「やりたいこと」を「やっていること」に変える魔法のリスト
あなたは今まで「やりたいことリスト」を書いたことがありますか?
ノートや手帳に、いつかやりたいこと、いつか手に入れたいものを書き連ねた経験。きっと多くの方にあるのではないでしょうか。
けれど、そのリストを今見返してみたとき、どれだけのことが実現しているでしょうか。
実は、ほとんどの「やりたいことリスト」は叶わないまま眠っています。それはあなたの努力が足りないからではありません。書き方に、ある大切なことが抜けていたからなのです。
「やりたい」と「やる」の間にある深い溝
仕事の予定や友人との約束は、手帳に書けばほとんど実行されます。来週の会議、土曜日のランチ。これらはきちんと達成されていきます。
では、なぜ「やりたいこと」は叶わないのでしょう。
その違いは、心の奥底にある必要性と重要性にあります。
仕事の予定は「やらなければならない」という強い意識があります。友人との約束は「行かなければ」という責任感があります。
一方で「やりたいこと」は「いつかできたらいいな」という淡い願望のまま。「欲しいもの」は「いつか手に入ったらいいな」という希望のまま。
この温度差が、実現するかしないかを分けているのです。
現在進行形という魔法の言葉
ここで、とてもシンプルだけれど強力な方法をお伝えします。
- 「やりたいことリスト」を「やっていることリスト」に変える。
- 「欲しいものリスト」を「持っているものリスト」に変える。
たったこれだけのことで、心の奥底に働きかける力が大きく変わります。
「サーフィンをやりたい」と書くのではなく「サーフィンをやっている」と書く。「あのバッグが欲しい」ではなく「あのバッグを持っている」と書く。
なぜこれが効くのでしょうか。
心は「今」しか知らない
私たちの心の深いところは、「未来」と「今」の区別がとても曖昧です。
「やりたい」という言葉は、心に「まだやっていない」という情報を送ります。すると心は「じゃあ今やらなくていいね」と判断してしまいます。
けれど「やっている」という言葉は、心に「今まさにそうである」という情報を送ります。すると心は「あれ? 実際はやっていないぞ」と気づき、その違和感を解消しようと動き始めるのです。
この違和感こそが、あなたを動かす原動力になります。
言葉だけでは足りないもの
ただし、リストに書くだけでは十分ではありません。
大切なのは、その言葉に命を吹き込むこと。
サーフィンをやっている自分。そのとき、あなたは何を感じているでしょう。
太陽の温かさ。海の潮の香り。波の音。サーフボードの感触。仲間との笑顔。そして何より、あなたの胸に広がる喜びと解放感。
これらを、まるで今この瞬間に体験しているかのように感じてみてください。
五感で描く未来
目を閉じて、想像してみましょう。
視覚だけではありません。その場所の音を聴いてください。香りを感じてください。肌に触れる風や温度を感じてください。
そして何より大切なのは、そのときの感情を味わうこと。
「嬉しい」「幸せ」「満たされている」「誇らしい」
この感情こそが、あなたの心を動かす本当の力です。
第三者ではなく「私」として
よくある間違いは、映画を観るように「自分がやっている姿」を外から眺めてしまうこと。
そうではなく、あなた自身の目で見てください。あなた自身の耳で聴いてください。あなた自身の身体で感じてください。
映画館の観客ではなく、主人公として生きるのです。
持っているものを感じる
「持っているものリスト」も同じです。
欲しいバッグがあるなら、それを今手に持っている自分を感じてみてください。
その革の質感。金具の重み。肩にかけたときの心地よさ。鏡に映る自分の姿。そして、それを手にしたときの満足感と誇らしさ。
心の深いところは、鮮やかに感じられたことを「現実」として受け取ります。だからこそ、できるだけ細やかに、できるだけ深く感じることが大切なのです。
なぜ願いは叶わないのか
多くの人が「やりたいことリスト」を書いても叶わない理由。それは、心の奥底がそれを「重要ではない」と判断しているからです。
私たちの心は、安全を最優先にします。今の生活、今の環境、今の自分。これを守ることが心の仕事です。
新しいことに挑戦するということは、心にとっては「未知の世界に飛び込む」こと。どんな危険があるかわからない場所へ行くことなのです。
だから心は「やめておきなさい」とささやきます。「今のままでいいじゃない」と引き止めます。
心を味方につける
けれど、この心の働きは敵ではありません。
心は、より強く感じているものを「本当のこと」として受け入れます。つまり、新しい自分の姿をより鮮やかに感じることができれば、心は自然とそちらを目指し始めるのです。
今の現実よりも、新しい自分のほうが「本当の私」だと感じられたとき。心はその世界を実現しようと、あなたの味方になってくれます。
「待ちきれない」という感覚
理想的な状態は「待ちきれない」という感覚です。
サーフィンをやっている自分を感じたとき、「早くやりたい!」という衝動が湧いてくる。あのバッグを持っている自分を感じたとき、「早く手に入れたい!」という気持ちがあふれてくる。
この「待ちきれない」という感覚こそ、あなたを動かすエネルギーそのもの。
目を開けたとき、心がワクワクしている。手に汗がにじんでいる。胸が高鳴っている。そんな状態になれたなら、あなたはもう動き始めています。
日々の実践
いつ行うか
朝、目覚めて少し落ち着いたとき。コーヒーを飲みながら、静かに自分と向き合う時間。
夜、眠りにつく前のひととき。一日の終わりに、明日への希望を心に刻む時間。
日中でも、ふと静かな瞬間があれば、そのときに。
どのように行うか
リストを見ながら、一つひとつの項目に対して、今この瞬間にそれを体験しているかのように感じてみてください。
30秒でも1分でも構いません。大切なのは、その短い時間に心を込めること。
五感を使って。感情を込めて。「今まさに私はこれをしている」「今まさに私はこれを持っている」と。
言葉にする力
感じたことを、声に出してみるのも効果的です。
「私は今、海の上にいる。太陽が温かい。波が心地いい。私は幸せだ」
言葉にすることで、イメージはより鮮明になります。そして言葉から、またイメージが広がります。
遠すぎる願いについて
一つだけ気をつけてほしいことがあります。
あまりにも遠すぎる願い、あまりにも手の届かないもの。これらは最初のうちは控えめにしておくのがよいかもしれません。
なぜなら、心の奥底で「そんなの無理」という声が大きいと、いくら感じようとしてもリアルに感じられないからです。
まずは、頑張れば手が届きそうなものから始めてみてください。そして、一つ叶えるごとに、あなたの「叶えられる」という感覚が育っていきます。その感覚が育てば、より大きな願いも叶えられるようになっていくのです。
人生のすべての領域に
仕事のことばかりに気を取られていませんか?
私たちの人生には、たくさんの大切な領域があります。健康、人間関係、学び、趣味、お金、社会への貢献。
どれか一つだけが満たされていても、本当の豊かさは感じられません。すべてがバランスよく満たされてこそ、人生は輝きます。
「やっていることリスト」を、人生のあらゆる領域で作ってみてください。健康のこと。人間関係のこと。学びのこと。趣味のこと。
そのすべてにおいて、あなたは「やっている」のです。
あなたの中にある力
この方法は、特別な才能を必要としません。
誰もが持っている想像力。誰もが感じられる感情。それだけで十分です。
あなたの心は、あなたが思っている以上に強い力を持っています。ただ、その使い方を知らなかっただけなのです。
「やりたい」を「やっている」に変える。
たったこれだけのことで、あなたの心は新しい方向を向き始めます。そして心が向いた方向に、あなたの人生は自然と動き出していくのです。
今日から、あなたのリストを書き換えてみてください。そして、その一つひとつを、心を込めて感じてみてください。
あなたの願いは、もうすでに叶い始めています。
