人生に波がある理由｜谷の時期を味方につける方法

順調な時期と停滞する時期、どちらも必ず訪れます

人生には、すべてがうまくいくように感じる時期と、何をしてもうまくいかないように感じる時期があります。

仕事が楽しくて充実している日々もあれば、朝起きるのがつらくて心が重い日々もあるでしょう。恋愛がうまくいって毎日が輝いて見える時もあれば、孤独感に押しつぶされそうになる夜もあるかもしれません。

この波のような動きは、あなただけに起こっていることではないのです。すべての人が、この山と谷を繰り返しながら生きています。

なぜ人生には波があるのでしょうか

私たちの心には「同じ状態を保とうとする力」が働いています

私たちの心と体には、現状を維持しようとする仕組みが備わっています。体温を一定に保ったり、血糖値を安定させたりするのと同じように、心もまた「いつもの状態」に戻ろうとするのです。

これは本来、あなたを守るための機能なのです。急激な変化は心にとって負担になりうるため、無意識のうちに元の状態へ引き戻そうとします。

だからこそ、調子が良い時期がずっと続くわけではなく、やがて落ち着いていく。逆に、つらい時期もまた、永遠には続かないのです。

成長には必ず「揺らぎ」が伴います

新しいことに挑戦したり、理想の自分に向かって進もうとするとき、心の中には一種の緊張が生まれます。

「今の自分」と「なりたい自分」の間にギャップがあるとき、私たちは無意識のうちにその矛盾を感じ取ります。この心の揺らぎこそが、変化の前触れなのです。

花が咲く前に蕾が膨らむように、人生の山に登る前には、谷で力を蓄える時間が必要なのかもしれません。

谷の時期にしか得られないものがあります

谷にいるからこそ見えてくる景色

晴れた日ばかりでは、太陽のありがたみはわかりません。谷底にいるからこそ、光の方向がはっきりと見えるのです。

つらい時期は、自分にとって本当に大切なものが何かを教えてくれます。何に心が痛むのか、何を失いたくないのか。それがわかるのは、順調な時期よりも、むしろ苦しい時期なのです。

あなたが「こんな状態は嫌だ」と感じているなら、それは同時に「こうありたい」という願いの裏返しでもあります。

谷の経験が山での景色を美しくする

苦労して登った山の頂上から見る景色は、ロープウェイで登った時とは全く違う感動をもたらします。

同じように、谷の時期を経験したからこそ、山の時期の喜びはより深く、より豊かなものになるのです。

挫折を知らない成功は脆く、苦しみを知らない幸せは浅くなりがちです。谷の経験は、あなたの人生に奥行きと深みを与えてくれる贈り物なのです。

波の中で心が揺れるのは自然なことです

「変わりたいのに変われない」という苦しさの正体

• 「もっと前向きになりたいのに、ネガティブな考えが止まらない」
• 「行動したいのに、体が動かない」

こんなふうに感じることはありませんか？

これは、今の自分と理想の自分が引き合っている状態なのです。どちらか一方だけを見ているわけではなく、両方を同時に感じているからこそ、心が引き裂かれるような感覚になります。

でも、この苦しさは悪いものではありません。むしろ、あなたが成長しようとしている証なのです。

不安定な時期は、次のステージへの準備期間

蝶がサナギの中で一度体を溶かすように、私たちも変容の過程で一時的に不安定になることがあります。

古い自分が崩れていくような感覚は怖いものです。でも、それは新しい自分が生まれようとしているサインでもあるのです。

今がつらいのは、あなたが殻を破ろうとしているからかもしれません。

谷の時期をどう過ごすかで、山の高さが変わります

自分にかける言葉を大切にする

私たちは一日に何万回も、心の中で自分に語りかけています。その言葉の積み重ねが、あなたの自己イメージをつくっていきます。

谷の時期には、つい自分を責める言葉が増えてしまいがちです。「私はダメだ」「どうせ無理」という言葉を繰り返すと、本当にそのような現実が引き寄せられてしまいます。

だからこそ、意識的に優しい言葉を選んでほしいのです。「今はつらいけど、私は大丈夫」「この経験にも意味がある」と、自分を励ましてあげてください。

理想の未来に心を向ける

谷にいる時こそ、山の頂上からの景色を思い描いてみてください。

あなたが本当に望んでいる人生とは、どんなものでしょうか？どんな朝を迎え、どんな一日を過ごし、どんな人たちに囲まれていたいですか？

その未来を、まるですでに実現しているかのようにリアルに感じてみてください。五感を使って、その場面を味わってみてください。

心がその未来に馴染んでいくと、自然とそちらへ向かう行動が生まれてきます。

焦らず、自分のペースを守る

波には自然なリズムがあります。無理に早く山に登ろうとすると、かえって体力を消耗してしまいます。

谷の時期は、次の山に登るためのエネルギーを蓄える時間だと思ってください。休むことも、立ち止まることも、前に進むための大切な一歩なのです。

周りと比べる必要はありません。あなたにはあなたの波のリズムがあるのです。

山も谷もあるからこそ、人生は美しい

もし人生がずっと平坦な道だったら、どうでしょうか。確かに苦しみはないかもしれません。でも同時に、喜びの深さも、感動の大きさも、感じられなくなってしまうでしょう。

谷があるから山がわかる。
夜があるから朝が輝く。
涙を知っているから笑顔が美しい。

あなたが今、谷の中にいるのなら、それは次の山に向かう準備をしているということ。そして今、山の上にいるのなら、その景色を存分に味わってください。

どちらの時期も、あなたの人生を豊かにするために必要な時間なのです。

波を恐れるのではなく、波とともに生きていく。その姿勢こそが、あなたをより自由で、より幸せな人生へと導いてくれるはずです。

蓮彩 聖基 (はすたみ こうき)

パーソナルコーチ

Contact

1997年 青森県生まれ。苫米地式コーチング認定コーチ養成講座 第7期修了。ドクター苫米地ワークス修了。田島大輔グランドマスターコーチに師事。認知科学者 苫米地英人博士より、無意識へ深く働きかける「内部表現の書き換え」や、コーチングの技術を習得。