもしれない」というブレーキをかけてしまうのです。

これは情動記憶と呼ばれるもので、強い感情を伴った体験は脳に深く刻まれ、今も無意識レベルであなたの自信や行動に影響を与え続けています。

エフィカシー、つまり「自分はゴールを達成できる」という確信は、こうしたネガティブな記憶によって日々削られていくことがあるのです。

論理的な解決だけでは足りない理由

「あの失敗は仕方がなかった」「今の自分なら大丈夫」と頭では理解しても、なぜか心がついていかない経験はありませんか?

これは、情動記憶が論理的な思考よりも深い無意識のレベルで働いているからです。

頭で考えて「もう気にしない」と決めても、その記憶が持つ感情的なインパクトは簡単には消えません。

特に現代社会では、SNSで他人と比較したり、仕事でのプレッシャーが強かったりと、エフィカシーを下げる要因が日常的にあふれています。

だからこそ、論理的な整理に加えて、記憶そのものの持つ感情的な力を弱める心理的テクニックが必要になるのです。

白黒テレビ方式で記憶を無力化する

白黒テレビ方式とは、ネガティブな記憶を視覚的にイメージし直すことで、その記憶が持つ感情的な影響力を弱めるシンプルな方法です。

脳は、記憶をイメージとして保存しています。

そして、そのイメージが鮮明で大きく、色鮮やかであればあるほど、強い感情を伴って思い出されます。

逆に、イメージが白黒で小さく、ぼやけていれば、感情的なインパクトは弱まります。

これを利用して、意図的に記憶のイメージを変えることで、過去の出来事が持つネガティブな力を無力化できるのです。

具体的なステップ

ステップ1:ネガティブな記憶を思い浮かべる

まず、エフィカシーを下げている具体的な記憶を一つ選びます。

目を閉じて、その場面をできるだけ詳細に思い出してください。

ステップ2:色を抜いていく

その記憶の映像から、徐々に色を抜いていきます。

カラー映像が、少しずつ白黒テレビの映像に変わっていくイメージです。

色が抜けるにつれて、感情的な強さも弱まっていくのを感じてください。

ステップ3:映像を小さくする

完全に白黒になったら、今度はその映像をどんどん小さくしていきます。

テレビ画面が遠ざかっていくように、映像が小さく、遠くなっていくイメージです。

ステップ4:捨てる動作をする

最後に、その小さくなった白黒の映像を、ポイッと捨てるイメージをします。

ゴミ箱に入れる、風に飛ばす、水に流すなど、あなたがしっくりくる方法で構いません。

実際に手で捨てる動作をしてみると、より効果的です。

実践するときのポイント

白黒テレビ方式を効果的に使うには、いくつかのコツがあります。

焦らず丁寧に行う

急いで色を抜こうとせず、徐々に変化させていくことが大切です。

ゆっくりと色が薄くなっていく過程を味わってください。

感情の変化を観察する

映像が白黒になり、小さくなるにつれて、心がどう変化するかを観察します。

「少し楽になった」「もうそこまで嫌な感じがしない」と感じられたら成功です。

繰り返し練習する

一度で完璧にする必要はありません。

同じ記憶に対して何度か繰り返すことで、より効果が高まります。

複数の記憶に応用する

一つの記憶で効果を実感したら、他のネガティブな記憶にも同じ方法を使ってみてください。

エフィカシーを下げている記憶を一つずつ処理していくことで、全体的な自信が回復していきます。

日常で活用できる場面

白黒テレビ方式は、日常のさまざまな場面で使えます。

仕事でミスをしたとき

上司に叱られた場面や、失敗したプレゼンの記憶がフラッシュバックしたら、その場で白黒にして小さくします。

通勤電車の中や休憩時間に、数分あればできます。

人間関係で嫌なことがあったとき

友人との口論や、誤解されて悲しかった場面など、人間関係のネガティブな記憶も処理できます。

そのままにしておくと、次に同じ人と会うときにも緊張してしまいます。

新しいチャレンジの前

過去の失敗体験が頭をよぎって不安になったら、その記憶を白黒にして捨てます。

これにより、「今回は違う」という新しい気持ちで挑戦できるようになります。

寝る前のルーティンとして

一日の終わりに、その日あった嫌な出来事を白黒テレビ方式で処理することで、ネガティブな記憶を蓄積させずに済みます。

良質な睡眠にもつながります。

エフィカシーを守り続けるために

エフィカシーは、あなたがゴールに向かって進むための最も大切な要素です。

しかし、日常の中でネガティブな体験は避けられません。

大切なのは、その体験をそのまま情動記憶として定着させず、適切に処理していくことです。

白黒テレビ方式は、特別な道具も時間も必要ありません。

いつでもどこでも、自分の心の中でできるシンプルな方法です。

このテクニックを日常的に使うことで、過去の記憶に縛られず、「私にはできる」という確信を持ち続けることができます。

あなたの心の中にある、色鮮やかで大きなネガティブな記憶を、今日から一つずつ白黒にして、小さくして、手放していきませんか?

そうすることで、本来のあなたらしい自信と可能性が、自然と輝き始めるはずです。

ABOUT ME
蓮彩 聖基 <br>(はすたみ こうき)
蓮彩 聖基
(はすたみ こうき)
パーソナルコーチ
1997年 青森県生まれ
苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了
ドクター苫米地ワークス修了
田島大輔グランドマスターコーチに師事
認知科学者 苫米地英人博士より、
無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得
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