言いたいことが言えないあなたへ|自信を持って伝えられる私になる方法
「これ、言った方がいいかな…」
「でも、私の意見なんて間違っているかもしれないし…」
心の中では伝えたいことがあるのに、結局何も言わずに終わってしまう。そんな経験はありませんか?
会議で意見を求められたとき、友人との予定を決めるとき、パートナーに本音を伝えたいとき。言葉にしたい気持ちはあるのに、喉元で止まってしまう。そして後になって「やっぱり言えばよかった…」とモヤモヤが残る。
これは、あなたの性格の問題ではありません。無意識の中にある「信念」や「セルフイメージ」が、あなたの行動にブレーキをかけているのです。
この記事では、なぜ言いたいことが言えなくなるのか、その仕組みを解き明かしながら、自分の意見を自然に伝えられる私になるための具体的な方法をお伝えします。
✨ なぜ「言えない」が起きるのか|無意識に潜む3つの原因
「言いたいことがあるのに言えない」という状態には、必ず理由があります。それは意志が弱いからでも、コミュニケーション能力が低いからでもありません。

でも、周りを見ると自分の意見をサラッと言える人っているよね…私とは何が違うのかな

違いがあるとすれば、無意識の中に持っている「信念」や「自分への評価」なのです。そこを見ていきましょう。
原因① 「控えめであることが良い」という信念
「出る杭は打たれる」「空気を読むことが大事」「自己主張は和を乱す」
こうした言葉を、幼い頃から繰り返し聞いてきた方は多いのではないでしょうか。
信念とは、無意識の中にある「物事はこうあるべき」という思い込みのことです。これは親や先生から繰り返し言われた言葉、社会で「常識」として教えられたことが、強い感情とともに心に刻まれて形成されます。
特に女性は「謙虚であること」「相手を立てること」を美徳として教えられる機会が多いもの。そのため「自分の意見を主張する=わがまま」「控えめでいる=正しい」という信念が、無意識のうちに根付いていることがあるのです。

原因② 「自分の意見に価値がない」というセルフエスティームの低さ
「私の考えなんて大したことない」
「どうせ聞いてもらえないし」
「間違っていたら恥ずかしい」
こんな風に感じてしまうことはありませんか?
セルフエスティームとは、自分自身の価値に対する評価のことです。「私は価値ある存在だ」と感じられる度合いで、他人の評価や状況に依存せずに自分の存在そのものを尊重できる感覚を指します。
セルフエスティームが低いと、自分の意見にも価値を感じにくくなります。「私が話しても意味がない」「もっとすごい人の意見を聞いた方がいい」と、発言する前から自分を否定してしまうのです。

原因③ 過去の「傷ついた経験」が残っている
もしかすると、過去にこんな経験はありませんか?
- 勇気を出して意見を言ったら笑われた
- 発言したら「そんなこと聞いてない」と言われた
- 自分の考えを否定されて悲しかった
これらの体験は情動記憶として心に深く刻まれています。情動記憶とは、強い感情を伴った体験の記憶のこと。普通の記憶は時間とともに薄れますが、情動記憶は何年経っても無意識の中に残り続けます。
そして似たような状況になると、無意識が「また傷つくかもしれない」と判断し、発言することを避けさせようとするのです。

確かに…昔クラスで発表して失敗したこと、今でも鮮明に覚えてる…

その記憶があなたを守ろうとしているのです。でも、それが今の行動を制限しているなら、新しい記憶で書き換えていくことができますよ。

💡 「言える私」になる前提|完璧じゃなくていい
具体的な方法をお伝えする前に、とても大切なことをお話しさせてください。
自分の意見を伝えることは、「正解を言うこと」ではありません。

でも、間違ったことを言ったら恥ずかしいし、信頼を失うんじゃ…

「絶対に正しい意見」なんて、この世界には存在しないのです。誰もが不完全で、誰もが間違うことがある。それが人間です。
たとえば、友人とランチの場所を決めるとき。あなたが「パスタが食べたいな」と言って、結果的に別のお店になったとしても、それは「間違い」ではありませんよね。ただ、あなたの気持ちを伝えただけです。
仕事の会議でアイデアを出して、採用されなかったとしても、それは「失敗」ではありません。あなたの視点を共有しただけです。
意見を伝えることと、正解を出すことは、まったく別のことです。
そして、完璧な人間などどこにもいません。どんなに優秀に見える人も、間違えることはあります。あなたが「言ってみたけど、ちょっと違ったかも」と思う瞬間があっても、それは成長の一部なのです。
🌱 方法① セルフエスティームを育てる|自分の価値を認める土台づくり
言いたいことを言えるようになるための第一歩は、自分自身の存在価値を認めることです。
「私の意見には価値がある」と心から思えないと、どんなテクニックを使っても、行動にブレーキがかかってしまいます。

自分に価値があるって、どうやったら思えるようになるの…?
小さな「できた」を記録する
大きな成功体験がなくても大丈夫です。日々の小さな「できた」を意識して記録してみてください。
- 朝、予定通りに起きられた
- 仕事の締め切りに間に合った
- 友人にLINEを返せた
- 疲れていたけど自炊した
「そんなの当たり前じゃない?」と思うかもしれません。でも、その「当たり前」ができているあなたは、十分に価値のある存在です。
今日からできるワーク
スマホのメモやノートに、毎日3つ「今日できたこと」を書いてみてください。内容は何でも構いません。1週間続けると、自分が思っていた以上に多くのことをやり遂げていることに気づくはずです。
体感を伴って思い出す
過去にうまくいった経験を、ただ「あったな」と思い出すだけでなく、その時の感情や体の感覚まで再体験してみてください。
たとえば、何かを成し遂げた瞬間の達成感。誰かに「ありがとう」と言われた時の温かさ。その時の気持ちを、今この瞬間に味わうように思い出すのです。
この「体感を伴った再体験」を繰り返すことで、セルフエスティームは少しずつ育っていきます。
🔑 方法② 信念を見直す|「言ってはいけない」を手放す
あなたの中に「自分の意見は控えた方がいい」という信念があるなら、それが本当に今のあなたに必要なものかどうか、見直してみましょう。
信念に気づく
まずは自分の中にある信念に気づくことから始めます。
- 「女性は控えめでいるべき」
- 「目立つことは良くない」
- 「空気を読めない人は嫌われる」
- 「自分の意見を言うと人間関係が壊れる」
こうした考えが浮かんだら、一度立ち止まって問いかけてみてください。
「この信念は、誰から受け取ったもの?」
「この信念は、本当に真実?」
「この信念を持ち続けることで、私は幸せになれる?」

言われてみると…これって母からずっと言われてきたことかも。

多くの信念は、幼い頃に周りの大人から受け取ったものです。でも、大人になった今、それを持ち続けるかどうかは、あなた自身が選べるのです。
新しい信念を選ぶ
古い信念に気づいたら、それに代わる新しい信念を意識的に選びましょう。
- 「私の意見には価値がある」
- 「自分の考えを伝えることで、より良い関係が築ける」
- 「完璧じゃなくても、伝えることに意味がある」
最初は「そうは言っても…」と感じるかもしれません。それで大丈夫です。新しい信念は、繰り返し意識することで少しずつ定着していきます。
💫 方法③ セルフトークを整える|心の中の言葉を味方にする
あなたは1日に何万回も、心の中で自分に語りかけています。このセルフトークが、あなたの行動に大きな影響を与えているのです。
ネガティブなセルフトークに気づく
「どうせ私なんて」「きっと笑われる」「言わない方がいい」
言いたいことがあるのに言えないとき、心の中でこんな言葉が流れていませんか?
セルフトークは「言葉→映像→感情→行動」という流れで影響を与えます。「きっと失敗する」と心の中でつぶやくと、失敗している映像が浮かび、不安という感情が生まれ、結果として「言わない」という行動を選んでしまうのです。
言葉を意識的に選ぶ
ネガティブなセルフトークに気づいたら、意識的に言い換えてみてください。
| ネガティブ | ポジティブに言い換え |
|---|---|
| 「私の意見なんて…」 | 「私の視点も一つの価値がある」 |
| 「間違ったらどうしよう」 | 「間違っても、それは学びになる」 |
| 「言わない方が無難」 | 「伝えることで、より良い結果になるかもしれない」 |

🌸 方法④ セルフイメージを書き換える|「言える私」をイメージする
セルフイメージとは、無意識の中にある「自分はこういう人間だ」という認識のことです。
もし今のあなたが「私は言いたいことが言えない人間だ」というセルフイメージを持っているなら、そのイメージ通りの行動を選びやすくなります。脳には、セルフイメージと現実を一致させようとする性質があるからです。
「言える私」を具体的にイメージする
ビジュアライゼーションという方法を使って、「自分の意見を自然に伝えている私」をイメージしてみましょう。
たとえば、こんな場面を想像してみてください。
会議で自分のアイデアを伝えている場面
明るい会議室で、あなたは落ち着いた声で自分の考えを話しています。周りの人たちは真剣に耳を傾けています。話し終えた後、「いい視点だね」と言われ、胸の中に温かい達成感が広がります。
友人にやりたいことを提案している場面
カフェで友人と向かい合って座っています。「私、ここに行ってみたいんだけど」と笑顔で伝えると、「いいね!」と返ってきます。自分の気持ちを素直に伝えられた心地よさを感じています。
ビジュアライゼーションのポイント
- 視覚だけでなく、音や温度、香りなど五感を使ってリアルに感じる
- そのときの感情(喜び、達成感、安心感)を味わう
- 毎日5分でも続けることで、無意識のセルフイメージが変わっていく

💎 方法⑤ 小さな一歩から始める|コンフォートゾーンを少しずつ広げる
コンフォートゾーンとは、ストレスを感じずに安心していられる領域のことです。
いきなり大きな場面で意見を言おうとすると、コンフォートゾーンの外側に出ることになり、脳が「危険だ」と判断してブレーキをかけてしまいます。
だからこそ、小さな一歩から始めることが大切なのです。
安全な場所で練習する
いきなり仕事の会議で発言するのはハードルが高いですよね。まずは安心できる場所で練習してみましょう。
- 親しい友人との会話で「私はこう思うな」と言ってみる
- カフェで「窓際の席がいいです」と伝えてみる
- 家族に「今日はこれが食べたい」と言ってみる

そんな小さなことでも意味があるの…?

意味がありますよ。小さな成功体験の積み重ねが、コンフォートゾーンを広げていくのです。焦らなくて大丈夫です。

成功体験を味わう
小さな一歩がうまくいったら、その感覚をしっかり味わってください。
「言えた!」という達成感、相手に伝わった嬉しさ、自分を誇らしく思う気持ち。これらの感情を伴った体験は、新しいポジティブな情動記憶として刻まれていきます。
そしてこの新しい記憶が、次に「言ってみよう」と思える力になっていくのです。
✿ 伝え方のコツ|相手も自分も大切にするコミュニケーション
ここまで、内面を整える方法をお伝えしてきました。最後に、実際に伝えるときのコツをいくつかご紹介します。
感情も一緒に伝える
事実だけでなく、あなたがどう感じているかを伝えると、相手に届きやすくなります。
「ちょっと不安に感じているんだけど…」
「嬉しいから伝えたくて…」
「少し困っているんだけど、相談してもいい?」
完璧な言葉を探さない
「うまく言わなきゃ」と思うと、言葉が出てこなくなります。完璧な言葉を探すより、素直な気持ちをそのまま言葉にしてみてください。
「うまく言えないんだけど…」と前置きしても大丈夫です。あなたが一生懸命伝えようとしている姿勢は、きっと相手に伝わります。
💫 「言える私」への道は、一歩ずつ
言いたいことが言えないのは、あなたの性格の問題ではありません。これまでの経験や、無意識に刷り込まれた信念が、行動にブレーキをかけているだけです。
そしてそれは、変えていくことができます。
セルフエスティームを育て、信念を見直し、セルフトークを整え、セルフイメージを書き換える。そして小さな一歩を積み重ねていく。

全部やらなきゃダメかな…

いいえ、全部を一度にやる必要はありません。今日できそうなこと、一つだけ選んでみてください。それで十分です。
完璧な意見なんてなくていい。間違ってもいい。言ってみて「違ったかも」と思っても、それは失敗ではなく学びです。
あなたの言葉には、あなたにしか伝えられない価値があります。
伝えたいと思ったとき、伝えたい相手に、あなたの言葉で伝えてみてください。最初は勇気がいるかもしれません。でも、一歩踏み出したあなたの世界は、きっと少しずつ広がっていくはずです。
あなたなら、大丈夫です。
📚合わせて読みたい関連記事


