新しい自分を生きる―行動と習慣
ゴールを設定し、心のブレーキを外した。でも、「次は何をすればいいの?」と思っていませんか?理想の自分になるために、何か特別なことをしなければならないと感じているかもしれません。
でも、本当に必要なのは、特別なことではありません。必要なのは、今日の小さな一歩です。理想の自分は、遠い未来にあるのではなく、今この瞬間の選択から始まります。
この記事では、行動変容と習慣化の仕組みを理解し、新しい自分を生きるための具体的な方法をお伝えします。
行動変容の神経科学
脳は変化する―神経可塑性
かつて、「脳は大人になったら変わらない」と考えられていました。しかし、神経科学の研究により、脳は生涯にわたって変化し続けることが明らかになりました。
これを神経可塑性(ニューロプラスティシティ)と言います。
神経可塑性とは、
- 新しい神経回路が作られる
- 使わない回路は弱くなる
- 繰り返し使う回路は強化される
という脳の性質です。つまり、行動を変えれば、脳の構造も変わるのです。
繰り返しが脳を変える
脳は、繰り返された行動を「重要なもの」として認識します。
- 毎日同じ道を通れば、その道が「当たり前」になる
- 毎日同じ言葉を使えば、その言葉が「自然」になる
- 毎日同じ行動をすれば、その行動が「習慣」になる
神経科学では、「ニューロンが一緒に発火すれば、一緒に配線される(Neurons that fire together, wire together)」という原則があります。
繰り返すことで、脳に新しい回路が作られるのです。
21日では習慣にならない
よく「21日続ければ習慣になる」と言われますが、これは誤解です。研究によると、習慣が定着するまでの期間は、平均で66日と言われています。
そして、行動の複雑さによって、18日~254日と大きく幅があります。
つまり、
- 簡単な行動(水を飲む):数週間
- 複雑な行動(運動習慣):数ヶ月
焦らず、継続することが大切なのです。
脳は変化します。繰り返せば、必ず変わります。
環境設定と人間関係の選択
理想の自分にふさわしい環境を作る
理想の自分を思い浮かべてください。
その自分は、どんな環境にいますか?
- 部屋は整っていますか?
- どんなものに囲まれていますか?
- どんな場所で過ごしていますか?
その環境に近づけましょう。
ドリームキラーから距離を置く
ドリームキラーとは、あなたの夢やゴールを否定する人のことです。
- 「そんなの無理だよ」
- 「やめておいた方がいいよ」
- 「現実を見なよ」
こうした言葉は、あなたのエフィカシーを下げてしまいます。
ドリームキラーからは、物理的にも精神的にも距離を置きましょう。
応援してくれる人と過ごす
人は、周囲の5人の平均になると言われています。
- ポジティブな人と過ごせば、ポジティブになる
- 挑戦している人と過ごせば、挑戦したくなる
- 成長している人と過ごせば、成長する
あなたの理想に近い人、応援してくれる人と時間を過ごしましょう。
環境を変えれば、自分も変わります。
自己対話の実践方法
効果的な質問
朝の質問
- 「今日、理想の自分だったら、どう過ごすだろう?」
- 「今日、最も大切にしたいことは何だろう?」
- 「今日、どんな気分で過ごしたいだろう?」
夜の質問
- 「今日、うまくいったことは何だろう?」
- 「今日、学んだことは何だろう?」
- 「明日、もっと良くできることは何だろう?」
困難に直面したときの質問
- 「この状況から、何を学べるだろう?」
- 「理想の自分だったら、どう対処するだろう?」
- 「5年後の私から見たら、この出来事はどう見えるだろう?」
自己対話の習慣化
毎日、5分でいいので、自分に質問する時間を作りましょう。
- 朝、コーヒーを飲みながら
- 夜、寝る前に
- 通勤中に
質問することで、自分の内側と対話できるようになります。
答えは、あなたの中にあります。
理想の自分として「今ここ」を生きる
「いつか」ではなく「今」
多くの人は、「いつか理想の自分になれたら」と考えています。
でも、それは間違いです。
理想の自分は、未来ではなく、今この瞬間に生きることができます。
アズイフの原則
アズイフ(As if)とは、「まるで~であるかのように」という意味です。
- まるで理想の自分であるかのように、今を生きる
- まるでゴールを達成したかのように、今を生きる
これをアズイフの原則と言います。
たとえば、
- 「自信がある人」になりたいなら、今すぐ「自信がある人」として振る舞う
- 「愛される人」になりたいなら、今すぐ「愛される人」として生きる
未来から今を見る
理想の自分を思い浮かべてください。
その人は、今のあなたを見て、何と言うでしょうか?
- 「大丈夫、うまくいくよ」
- 「その選択で正しいよ」
- 「よく頑張っているね」
未来の自分の視点から、今を見てみましょう。
そうすることで、今の選択が変わります。
毎日を「理想の自分」として過ごす
理想の自分だったら、
- 朝、どんな気持ちで目覚めますか?
- どんな言葉を使いますか?
- どんな選択をしますか?
- どんな態度で人と接しますか?
その答えを、今日から実践しましょう。
理想の自分は、未来ではなく、今この瞬間に始まるのです。
理想の自分は、「なる」ものではなく、「今、である」ものです。
継続のための具体的戦略
小さな成功を祝う
どんなに小さな成功でも、祝いましょう。
- 「今日も1日続けられた!」
- 「小さな一歩を踏み出せた!」
脳は、報酬を受け取ると、その行動を繰り返そうとします。
自分を褒めることで、継続しやすくなるのです。
失敗を許す
完璧に続けられる人はいません。
1日サボってしまっても、
- 「もうダメだ」と諦めない
- 「明日から再開すればいい」と考える
失敗を許し、また始めることが大切です。
仲間を見つける
一人で続けるのは大変です。
- 同じ目標を持つ仲間
- 応援してくれる人
- 一緒に頑張れる人
仲間がいると、継続しやすくなります。
継続は、仕組みと優しさから生まれます。
まとめ:新しい自分を生きる
理想の自分は、遠い未来にあるのではなく、今日の選択から始まります。小さな一歩を積み重ねることで、あなたは必ず変わります。
この章では、新しい自分を生きるための具体的な方法をお伝えしてきました。
- 神経可塑性:脳は変化する。繰り返せば変わる。
- 環境設定:環境が行動を決める
- 自己対話:質問で自分と対話する
- アズイフの原則:理想の自分として、今を生きる
- 継続の戦略:記録・祝福・失敗を許す
理想の自分になるために、特別なことは必要ありません。
特集を終えて
ここまで、全4回にわたって「自己実現の為のステップアップ講座」をお届けしてきました。
- 第1回:なぜ変われないのか(脳の仕組み)
- 第2回:本当のゴールとは何か(ゴール設定)
- 第3回:心のブレーキを外す(感情と信念)
- 第4回:新しい自分を生きる―行動と習慣(行動と習慣)
この4つのステップを理解し、実践することで、あなたは必ず変わることができます。
あなたの中には、すでに理想の自分が存在しています。
それを引き出し、現実にするのは、あなた自身です。今日から、新しい一歩を踏み出してください。あなたの人生は、あなたが創るものです。
この特集の他の記事
この記事は「自己実現の為のステップアップ講座」の1つです。
- 第1回:なりたい自分になれない理由は脳にある
- 第2回:本当のゴールは、心が震える方にある
- 第3回:心のブレーキは、書き換えられる
- 第4回:新しい自分を生きる―行動と習慣(この記事)
